信州ブックレットシリーズ003
21/32

19汕頭市(貴嶼村)の現状からみる中国の経済発展と循環型社会構築への課題化であり,人々の生活にとっていいことですね。 しかし,そのサイクルが,速くなった。それまでの,例えば鉄鋼製品とか,電気製品でも,昔の冷蔵庫はなかなか壊れなかったんですけれども,デザインを変えるとか,省エネ仕様とかで,次々に新しいものが出てきます。そうすると,要らなくなるものがあるわけです。 自動車でもそうですが,それは普通,先進国から発展途上国へ,中古品が流れていく。そこで修理し,使われることはあるでしょう。日本の中古車が,ウラジオストックあたりで,日本語の会社名をつけたまま走っている光景です。 しかし,そこでも使えなくなったものは,どうなるのか。それが,全部その国の中で処理されれば,普通の典型的なNIMBY問題になります。廃棄物処理の国内立地問題です。しかし,中古品を受け入れた途上国には,リサイクルの技術が未発達で,定着していないケースが多い。ですから,日本製の古い自動車も,ロシアではそのまま野ざらしになって,シベリアの平原に捨てられていたりする問題が,起こってくる。 汕頭市貴嶼村のケースは,その電子機器版です。IT商品は,とりわけ技術進歩が速く,短期でバージョンアップされます。ですから,リサイクル品のライフサイクルも,ものすごく短縮されます。携帯電話だったら,1年でもう古くなったりします。 その電子廃棄物が,世界中で,携帯電話が今50億台,つまり69億の地球人の70%ぐらいが使うようになっています。先進国のほうでは,例えばオランダなんかは,1人3台分を持っていて,そういうものが,どんどん捨てられているわけです。 これは,アメリカのケースですけれども,2002年に1275万台のコンピューターが,リサイクルに回されました。そのうち80%が輸出されました。どこに輸出されたかというと,そのうち90%は中国に向かった,といいます。 これは,日本についても,基本的には言えることです。最新型が出ると,古い型のものは,はじめは輸出に回されるケースが多いわけです。日本の場合には,2001年に「家電リサイクル法」(「特定家庭用機器再商品化法」)ができました。そのリサイクル法に従って,最終的に国内で処理されればいい

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です