信州大学工学部建築学科|設計製図アーカイブ

2019年度|建築設計製図Ⅰ

メンバー

担当教員:寺内美紀子・高村秀紀・羽藤広輔・遠藤洋平

TA:水木直人・安田隆広・東出尚也

第一課題「公園に建つ図書館/若里公園県立長野図書館建替計画」

はじめに

  • 若里公園にある県立長野図書館の建替計画を行う
  • 現代の図書館は、従来の社会教育の場から、多種多様な利用者が豊かな市民生活を構築するために能動的に参加する場へと役割を展開している。なかでも、県立長野図書館は近隣住民にとって憩いの場である若里公園に立地し、ホールや学校などとともに良質な文教エリアを形成している。こうしたポテンシャルを活かし、地域コミュニティの核となる図書館を提案する。
  • 対象敷地:若里公園

受賞作品

金賞 酒向正都 「自叙伝 -公園×家×図書館- 」

若里地区のパブリックスペースの代表である若里公園の中にある県立長野図書館。この建て替え計画におけるクライアントは誰か。親子連れ、犬の散歩をする方々、毎朝ラジオ体操をする方々… それ以前に設計する私も利用者の一人でありクライアントの一人である。 これは私が過去の体験より強く欲しいと願う図書館を若里公園内に実現するという個人の願望が、いかにして若里公園と地域の方々の手に馴染んでいくかを試行する実験的提案である。
図面・模型
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銀賞 瀬戸山優希 「自然とひとの境界をつくる -ボロノイ図を用いた対象敷地の分析から建物のあるべき姿を示す-」

周辺環境から着想を得て対象敷地のあるべき姿を建築を通して示していく。 周辺樹木の上下端点2点と既存図書館より考えられる必要機能を示す普遍的なボリュームの中心点を3次元的にボロノイ分割することで周辺樹木と建物の2等分線が示される。示された2等分線(ボロノイ線)で植物と建物中心の距離が等しくなり、ここに壁を配置することで建物と植物がせめぎ合うような建築となる。理論と建築を1対1で考え、周辺環境と建築、樹木と建物が等価に混ざり合う図書館の提案である。
図面・模型
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銀賞 宮西夏里武 「大きな軒と木の下で -寺子屋文化の再評価と保存樹林を取り巻く風景にみる自然との共生法-」

多様な機能と多世代利用を掲げる現代の図書館において共に学ぶことの意義を再評価する。個人が取りざたされる現代において、もう一度皆で図書館に集まり学ぶことの価値を提起する。この地域でかつて根付いた寺子屋文化、自然を重んじる文化の集積を生み出す。これは私たちが新たな時代を生き抜いていくための図書館。
図面・模型
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銅賞 田中優衣 「浮遊する」

緑豊かな若里公園と過ごしやすい気候を生かしたこの場所ならではの図書館として、自然に近い図書館を提案する。建物は緑をとりまくように配置され、分棟になっている閲覧室は宙に浮きツリーハウスのような隠れ家にいるような気持ちになる。敷地を歩き回ることのできる外部デッキは歩いたり、溜まり場になったりと外部での活動が盛んになる。今までの静かな図書館とは違ったアクティブさを取り入れた図書館を提案する。
図面・模型
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第二課題「子どもの居場所としての公園と集合住宅」

はじめに

  • 都市空間のなかで、子どもの居場所を考えて欲しい。最近の公園には、「ボール遊びの禁止」など、遊び方について制限を加える注意書きが多く見られ、子どもたちが思い切り遊べる場所が少なくなっている。このような中で現在、全国の自治体で「子どもの居場所づくり」を支援する取組みが進んでいる。そもそも、公園は子どもだけのものではなく、高齢者をはじめ多世代が憩う貴重なオープンスペースである。子どもの居場所の先に、家族や学校、地域コミュニティが健やかに繋がらなければならない。現代の都市空間における公園の新たな役割を提案して欲しい。
  • 一方、長野県では、居住地や都市機能の集約が計画・検討されている。これらは人口減少に備えた、地域の拠点づくり、地域の活力維持を目的とするもので、中心市街地に建つ集合住宅は今後ますます、こうした役割が期待されるだろう。
  • そこで、旧大型商業施設の跡地利用を想定して、公園を含んだ集合住宅の設計を行う。子どもの居場所としての公園、公園と集合住宅の望ましい連携、周辺地域と公園との新たな関係、など新鮮な提案を望む。
  • 対象敷地:もんぜんプラザ

受賞作品

金賞 酒向正都 「つなぐこと-公園×家×ながの-」

敷地周辺には多世代の方々が行き交う。もんぜんぷら座前の大通りに魅力があるからである。様々なファサードを持った店舗、ショーウィンドウから溢れ出す光。あたたかい光と街のにぎやかさは人を引き込む。そこに中期滞在の公園、長期滞在の集合住宅が都市に奥行きを与えると門前のにぎやかさはつながり、新たな行為のきっかけを生む。
図面・模型
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銀賞 工藤理美 「縁側に住まう」

私は公園があっていつでも遊べる環境の中で安心して暮らすことのできる、住人の家族同士の交流の場となる集合住宅を提案する。公園と街と住宅を繋ぐ道は住人と子供たちとの交流を育む場となり、その周りの広場や住宅を囲む縁側は子供達が安心して過ごせる空間となる。新婚夫婦や子育てし始めの家族が入居し、将来自分たちの家を持つまでの間、お互いに助け合いながら、子供たちがのびのびと暮らすことのできる住宅となっている。住宅は子供たちを見守るように公園を囲んだ形に置き密度を薄くして戸建住宅のようにすることで住宅と公園とのつながりが多く持つことができる。 開放的な内部空間とそれを囲む縁側で、全体がひとつの家族のような関係をつくることできる集合住宅を目指した。
図面・模型
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銅賞 宮西夏里武 「私道に花を咲かせれば -善光寺界隈の町並みに見られる私道空間の使われ方と継承法-」

長野市の門前町とその裏通りには小さな路地や私道が複雑に交差している。ここに住む住民たちはそんな小さな私有空間を、ときに開放し小さな共有空間を生み出してきた。ささやかな緑や共有路が人々の生活の架け橋となり、無言のコミュニティとなり街をとりまく。現代の立体展開する住宅の中においてもそんなささやかな連鎖反応のようなものがあってもいいのではないか。この街の住宅同士の住まわれ方を研究、再評価しその価値を次世代へ継承する。
図面・模型
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