信州ブックレットシリーズ5電子書籍版
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分からない,結果すら不明な状況が「無知」な状況下になります。 このように意思決定の環境を四つに区分し,確実な状況を除いた三つの状況が,広い意味でのリスク,すなわち「広義のリスク」になります。セクションⅠでは,主として確率計算が可能なリスク下の意思決定について見ていきたいと思います。(2) リスクと環境リスクリスクの種類 リスクには,さまざまな種類があります。今日のテーマは「環境リスク」ですが,ほかに政治的なリスクや経済的なリスク,企業レベルではビジネスのリスクがあります。あるいは社会的なリスク。たとえば,少子化や高齢化は,社会保障制度に関して大きな社会的リスクになるわけです。人口構成の変化という意味で。それが社会的リスクの一例です。また,技術的なリスクや環境リスク,この辺は直感的に分かるかと思います。 リスクには,プラス面とマイナス面があります。どちらかというとリスクのマイナス面が強調されますが,両面あるわけです。典型的なものは,経済的なリスクの中の株価などは,良いほうにも悪いほうにもなります。利益の方向に行く場合もあれば,損失が出る方向に行く場合もある。そういう意味で,リスクには損得両面があるということです。 一般的なリスクの考え方は,このように複数の結果,たとえば値上がりと値下がりの幅が大きければ大きいほど,リスクが大きくなります。その時間当たりの変化の幅,短期間に値上がりと値下がりを繰り返すと,それはまた,リスクが非常に大きいことになります。あるいは,それぞれのインパクトが大きいと,1回で致命的な影響を与えるものがあれば,それもリスクが大きいと認識される。それ4

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