代表者からのごあいさつ

農林水産業の発展と持続可能性確保の解決

我が国は国土の約3分の2が森林に覆われた世界有数の森林国であります。本プロジェクトは、森林資源の有効活用と農林水産業の発展と持続可能性確保という課題を同時解決することを目標とし、これまでにない密な農工連携体制を構築します。すなわち、森林資源の有効活用を目的に主に森林資源(スギや竹など)由来のセルロースナノファイバーまたはそれをバイオナノカーボン化して用いることで、革新的な高機能性新素材を創成します。
それらを用いて各種複合材などを中心に参画企業群と連携、協力して実用化開発を進め、当該新素材を他分野に先駆けて農林水産分野に導入することを目指しています。特にこれまでに得られた知見や構築してきた研究体制の実効性をベースにさらにシナジー効果を高め、殊に参画企業・大学チームを大幅に増強して森林資源を活用した新規な素材開発とその実用化を強力に展開します。

遠藤 守信
信州大学 特別栄誉教授 / 先鋭材料研究所特別特任教授

社会課題の解決に取り組む先端研究

ドレッセルハウス教授や遠藤教授が切り拓いてこられたナノカーボン領域では、膨大な知の蓄積を背景に応用につながる成果が次々と生み出される段階(知の収穫期)に入っています。一方、セルロース・ナノファイバーを初めとする植物由来の材料に関する研究も、萌芽の段階を経て成長期に入り学知が確立しつつあります。「ABCコンソーシアム」は、これらナノカーボンと植物由来材料との複合がもたらす可能性についていち早く気付いて取り組み、現在、研究面で世界のトップを走っているものと自負しています。我々は、このチャンスを最大限に活かし、産学及び地域社会との密な協働により、農林水産業における品質やコスト競争力の向上と、従事者数の減少や超高齢化、周辺環境との調和等の社会課題の解決に取り組んでいきます。

坂田 一郎
東京大学副学長・大学院工学系研究科教授