信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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クです。この場合は,発がんリスクと感染症のリスクを足して,それが最小になるところを選ぶというのが,リスク管理としては最もいいことです。 この場合には,幸い,発がんリスクはほとんど変化しない中で,感染症リスクだけが劇的に減少しますので,400CT以上の塩素消毒をすることがベストだと言えるわけです。ですから,発がんリスクを恐れて塩素消毒をしないのは,愚かな選択ということになります。感染症のリスクを招いてしまう,逆にリスクを高めてしまう。発がんリスクは確かにゼロになったけれども,感染症による死亡リスクを劇的に高めてしまうことになります。総リスクの管理 リスクのトレード・オフ,あるいはリスク対リスクということですが,あるリスクを削減しようと思うと,別のリスクが逆に高まってしまうときには,あくまで,その二つのリスクを足し合わせて,両方の合計値を抑えることが一つの解決策になります。図表7は,対抗リスクを考慮して総リスクを最小化する考えを示したものです。 気をつけておきたいのは,ここでの価値観は,両方のリスクの質が同じだということ。足し算をしているということは,質は考えていないのです。がんで死ぬ一人と,細菌感染で死ぬ一人は,同じ価値だと。そうすると,これは人命だから同じ価値だろうということで,ここでは足し算が可能になっているわけです。足し算できないリスク しかし,質を考えた場合に,足し算ができないリスクもあります。たとえば消防活動など,公共のために命を懸けた殉職者。警察官とか消防士のような殉職リスクの人と,何かスポーツをしていて事故15
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