信州大学工学部建築学科|設計製図アーカイブ

2019年度|建築・デザイン工学設計製図Ⅰ

メンバー

担当教員:田守伸一郎・梅干野成央・中谷岳史

TA:遠藤駿・花井敦

課題内容「学生の憩いの場」

はじめに

  • 実測した2種類の建物(RC造建物か木造建物)のどちらかについて、再利用を図る設計をする。
  • 建物の用途は変えてもよいし、付加してもよい。建物の特徴とキャンパスの現状の両面から、用途や形態を検討すること。
  • 既存の構造体の活用を基本とするが、増築や減築も可。その際、補強についても一応考慮すること。なお、柱を切断し階高を変更するような、非現実的な改築はしない。

受賞作品

小野田朱音 「はなす図書館」

憩いの場を考えたとき、私はまず初めに1人になれる場所が憩いの場だと感じた。大学内には1人になれる場所が少ないと常々思っていたので、1人になれる空間のある図書館を憩いの場として提案しようと考えた。しかしその後考えるうちに友人と談笑していてあっという間に時間が過ぎてしまうことがたくさんあり、それも憩いであると思った。そのため憩いの場には「一人になれる場所」「人とコミュニケーションをとれる場所」という2つの機能が必要だと感じた。これらの真逆の性質を持たせるために、階ごとに機能を分け、それらをスロープで繋ぐことで図書館内の機能の変わり目を緩やかにした。それによって図書館を訪れる人々が自分に合った憩いの場を選べるようにした。図書館は広場や学生がよく利用する道に面している。その通りを歩く人々が、緩やかに建物内に入り、人と繋がりコミュニケーションを取ったり、人と離れて緊張を解いたりできる図書館を目指した。
図面
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勝山詩乃 「合間に畳、靴を脱ぎ」

現在の武道場は講義棟付近に位置している。この講義棟は多くの講義で使用されているため、その講義を待つ学生や部屋から出入りする学生で大変混雑している。これは、授業と授業の間の時間を過ごせる施設が講義棟の近くに図書館しかないことが、問題の一つであると考えられる。この講義時間の前後に起こる混雑を軽減するために、大学生活の“合間”の時間に過ごせるような“憩いの場”を設計しようと考えた。“憩いの場”を設計するにあたって、“憩い”について考えた。我々日本に住まう人間にとって、“靴を脱ぐ”行為は“憩い”であると考える。なぜなら、“靴を脱ぐ”ことは“家に入る”ことを連想させるためだ。さらに、“憩い”である家は一人暮らしの家よりも、自分の実家ではないだろうか。そのため、“靴を脱ぎ畳に座る”ことでどこか実家のような懐かしさを感じさせる空間を作れるのではないかと考えた。
図面
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嶋中大和 「学生たちのよりどころ」

学生の憩いの場として、図書館のリノベーションを提案する。図書館を選択した理由としては、信州大学工学部のキャンパスの中心に位置しているからである。学生にとっての憩いとは、友人と集まって楽しく、他愛のない話に花を咲かせることだと考える。この学生たちが“集まる”ということに注目する。箱型であった図書館をL字型にし、テラス、大屋根を設けることで学生たちが集まる空間を生み出す。テラスは、キャンパス中央に位置する広場との関連性を持たせるために広場へ向けて展開している。テラスの反対側となる正面側からテラスへの通路を設けることで、動線を確保する。この通路は一度階段を上り、その後下ってテラスへとつながる。2階に生協購買部があることで、ただ階段を上り下りするだけでなく、購買で弁当を買ってテラスで食べるなど通路を通る目的が増え、利用頻度を多くさせる。また、タイトルにある“よりどころ”とは、頼みとするところ、支えてくれるという意味の拠り所と、人などが集まるところを意味する寄り所の2つを意味する。
図面
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福田凱乃祐 「Layerbrary -引き込み、交わりを生む図書館-」

「憩い」という言葉には、途中で止まって休むという意味がある。途中で止まるという言葉から、「憩いの場」とは人々の生活の合間にふと入り込み、次の活動への活力を与える場なのではないかと考えた。本設計課題では、学生に活力を与える場として、大学での学生の主な活動である学習や研究と学生を結びつける施設として図書館を選択した。図書館の内部は、多彩な空間を生み、利用者の視界を大きく広げる積層空間で学生に新たな発見や交流を与える空間をつくる。また、利用者どうしの発見と交流の間に、「本」という媒体が入り込み、学生の学びと活動を一体化させられるように本棚と交流の場に連続性を持たせた。さらに、外部は中庭を活用しつつ、図書館からも多方向に屋根を伸ばすことでキャンパスを歩く学生を自然に内部に引き込むことのできる空間をつくった。このような内部と外部の空間を組み合わせることにより、キャンパスを移動する学生を自然に引き込み、内部で多様な交わりを生むことを可能とする図書館「Layerbrary」を提案する。
図面
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堀尾友美 「つなぐとしょかん」

人が憩うためにすることは、寝ることやしゃべること、体を動かすことなど様々なことがある。今回のコンセプトを決めるにあたり考えたことは、その憩いの場が、大学の図書館にふさわしいものであるということだ。大学は、家とは違い、常に人がいる環境である。人との交流は大学に通う意味の重要なひとつであるし、また、大学生にとって本を読むことは、大切なことである。よって、私は図書館の機能を残し、人と人、人と本、内と外のつながりを感じられる図書館を目指した。人と本をつなぐために、外からも本が見えるような配置、本に囲まれる窮屈な空間を作った。人と人をつなぐために、大きな窓で外周を覆い、内外が見えるように、また、開放感を得られるようにした。窮屈な空間と開けた空間により、利用者の気分にあった場所になるようにした。また、このつなぐ図書館は、本を読んだり、しゃべったりするのはもちろんだが、入り口が多いことを利用して、待ち合わせ場所などの人と出会う場所としても利用してほしい。
図面
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三宅航平 「風の栞図書館」

今回の図書館のリノベーション設計「学生の憩いの場」において、まず第一に考えたのは講義棟と食堂とを結ぶ動線に図書館を絡ませることだった。そのため、設計の際には、南北に通り抜けの可能な通路を設け、それを核として屋外に対して開放的な外観、学生が移動の合間に立ち寄る目的となるようなサービスを設けることを重視した。加えて、図書館は学校の顔であるという考え方から大学の図書館に相応しいような特徴ある外観モチーフを設定するということも考慮した結果、「積み上がった本の様な外観」へと辿り着いた。一枚板を折り曲げたような外観を持つこの図書館は、外壁の少なさから外部からの自然光を取り込み、また直射光の遮蔽に樹木を用いたことで屋内から常に緑をうかがうことができ、「本」と「木」という学びを連想させるものに包まれながら学びを深めることができるような空間を作り出すものとなっている。
図面
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山口美空 「時を過ごす」

憩いの場所に求めるものは人それぞれであり、その日その時の気分によっても変わる。そこで私は、誰がどんな状況にいても憩いの時間を「過ごす」ことのできる空間をと考えた。今現在の図書館は本を借りる場所、勉強する場所という役割に限定されていて、多様な時間を「過ごす」空間としては、最適であるとは言えない。このことから、誰もが居心地の良い時間を「過ごす」ことにできる新たな図書館を次に示す現在の図書館の改善点をふまえ、このように提案する。
空間が閉鎖的で外からの光が昼間でも届きにくい→開放的な空間であること、自然の光を感じることができること
常にまわりの視線にさらされており、1人になれる空間がない→周囲の視線が気にならないこと、1人でもくつろぐことのできるスペースがあること
図面
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山田雄介 「コモレビ図書館」

憩いという言葉には、体や心を休めるという意味がある。心が落ち着く場所というのは人によって異なり、そのカタチは様々である。その中で、私が最初に思いつく場所は木陰である。木陰というのは、特にそこで何かをするわけではなく、その場にいるだけで心が安らぐ空間であると思う。そこで、木の下の空間というのをモチーフにしたリノベーションを提案する。まず、図書館の中央付近に三層吹き抜けの空間を作り、そこに大木をイメージした柱を設計した。柱の構造は、木材を交互に組んだものであり、その上部には天窓がある。この天窓は、そこから入ってきた光が木材の隙間を通ることで、木漏れ日のような光を生み出すということを意図として設計したものである。
図面
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