信州大学工学部建築学科|設計製図アーカイブ

2019年度|工芸デザイン製図Ⅱ

メンバー

担当教員:土本俊和・梅干野成央・柳瀬亮太・松田昌洋・佐倉弘祐

TA :稲垣航・田邊直人・宮城拓海

第一課題「民家の再生」

はじめに

  • 「温故知新」「知古創新」とは古くていつも新しい言葉である。建築を創るということは諸条件による目的があり、結果として用と美を兼ね備えたものでなくてはならない。一般的には、三次元的新空間を構築するものであろう。ところで、地域に残る古い建物はそれだけで私たちを圧倒する。そこには時間軸が加わり四次元空間として現存し続けている。建物は生まれた時から時を刻み、記憶を重ね、途絶えることなく深く静かに浸透し、時を超えて貫いていくものがある。まず民家の生活や労働を通して建物に潜む記憶を読みとり、そこに新しい価値を加えて未来に引き渡すことが「民家の再生」という課題のテーマである。
  • 建築において新しいものを創造する行為が古典から学ぶプロセスを拒絶して久しい日本で、失ったものの大きさを知り本来の価値を再発見すること。そのうえで新しい民家の有様を提案することを目的とする。この課題を通して他者は勿論、自分自身の再発見となる最初の機会であることを期待する。

課題内容

  • 須坂の町屋を再生せよ


後半課題(再生物件にオリジナル家具を設える)を見据えた空間設計が望まれる。

第二課題「民家と工芸」

はじめに

  • パソコンの普及にともなって、ソフトに付属するひな形やネット上に存在する過去の図面データを利用して、建築図面はコピー&ペーストで描けるようになった。今や、単純作業の反復を省くためだけではなく、創造的に感じられる図面の作成も可能である。その結果として、店舗や集合住宅は言うに及ばず、戸建て住宅に至るまで地域性の感じられない建築が趨勢を占めつつある。
  • その傾向はインテリアでも同様であるが、日曜大工や民具という言葉があるように、工業化されていないモノの魅力は根強く存在する。再生した民家の室空間の解釈をふまえたインテリア(棚、机、椅子など)や造り付け家具の提案は、その極みと言えよう。

課題内容

伝統的な建築空間にふさわしい工芸作品を提案する。

受賞作品

Khoo Rui Jung 「びんてーじ」