信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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では,(A)のような右下のセルは正しい決定と言えるのかどうか。つまり,とるべき行動は任意接種となり,役所も任意接種の方針に切り替わった。これが正しい決定と言えるのかどうか。 強制であれ任意であれ,副作用の発生リスクはゼロにはならないわけです(B)。もちろん,副作用の被害を少なくするために,ワクチンの改良や,接種前の診断をきめ細かく行うことは必要だと思います。それでも,ワクチンの性質にもよりますが,一定規模の人数に打ったら,一部の人に深刻な副作用が出てしまうことは,確率として否定できない。その場合,副作用の責任は誰が負うのかという問題になります。 今は,本人や保護者の同意書が求められています。これによって責任転嫁を図るわけです。医者や役所の責任ではないというスタンスをとります。現実の内容としては,リスクはあるのだけれども,リスクが現実化したときの責任問題の所在はどこにあるのかという話になってしまいます。 本来,感染症を抑制するのが社会目的であるならば,(B)のように,強制接種というやり方が,深刻な感染症に関しては求められるのではないか。結局,強制すべきところを任意接種という姿勢なので,本来すべきことをしていない不作為の間違いを犯しているのではないのか。つまり,感染症拡大阻止の責任を放棄しているのではないかということです。ただ,これについては,別の考え方があるかもしれません。ワクチン接種のリスクとベネフィット 以上は,もっぱらワクチン接種による副作用と責任問題についての話でしたが,冷静に議論するためにも,リスクとベネフィットの比較分析を行うことは重要です。図表17に示したように,風疹のワ57

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