○国立大学法人信州大学危険物取扱指針
(平成16年4月1日国立大学法人信州大学指針第10号)
第1 目的
この指針は,国立大学法人信州大学における危険物による爆発又は火災を防止するため,爆発性,発火性,酸化性又は引火性の危険物の適正な取扱いに関し必要な事項を定める。
第2 危険物の取扱いの措置
危険物を取り扱うときは,爆発又は火災を防止するため,次の各号に定めるところによらなければならない。
(1)
爆発性の物については,みだりに,火気その他点火源となるおそれがあるものに接近させ,加熱し,摩擦し,又は衝撃を与えないこと。
(2)
発火性の物については,それぞれの種類に応じ,みだりに,火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ,酸化をうながす物若しくは水に接触させ,加熱し,又は衝撃を与えないこと。
(3)
酸化性の物については,みだりに,その分解がうながされるおそれのある物に接触させ,加熱し,摩擦し,又は衝撃を与えないこと。
(4)
引火性の物については,みだりに,火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ,若しくは注ぎ,蒸発させ,又は加熱しないこと。
(5)
危険物を取り扱う設備のある場所を常に整理整頓し,及びその場所に,みだりに,可燃性の物又は酸化性の物を置かないこと。
第3 ドラム缶等の処理
ガソリン等が残存しているドラム缶等に,燈油又は軽油を注入する作業を行うときは,あらかじめ,その内部について洗浄し,ガソリン等の蒸気を不活性ガスで置換する等により,安全な状態にしたことを確認した後でなければ,当該作業を行ってはならない。
第4 通風等による爆発又は火災の防止
引火性の物の蒸気,可燃性ガス又は可燃性の粉じんが存在して爆発又は火災が生ずるおそれのある場所については,当該蒸気,ガス又は粉じんによる爆発又は火災を防止するため,通風,換気,除じん等の措置を講じなければならない。
第5 通風等が不十分な場所におけるガス溶接等の作業
通風又は換気が不十分な場所において,可燃性ガス及び酸素(以下「ガス等」という。)を用いて溶接,溶断又は金属の加熱の作業を行うときは,当該場所におけるガス等の漏えい又は放出による爆発,火災又は火傷を防止するため,次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
(1)
ガス等のホース及び吹管については,損傷,磨耗等によるガス等の漏えいのおそれがないものを使用すること。
(2)
ガス等のホースと吹管及びガス等のホース相互の接続箇所については,ホースバンド,ホースクリップ等の締付具を用いて確実に締付けを行うこと。
(3)
ガス等のホースにガス等を供給しようとするときは,あらかじめ,当該ホースに,ガス等が放出しない状態にした吹管又は確実な止めせんを装着した後に行うこと。
(4)
使用中のガス等のホースのガス等の供給口のバルブ又はコックには,当該バルブ又はコックに接続するガス等のホースを使用する者の名札を取り付ける等ガス等の供給についての誤操作を防ぐための表示をすること。
(5)
溶断の作業を行うときは,吹管からの過剰酸素の放出による火傷を防止するため十分な換気を行うこと。
(6)
作業の中断又は終了により作業箇所を離れるときは,ガス等の供給口のバルブ又はコックを閉止してガス等のホースを当該ガス等の供給口から取り外し,又はガス等のホースを自然通風若しくは自然換気が十分な場所へ移動すること。
第6 ガス等の容器の取扱い
ガス溶接等の業務に使用するガス等の容器については,次の各号に定めるところによらなければならない。
(1)
次の場所においては,設置し,使用し,貯蔵し,又は放置しないこと。
イ
通風又は換気の不十分な場所
ロ
火気を使用する場所及びその附近
ハ
火薬類,危険物その他爆発性若しくは発火性の物又は多量の易燃性の物を製造し,又は取り扱う場所及びその附近
(2)
容器の温度を40度以下に保つこと。
(3)
転倒のおそれがないように保持すること。
(4)
衝撃を与えないこと。
(5)
運搬するときは,キャップを施すこと。
(6)
使用するときは,容器の口金に付着している油類及びじんあいを除去すること。
(7)
バルブの開閉は,静かに行うこと。
(8)
溶解アセチレンの容器は,立てて置くこと。
(9)
使用前又は使用中の容器とこれら以外の容器との区別を明らかにしておくこと。
第7 異種の物の接触による発火等の防止
異種の物が接触することにより発火し,又は爆発するおそれのあるときは,これらの物を接近して貯蔵し,又は同一の運搬機に積載してはならない。
第8 油等の侵染したボロ等の処理
油等によって侵染したボロ,紙くず等については,不燃性の有がい容器に収める等火災防止のための措置を講じなければならない。
第9 化学設備を設ける建設物
化学設備(反応器,混合器,沈殿分離器,熱交換器,貯蔵タンク等の容器本体並びにこれらの容器本体に附属するバルブ及びコック等の部分をいう。以下同じ。)を内部に設ける建築物については,当該建築物の壁,柱,床,はり,屋根,階段等(当該化学設備に近接する部分(化学設備の周囲の部分であって,化学設備で使用される危険物の付着,化学設備の輻射熱による加熱等によって燃焼しやすい状態になるおそれがある部分)に限る。)を不燃性の材料で造らなければならない。
第10 腐食防止
化学設備又はその配管(化学設備又はその配管のバルブ又はコックを除く。)のうち危険物又は引火点が65度以上の物(以下「危険物等」という。)が接触する部分については,当該危険物等による当該部分の著しい腐食による爆発又は火災を防止するため,当該危険物等の種類,温度,濃度等に応じ,腐食しにくい材料で造り,内張りを施す等の措置を講じなければならない。
第11 ふた板等の接合部からの漏えい防止
化学設備又はその配管のふた板,フランジ,バルブ,コック等の接合部については,当該接合部から危険物等が漏えいすることによる爆発又は火災を防止するため,ガスケットを使用し,接合面を相互に密接させる等の措置を講じなければならない。
第12 バルブ等の開閉方向の表示等
化学設備若しくはその配管のバルブ若しくはコック又はこれらを操作するためのスイッチ,押しボタン等については,これらの誤操作による爆発又は火災を防止するため,次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
(1)
開閉の方向を表示すること。
(2)
色分け,形状の区分等を行うこと。
第13 バルブ等の材質等
化学設備又はその配管のバルブ又はコックについては,開閉の頻度及び取扱いに係る危険物等の種類,温度,濃度等に応じ,耐久性のある材料で造られたものを使用しなければならない。
第14 送給原材料の種類等の表示
化学設備に原材料を送給する者が当該送給を誤ることによる爆発又は火災を防止するため,見やすい位置に,当該原材料の種類,当該送給の対象となる設備その他必要な事項を表示しなければならない。
第15 退避等
1
化学設備から危険物等が大量に流出した場合等危険物等の爆発,火災等による災害発生の急迫した危険があるときは,直ちに作業を中止し,安全な場所に退避しなければならない。
2
前項の場合には,危険物等による災害のおそれのないことを確認するまでの間,当該作業場等に関係者以外の者が立ち入ることを禁止し,かつ,その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
第16 改造,修理等
化学設備,化学設備の配管又は化学設備の附属設備の改造,修理,清掃等を行う場合において,これらの設備を分解する作業を行い,又はこれらの設備の内部で作業を行うときは,次の各号に定めるところによらなければならない。
(1)
当該作業の方法及び順序を決定し,あらかじめ,これを関係者に周知すること。
(2)
当該作業の指揮者を定め,その者に当該作業を指揮させること。
(3)
作業箇所に危険物等が漏えいし,又は高温の水蒸気等が逸出しないように,バルブ若しくはコックを二重に閉止し,又はバルブ若しくはコックを閉止するとともに閉止板等を施すこと。
(4)
前号のバルブ,コック又は閉止板等に施錠し,これらを開放してはならない旨を表示し,又は監視人を置くこと。
(5)
第3号の閉止板等を取り外す場合において,危険物等又は高温の水蒸気等が流出するおそれのあるときは,あらかじめ,当該閉止板等とそれに最も近接したバルブ又はコックとの間の危険物等又は高温の水蒸気等の有無を確認する等の措置を講ずること。
第17 定期自主検査
1
化学設備及びその附属設備については,2年以内ごとに1回,定期に,次の各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。
(1)
爆発又は火災の原因となるおそれのある物の内部における有無
(2)
内面及び外面の著しい損傷,変形及び腐食の有無
(3)
ふた板,フランジ,バルブ,コック等の状態
(4)
安全弁,緊急しゃ断装置その他の安全装置及び自動警報装置の機能
(5)
冷却装置,加熱装置,攪拌装置,圧縮装置,計測装置及び制御装置の機能
(6)
予備動力源の機能
(7)
前各号に掲げるもののほか,爆発又は火災を防止するため特に必要な事項
2
自主検査の結果,当該化学設備又はその附属設備に異常を認めたときは,直ちに,補修その他必要な措置を講じなければならない。
3
自主検査を行ったときは,次の各号に掲げる事項を記録し,これを3年間保存しなければならない。
(1)
検査年月日
(2)
検査方法
(3)
検査箇所
(4)
検査の結果
(5)
検査を実施した者の氏名
(6)
検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは,その内容
第18 使用開始時の点検
化学設備又はその附属設備をはじめて使用するとき,分解して改造若しくは修理を行ったとき又は引き続き1月以上使用しなかったときは,これらの設備について点検し,異常がないことを確認した後でなければ,使用してはならない。
第19 安全装置
異常化学反応その他の異常な事態により内部の気体の圧力が大気圧を超えるおそれのある容器については,安全弁又はこれに代わる安全装置を備えているものでなければ使用してはならない。
ただし,内容積が0.1立方メートル以下である容器については,この限りでない。
第20 火気等の管理
危険物等が損じて,爆発又は火災が生じるおそれがある場所等では,火気等の取扱いは,次の各号に定めるところによらなければならない。
(1)
可燃性の粉じん,火薬類,多量の易燃性の物又は危険物が存在して爆発又は火災が生ずるおそれのある場所においては,火花若しくはアークを発し,若しくは高温となって点火源となるおそれのある機械等又は火気を使用しないこと。
(2)
引火性の物の蒸気又は可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所において電気機械器具を使用するときは,当該蒸気又はガスに対しその種類に応じた防爆性能を有する防爆構造電気機械器具を使用すること。
(3)
可燃性の粉じんが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所において電気機械器具を使用するときは,当該粉じんに対し防爆性能を有する防爆構造電気機械器具を使用すること。
(4)
前2号の防爆構造電気機械器具を使用するときは,その日の使用を開始する前に,当該防爆構造電気機械器具及び移動電線の接合部の状態を点検し,異常を認めたときは,直ちに補修して使用すること。
(5)
通風又は換気が不十分な場所において,溶接,溶断,金属の加熱その他火気を使用する作業又は研削砥石による乾式研ま,たがねによるはつりその他火花を発するおそれのある作業を行うときは,酸素を通風又は換気のために使用しないこと。
(6)
次の設備を使用する場合において,静電気による爆発又は火災が生ずるおそれのあるときは,接地,除電剤の使用,湿気の付与,点火源となるおそれのない除電装置の使用その他静電気を除去するための措置を講じること。
イ
危険物を収納するドラム缶等の設備
ロ
引火性の物を含有する塗料,接着剤等を塗布する設備
ハ
乾燥設備で,危険物又は危険物が発生する乾燥物を加熱乾燥するもの
ニ
前各号に掲げる設備のほか,化学設備又はその附属設備
(7)
火災又は爆発の危険がある場所には,火気の使用を禁止する旨の適当な表示をし,特に危険な場所には,必要でない者の立入りを禁止すること。
(8)
建築物及び化学設備又は乾燥設備のある場所その他危険物,危険物以外の引火性の油類等又は火災の原因となるおそれのある物を取り扱う場所には,適当な箇所に,消火設備を設けること。
(9)
前号の消火設備は,建築物等の規模又は広さ,建築物等において取り扱われる物の種類等により予想される爆発又は火災の性状に適応するものであること。
(10)
火炉,加熱装置,鉄製煙突その他火災を生ずる危険のある設備と建築物その他可燃性物体との間には,防火のため必要な間隔を設け,又は可燃性物体をしゃ熱材料で防護すること。
(11)
喫煙所,ストーブその他火気を使用する場所には,火災予防上必要な設備を設けること。
(12)
指定した場所以外で,喫煙,火気使用,乾燥等の行為をしてはならないこと。
(13)
火気を使用した者は,確実に残火の始末を行うこと。
第21 乾燥設備の構造等
1
乾燥設備の構造は,次の各号に定めるところによらなければならない。
ただし,乾燥物の種類,加熱乾燥の程度,熱源の種類等により爆発又は火災が生ずるおそれのないものについては,この限りでない。
(1)
乾燥設備の外面は,不燃性の材料であること。
(2)
乾燥設備(有機過酸化物を加熱乾燥するものを除く。)の内面,内部のたな,わく等は,不燃性の材料であること。
(3)
危険物乾燥設備は,その側部及び底部が堅固であること。
(4)
危険物乾燥設備は,周囲の状況に応じ,その上部が軽量な材料で造られ,又は有効な爆発戸,爆発孔等が設けられていること。
(5)
危険物乾燥設備は,乾燥に伴って生ずるガス,蒸気又は粉じんで爆発又は火災の危険があるものを安全な場所に排出することができる構造のものとすること。
(6)
液体燃料又は可燃性ガスを熱源の燃料として使用する乾燥設備は,点火の際の爆発又は火災を防止するため,燃焼室その他点火する箇所を換気することができる構造のものとすること。
(7)
乾燥設備の内部は,掃除しやすい構造のものとすること。
(8)
乾燥設備ののぞき窓,出入口,排気孔等の開口部は発火の際,延焼を防止する位置に設け,かつ,必要があるときに,直ちに密閉できる構造のものとすること。
(9)
乾燥設備には,内部の温度を随時測定することができる装置及び内部の温度を安全な温度に調整することができる装置を設け,又は内部の温度を自動的に調整することができる装置が設けられていること。
(10)
危険物乾燥設備の熱源として直火を使用しないこと。
(11)
危険物乾燥設備以外の乾燥設備の熱源として直火を使用するときは,炎又ははね火により乾燥物が燃焼することを防止するため,有効な覆い又は隔壁を設けること。
2
乾燥設備に附属する電熱器,電動機,電燈等に接続する配線及び開閉器については,当該乾燥設備に専用のものを使用しなければならない。
3
乾燥設備を使用するときは,爆発又は火災を防止するため,次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1)
危険物乾燥設備を使用するときは,あらかじめ,内部を掃除し,又は換気すること。
(2)
危険物乾燥設備を使用するときは,乾燥に伴って生ずるガス,蒸気又は粉じんで爆発又は火災の危険があるものを安全な場所に排出すること。
(3)
危険物乾燥設備を使用して加熱乾燥する乾燥物は,容易に脱落しないように保持すること。
(4)
液体燃料又は可燃性ガスを熱源の燃料とする乾燥設備を使用するときは,あらかじめ,燃料室その他点火する箇所を換気した後に点火すること。
(5)
高温で加熱乾燥した可燃性の物は,発火の危険がない温度に冷却した後に格納すること。
(6)
乾燥設備(外面が著しく高温にならない物を除く。)に近接した箇所には,可燃性の物を置かないこと。
第22 乾燥設備作業主任者
1
次の各号に掲げる設備による物の加熱乾燥の業務を行うときは,乾燥設備作業主任者技能講習を修了した者のうちから,乾燥設備作業主任者を選任しなければならない。
(1)
加熱乾燥する乾燥室及び乾燥器のうち危険物等に係る設備で,内容積が1立方メートル以上のもの
(2)
危険物等以外の物に係る加熱乾燥する乾燥室及び乾燥器のうち,熱源として燃料を使用するもの(その最大消費量が,固体燃料にあっては毎時10キログラム以上,液体燃料にあっては毎時10リットル以上,気体燃料にあっては毎時1立方メートル以上であるものに限る。)又は熱源として電力を使用するもの(定格消費電力が10キロワット以上のものに限る。)
2
乾燥設備作業主任者は,次の各号に掲げる事項を行わなければならない。
(1)
乾燥設備をはじめて使用するとき又は乾燥方法若しくは乾燥物の種類を変えたときは,作業従事者にあらかじめ作業の方法を周知させ,かつ,当該作業を直接指揮すること。
(2)
乾燥設備及びその附属設備について不備な箇所を認めたときは,直ちに,必要な措置をとること。
(3)
乾燥設備の内部における温度,換気の状態及び乾燥物の状態について随時点検し,異常を認めたときは,直ちに,必要な措置をとること。
(4)
乾燥設備がある場所を常に整理整頓し,及びその場所にみだりに可燃性の物を置かないこと。
第23 定期自主検査
1
乾燥設備及びその附属設備については,1年以内ごとに1回,定期に,次の各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。
(1)
内面及び外面並びに内部のたな,わく等の損傷,変形及び腐食の有無
(2)
危険物乾燥設備にあっては,乾燥に伴って生ずるガス,蒸気又は粉じんで爆発又は火災の危険があるものを排出するための設備の異常の有無
(3)
液体燃料又は可燃性ガスを熱源の燃料とする乾燥設備にあっては,燃焼室その他点火する箇所の換気のための設備の異常の有無
(4)
のぞき窓,出入口,排気孔等の開口部の異常の有無
(5)
内部の温度の測定装置及び調整装置の異常の有無
(6)
内部に設ける電気機械器具又は配線の異常の有無
2
前項の自主検査を行ったときは,次の事項を記録し,これを3年間保存しなければならない。
(1)
検査年月日
(2)
検査方法
(3)
検査箇所
(4)
検査の結果
(5)
検査を実施した者の氏名
(6)
検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは,その内容
3
定期自主検査の結果,乾燥設備又はその附属設備に異常を認めたときは,補修その他必要な措置を講じた後でなければ,これらの設備を使用してはならない。
附 則
この指針は,平成16年4月1日から実施する。