生物資源システム工学
syllabus

科目名 生物資源システム工学
教員名 小原 仁実
単位数 2
開講学期 1年2年 第1クオーター

授業のねらいと概要

近年、地球環境保護の立場から、エネルギーやプラスチックの原料が石油からバイオマス由来へ転換されつつある。そのためには、微生物反応を利用し、バイオマスを有用な化学物質に変換せなばならない。さらに、全体の工程をシステム化することも重要な課題である。本授業では、微生物を扱う生物化学工学、バイオマスの成り立ちを考察し、製造に用いられる装置の特性を解説する。さらに、地球環境保全の為の国際的な取り組みを解説する。

授業計画

  1. 生物化学工学の概要
    生物化学工学は発酵工業を端とする。その沿革について述べ、今後生物化学工業が進むべき方向を考察する。
  2. 微生物の特性
    生物化学工学で反応の担い手である微生物について理解を深める。微生物の種類、微生物の化学組成、微生物の栄養要求性と培地組成などの解説を行う。
  3. 反応速度論
    化学工学と生物化学工学の違いは反応触媒に生物(微生物)を用いる点である。微生物は増殖または死滅するので、原料および生成物に関する速度論だけでなく、微生物の増殖および死滅に関する速度論も含め解説する。
  4. 連続培養
    連続培養における定常状態の理論、回分培養と連続培養の比較を行う。また、操作上の問題点についても解説する。
  5. 化学工学で用いる装置(1)
    生産現場で用いられる化学装置を概観し、実験室段階からスケールアップのイメージをつかむ。低粘度領域から高粘度領域に至るまでの攪拌装置を解説する。
  6. 化学工学で用いる装置(2)
    スケールアップの基礎、実例を紹介する。また、実装置のバルブ、ポンプ類について、その種類と機能を解説する。
  7. 枯渇資源(石油)
    枯渇資源であり、燃焼により大気中の炭酸ガスを増加させる石油について解説する。石油生成に関する諸説、石油採掘の方法、石油メジャーとOPEC等に関して説明する。
  8. バイオマス(1)
    生命の起源について解説し、地球上のバイオマスの生成過程を考察する。
  9. バイオマス(2)
    石油に代わる資源として利用が進められているバイオマスについて解説する。世界のバイオマスの種類と生産量と、その利用について説明する。
  10. バイオ燃料(1)
    バイオ燃料として利用が進められているエタノールについてブラジルとアメリカの現状を説明する。
  11. バイオ燃料(2)
    エタノールと並んで利用が進められているバイオディーゼルの製造方法と京都での利用例に関して解説する。
  12. バイオプラスチック
    バイオマスを原料としたバイオプラスチックに関して解説する。
  13. グリーンケミストリーとホワイトバイオ
    今世紀の化学を方向付ける概念として、グリーンケミストリーとホワイトバイオが挙げられる。その解説を行う。
  14. 研究開発
    企業内での研究開発の方法について解説する。
  15. 総括
    上記の講義内容に関して、今後の資源システム工学の進むべき方向を考察する。

成績評価方法

レポートの提出により、成績の評価を行う。レポートの評価基準は正確な知識、思考力、および独創性である。

質問、相談への対応

 

学生へのメッセージ

 

教科書・参考書

  1. 生物反応工学、山根恒夫、産業図書
  2. 培養工学、吉田敏臣、コロナ社
  3. 発酵工学の基礎、P.F.Stanbury, A. Whitaker著 石崎文彬訳

備考

 



このページのトップへ