プロジェクト一覧

信州大学 × 精密林業計測株式会社による主な研究・実証プロジェクト

森林リモートセンシング、AI解析、森林経営モデル構築に関する主なプロジェクトを紹介します。 いずれも自治体・森林組合・企業などとの連携により、研究と社会実装を一体で進めることを重視しています。

1. 森林地籍調査「木曽モデル」プロジェクト(木曽町)

フィールド:長野県木曽郡木曽町 / 連携:木曽町・森林組合 ほか

森林境界の明確化と所有者別資源量の可視化を目的に、森林地籍調査の新モデルとして 「木曽モデル」の構築を進めています。ドローンオルソ画像と AI による林相区分・境界推定モデルを組み合わせ、 地籍調査の期間短縮とコスト削減を目指します。

  • AI 林相区分モデルの現地フィールドへの実装
  • 森林境界候補線の自動生成と現地確認の省力化
  • 所有者別資源量の可視化と説明資料の整備

2. 間伐出材量の全自動算定プロジェクト(長野市、安曇野市)

フィールド:長野市近郊民有林 / 連携:長野市森林組合・北信木材センター ほか

間伐前後のドローンオルソ画像を比較し、伐採木の位置・本数・材積を全自動算定するプロジェクトです。 林業事業体や自治体からの要望に基づき、施業評価と出材実績管理を迅速に行うための解析サービスを構築しています。

  • 間伐前後のオルソ画像比較アルゴリズムの開発
  • 伐採木推定材積の自動集計とレポート化
  • 森林環境譲与税の効果検証への応用

3. UAVレーザー計測による広葉樹の単木情報取得プロジェクト

フィールド:王子HD社有林、長野県内複数箇所 / センサ:3kg級レーザーセンサ搭載UAV

UAV搭載レーザーによる高密度3D点群データを用いて、単木レベルの幹軸・樹高・樹冠形状を復元し、 材積や成長量の推定に利用するプロジェクトです。高精度な資源量評価と、施業効果のモニタリングを目的としています。

4. 松くい虫被害の感染木情報取得プロジェクト

フィールド:長野県駒ヶ根市、朝日村、辰野町など 複数箇所

ドローンオルソ画像を比較し、被害木の位置・本数・材積を自動算定するプロジェクトです。 自治体からの要望に基づき、被害拡大を防ぐ感染木と枯死木抽出の解析サービスと モニタリングを実施しています。広範囲の場合は人工衛星データからAIによる被害木抽出も行っています。

5. スマート照査法プロジェクト(東春近財産区:440ha)

フィールド:長野県伊那市 東春近財産区(約1,200ha)/期間:2023〜2026年度(予定)

信州大学が開発した「スマート照査法」を財産区有林に本格導入し、森林環境譲与税の活用を前提とした 持続可能な森林経営モデルの構築を目指すプロジェクトです。ドローン画像・LiDAR・AI解析により、 単木レベルの資源量評価と将来予測モデルを構築します。

  • 単木レベルの立木情報・材積の推定
  • 施業履歴と連動した将来予測モデルの構築
  • 財産区としての中長期経営計画の支援

6. 水源涵養機能モデル開発(伊那市 スマート林業実験林)

フィールド:伊那市西春近白沢地区「白沢ビオトープ実験林」 / テーマ:森林と水環境の共生

湧水の水質・水量データと、森林構造データ(LiDAR・ドローン画像)を組み合わせ、 地域の水源涵養機能を評価するモデルの構築を目指すプロジェクトです。ビオトープ整備や山菜・ワサビ植栽など、 地域資源との連携も視野に入れています。

  • 湧水地点の水質・水量モニタリング
  • 森林構造と水源機能の関係分析
  • 地域の水と森の価値を伝える情報発信

7. マルチスケール林相区分AIプロジェクト(衛星×航空×ドローン)

フィールド:長野県内および周辺地域の広域林野 / ツール:Google Earth Engine ほか

衛星画像・航空画像・ドローン画像といったマルチスケールのリモートセンシングデータを統合し、 AI による林相区分モデルを高度化するプロジェクトです。市町村単位から県単位までの 大規模林野への導入を視野に入れています。

  • マルチスケールデータ統合による林相判別精度の向上
  • GEE等を活用した広域解析ワークフローの構築
  • 自治体の森林計画・環境施策へのデータ提供

8. 大学発スタートアップ連携プロジェクト(精密林業計測)

役割分担:大学(基礎研究・人材育成)× 会社(社会実装・サービス化)

信州大学発の認定スタートアップである精密林業計測株式会社と連携し、 研究成果を現場で検証しながらサービスとして実装していくプロジェクト群です。 自治体・森林組合・企業との受託研究やモデル地域づくりを通じて、 「研究」と「実務」の両立を図っています。

  • 共同研究・受託研究の企画・実施
  • 特許・知財の活用とサービス化
  • 学生・若手研究者の現場実習・人材育成