信州ブックレットシリーズ003
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16回だけですが。そのさい,「電子ごみの処理は,10%の危険廃棄物が出るが,本当に危険なところは専門的な処理をする場所が指定されている,だから大丈夫だ」と市の環境局は言うのです。実際には,本当かなという結果が,去年の1月調査でした。5月に汕頭大学の私たちの仲間たちが再度調査に行っても,状況は基本的には変わっていない,という報告がありました。 例えば,市当局は,「貴嶼には外国の電子ゴミを直輸入する企業はひとつもない」といいます。けれども,香港や深圳を経てくるとすれば,それでいいのかという問題がある。逆に言えば,本当は直輸入したいのだが,そこにブローカー,仲買人が入ってくる。 日本からも,千葉県市川から香港に送られて,香港から深圳,深圳から貴嶼に行ったという記録があります。そういうルートが実際にはできているのですが,それは直輸入ではないということで弁明する,そういう状況があります。 私たちは,市の環境局から,「国家環境保護模範都市」についてのいろいろな資料をもらいましたが,実際の見聞は,ききしにまさるものでした。例えば,家内工場の中で,電動ドライバーでCDディスクを解体している,パナソニックもありました。従業員がマスクや防護服などを装着していないケースは普通に見られ,私たちが行くときだけ,家内で何かを燃やしているところは見えないようにする,煙が上がらないようにする,そういうことが,実際にはされているようです。 つまり,防護服もマスクも着けずに,手作業で分別・分解する。貴金属を取り出すための電子回路基盤の燃焼や,酸を使った洗浄があるわけですが,その廃液は川にそのままたれ流す。電線ケーブルから銅を取り出すために,塩化ビニール外皮を燃やす。電線を覆っているビニールを焼くと,すごい煙が出るのですが,それがそのまま空気中に拡散していく。それらでも処理できなかったゴミが,川辺や道路に無造作に置かれている。プラスチックを含めて,少したまったら燃やされる。こういう状態があるのです。 これが,2002年の段階で,世界中に大きく報道されました。日本でも,年に1回ぐらいはどこかのチームが行って,テレビでも報道されるようになりました。

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