○信州大学医学部附属病院放射線障害予防規程
(平成16年4月1日信州大学規程第101号) |
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目次
第1章 総則(第1条-第4条)
第2章 組織及び職務(第5条-第18条)
第3章 管理区域(第19条・第20条)
第4章 維持,管理及び点検(第21条-第23条)
第5章 受入れ,払出し及び使用(第24条-第28条)
第6章 保管,運搬及び廃棄(第29条-第33条)
第7章 測定(第34条-第36条)
第8章 教育及び訓練(第37条)
第9章 健康診断(第38条・第39条)
第10章 記帳及び保存(第40条)
第11章 危険時の措置(第41条-第43条)
第12章 報告(第44条-第45条の2)
第13章 情報提供(第46条)
第14章 業務の改善(第47条)
第15章 雑則(第48条-第51条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は,放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和32年法律第167号。以下「RI法」という。),電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)及び信州大学放射線障害予防規程(平成16年信州大学規程第13号)に基づき,信州大学医学部附属病院(以下「事業所」という。)の放射線診療施設における放射性同位元素及び放射性同位元素によって汚染された物(以下「放射性同位元素等」という。),放射線発生装置並びにエックス線撮影装置の取扱い及び管理に関する事項を定め,放射線障害の発生を防止し,あわせて公共の安全を確保することを目的とする。
(適用範囲)
第2条 この規程は,事業所の放射線診療施設に立ち入るすべての者に適用する。
2 前項の放射線診療施設とは,次の各号に掲げるものとする。
(1) 放射線治療室
(2) 放射線部エックス線撮影室
(3) 放射線部核医学(RI)室(貯蔵施設,廃棄施設を含む。)
(4) RIA室(貯蔵施設,廃棄施設を含む。)
(5) 西病棟RI治療病室(貯蔵施設,廃棄施設を含む。)
(7) 手術部エックス線撮影室
(8) 高度救命救急センターエックス線撮影室
(9) 内視鏡センターエックス線撮影室
3 第1項の規定にかかわらず,事業所の放射線診療施設において診療を受ける患者については,これを除外する。
(用語の定義)
第3条 この規程において,次の各号に掲げる用語の定義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 放射線 電離則第2条第1項に規定する粒子線又は電磁波をいう。
(2) 放射線診療施設 RI法第3条第2項に定める使用施設,貯蔵施設及び廃棄施設又は放射性同位元素等を取扱う施設並びに事業所のエックス線撮影装置を使用する施設をいう。
(3) 放射線作業 放射性同位元素等の使用,保管,運搬,廃棄の作業及び放射線発生装置並びにエックス線撮影装置の取扱い並びに管理又はこれに付随する業務をいう。
(4) エックス線撮影装置 1メガ電子ボルト未満のエネルギーを有するエックス線を発生する診療用エックス線装置をいう。
(5) 放射化物 放射線発生装置から発生した放射線により生じた放射性同位元素によって汚染された物をいう。
(6) 学長 大学組織の長をいう。
(7) 病院長 事業所の長をいう。
(8) 業務従事者 事業所,医学部及び医学系研究科(以下「事業所等」という。)の職員のうち,放射性同位元素等,放射線発生装置及びエックス線撮影装置の取扱い並びに管理又はこれに付随する業務に従事するため,管理区域に立ち入る者で,病院長が放射線業務従事者として承認した者をいう。RI法における放射線業務従事者を指す。
(9) エックス線検査従事者 事業所等の職員のうち,エックス線撮影装置の取扱い,管理又はこれに付随する業務に従事する者で,病院長がエックス線検査従事者として承認した者(業務従事者を除く。)をいう。電離則における放射線業務従事者を指す。
(10) 一時立入者 業務従事者及びエックス線検査従事者以外の者で一時的に管理区域に立ち入る者をいう。
(遵守等の義務)
第4条 業務従事者,エックス線検査従事者及び管理区域に一時的に立ち入る者は,放射線取扱主任者及び放射線診療施設責任者が放射線障害防止のために行う指示を遵守し,その指示に従わなければならない。
2 病院長は,放射線取扱主任者の具申により,放射線施設の安全管理上必要な措置を講じなければならない。また,必要に応じて必要な予算的措置を学長に具申する。
第2章 組織及び職務
(組織)
第5条 事業所における放射性同位元素等,放射線発生装置及びエックス線撮影装置の取扱いに従事する者並びに安全管理に従事する者に関する組織は,別図第1のとおりとする。
[別図第1]
(病院長の責務)
第6条 病院長は,事業所における放射線障害の発生の防止及び安全の確保に関し統括するとともに,放射線診療施設を管理する。
2 病院長は,RI法及びこの規程に定める事項の実施について,事業所の放射線診療施設に関する使用細則等を定め,放射線障害の発生の防止及び安全の確保に万全を期さなければならない。
3 病院長は,第8条に規定する放射線取扱主任者がRI法及びこの規程に基づき行う意見具申を尊重しなければならない。
[第8条]
4 病院長は,放射線取扱主任者の具申により,放射線施設の安全管理上必要な措置を講じなければならない。また,必要に応じて必要な予算的措置を学長に具申する。
5 病院長は,次条に規定する放射線障害予防委員会がこの規程に基づき行う答申又は意見具申を尊重しなければならない。
(放射線障害予防委員会)
第7条 事業所に,放射線障害予防委員会(以下「予防委員会」という。)を置く。
2 予防委員会は,国立大学法人信州大学放射線安全管理等委員会(以下「放射線安全管理等委員会」という。)の議により学長が定める基本方針に基づき,事業所における放射線障害の発生の防止について企画及び審議する。
3 予防委員会の組織及び運営については,病院長が別に定める。
(放射線取扱主任者等)
第8条 放射線障害の発生の防止について監督を行わせるため,病院長はRI法第34条第1項の規定に基づく第1種放射線取扱主任者免状を有する事業所の職員のうちから放射線取扱主任者(以下「主任者」という。)を選任する。ただし,放射性同位元素等及び放射線発生装置を診療に用いる場合においては,放射線部長(医師)を選任することができる。
2 病院長は,RI法第36条の2に定めるところに従い,主任者に次の各号に掲げる者の区分に応じ,当該各号に定める期間ごとに定期講習を受けさせなければならない。
(1) 主任者であって,主任者に選任された後,定期講習を受けていない者(主任者に選任される前1年以内に定期講習を受けた者を除く。) 主任者に選任された日から1年以内
(2) 主任者(前号に掲げる者を除く。) 前回の定期講習を受けた日の属する年度の翌年度の開始の日から3年以内
3 病院長は,主任者の職務を補佐する者として,事業所又は医学部の職員のうちから,放射線取扱主任者補佐若干人を選任することができる。ただし,放射性同位元素等及び放射線発生装置並びにエックス線撮影装置を診療に用いる場合においては,事業所又は医学部の医師からも選任することができる。
4 病院長は,第1種放射線取扱主任者免状を有する放射線取扱主任者補佐のうちから主任者の代理者を選任する。
5 病院長は,主任者及び代理者を選任又は解任したときは,学長に報告しなければならない。なお,30日以上,主任者が職務を行えない場合は,原子力規制委員会に「代理者」の選任の届出をし,また,解任した場合は,同委員会に解任の届出をしなければならない。
6 主任者は,業務従事者又はエックス線検査従事者が関係法令,本規程若しくは主任者の指示等に違反し,又は取扱能力に欠けると認められる場合は,当該業務従事者又はエックス線検査従事者の放射線取扱等業務を制限し,又は許可を取り消すことを病院長に勧告することができる。
(放射線取扱主任者の職務)
第9条 主任者は,事業所における放射線障害の防止に係る監督に関し,次の各号に掲げる職務を行う。
(1) 放射線障害予防規程の制定及び改廃への参画
(2) 放射線障害防止上重要な計画作成への参画
(3) 教育訓練の計画等に対する指導及び指示
(4) 法令に基づく申請,届出及び報告の審査
(5) 立入検査等の立会い
(6) 異常及び事故の原因調査への参画
(7) 病院長に対する意見の具申
(8) 放射線診療施設の定期点検及び使用状況等に係る帳簿及び書類等の監査
(9) 業務従事者及びエックス線検査従事者への監督,指導
(10) 関係者への助言,勧告及び指示
(11) 放射線安全管理等委員会の開催要求
(12) 事業所の予防委員会の開催の要求
(13) 危険時の措置等に関する対策への参画
(14) 放射線管理業務に関する記帳,記録の管理及びその保管
(15) その他放射線障害防止に関する必要事項
(放射線取扱主任者の代理者の職務)
第10条 主任者の代理者は,主任者が旅行,疾病その他の事故によりその職務を行うことができない場合は,その期間中,その職務を代行しなければならない。
2 主任者の代理者は,第8条第4項において選任した者をもって充てる。
[第8条第4項]
(放射線診療施設責任者)
第11条 病院長は,放射線使用施設等における安全を確保し,適正な管理運営を行わせるため,放射線診療施設責任者を置く。
2 放射線診療施設責任者は,放射線部長をもって充てる。
3 放射線診療施設責任者は,放射線診療施設の管理業務を総括する。
(施設管理責任者)
第12条 放射線診療施設の維持及び管理を総括するため,施設管理責任者を置き,放射線診療施設責任者が選任する。
2 施設管理責任者は,安全管理責任者の業務を補佐する。
(施設管理担当者)
第13条 施設管理業務を行うため各放射線診療施設に施設管理担当者を置き,放射線診療施設責任者が当該診療施設ごとに1人を選任する。
2 施設管理担当者は,事務部の担当者とともに各放射線診療施設について,次の各号に掲げる業務を行うとともに,その結果を施設管理責任者に報告しなければならない。
(1) 放射線発生装置及びエックス線撮影装置等の運転
(2) 排水設備の運転
(3) 排気設備の運転
(4) その他施設・設備の維持及び管理に必要な業務
3 施設管理担当者は,安全管理担当者の業務を補佐する。
(安全管理責任者)
第14条 放射線診療施設の放射線管理に関する業務を総括するため,安全管理責任者を置き,放射線診療施設責任者が選任する。
2 安全管理責任者は,次の各号に掲げる業務を行う。
(1) 放射線測定機器の保守管理
(2) 放射線作業の安全に係る技術的事項に関する業務
(3) 業務従事者等に対する教育及び訓練計画の立案及びその実施
(4) 業務従事者等に対する健康診断計画の立案
(5) 関係法令に基づく申請,届出等の事務手続,その他関係省庁との連絡等,事務的事項に関する業務
3 前項の業務通じて放射線診療施設の放射線管理に関する業務を総括した結果は,主任者及び病院長に報告しなければならない。
(安全管理担当者)
第15条 放射線管理業務を行うため,各放射線診療施設に安全管理担当者を置き,放射線診療施設責任者が当該診療施設ごとに1人を選任する。
2 安全管理担当者は,管理区域において放射線障害防止のための必要な措置を行うとともに,管理区域に立ち入る者に対し,主任者及び放射線診療施設責任者が放射線障害防止のために行う指示等を遵守するよう徹底させ,また,業務従事者及びエックス線検査従事者に対し放射線作業について適切な指示を与えなければならない。
3 安全管理担当者は,事務部の担当者とともに各放射線診療施設について次の各号に掲げる業務を行うとともに,その結果を安全管理責任者に報告しなければならない。
(1) 管理区域に立ち入る者の入退域,放射線被ばく及び放射性同位元素等による汚染の管理
(2) 放射線診療施設,管理区域に係る放射線の量及び放射性同位元素による汚染の状況の測定
(3) 放射性同位元素等の受入れ,払出し,使用,保管,運搬及び廃棄に関する管理
(4) 放射性同位元素によって汚染された物の管理及びそれらの処理に関する業務
(5) 放射線測定器の保守管理
(6) 放射線作業の安全に係る技術的事項に関する業務
(7) 業務従事者等に対する教育・訓練計画の立案及びその実施
(8) 業務従事者等に対する健康診断計画の立案及びその実施
(9) 関係法令に基づく申請,届出等の事務手続き,その他関係省庁との連絡等,事務的事項に関する業務
(10) 前各号に規定する業務に関する記帳,記録の管理及びその保管
(11) その他放射線障害防止に必要な業務
4 前項の業務及びこれらに係る改善措置は,必要に応じ,外部業者に請け負わせることができる。
(放射線健康管理医)
第16条 病院長は,管理区域へ立ち入る者に対する放射線障害防止上の健康管理を行わせるため,事業所放射線科,放射線部又は医学部画像医学講座の教員(医師免許所有者に限る。)のうちから放射線健康管理医1人を委嘱する。
2 放射線健康管理医は,国立大学法人信州大学安全衛生管理規程(平成16年国立大学法人信州大学規程第57号)第8条第1項に規定する産業医と密接な連絡のもとに健康管理を行う。
(産業医)
第17条 産業医は,第38条に規定する健康診断を実施する。
[第38条]
(業務従事者及びエックス線検査従事者の登録等)
第18条 放射線作業に従事しようとする者は,第37条に規定する教育及び訓練を受け,かつ,第38条第1項に規定する健康診断を受けた後,所定の様式により病院長に登録の申請をしなければならない。
2 病院長は,前項の申請があったときは,業務従事者又はエックス線検査従事者として登録するものとする。この場合において,主任者の同意を得るものとする。
3 前項の規定による業務従事者の登録の有効期限は,登録した年度限りとし,更新することができるものとする。
4 病院長は,業務従事者又はエックス線検査従事者が関係法令,この規程若しくは主任者の指示等に違反し,又は取扱能力に欠けると認められる場合は,当該業務従事者又はエックス線検査従事者の取扱等業務を制限し,又は許可を取り消すことができる。
5 業務従事者又はエックス線検査従事者の登録及び施設利用の許可に関しては,第1項から前項までの規定によるほか,信州大学医学部附属病院放射線障害予防細則(以下「予防細則」という。)に定めるところによる。
第3章 管理区域
(管理区域)
第19条 病院長は,放射線障害の発生するおそれのある場所を管理区域に指定するものとする。
2 管理区域は,次の各号に掲げる場所のうちいずれか一に該当する場所とし,別に定める予防細則に示すとおりとする。
(1) 外部放射線に係る線量が,実効線量で3月間につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある場所
(2) 3月間についての空気中の放射性同位元素の平均濃度が,空気中濃度限度の10分の1を超えるおそれのある場所
(3) 放射性同位元素によって汚染される物の表面の放射性同位元素の密度が,表面密度限度の10分の1を超えるおそれのある場所
3 病院長は,管理区域の境界には柵又は扉等を設け,かつ,その入口その他必要な箇所に標識及び表示を付けなければならない。
4 前項の表示は,管理区域内の見やすい場所に放射線測定器の装着に関する注意事項,放射性物質の取扱い上の注意事項,事故が発生した場合の応急の措置等,放射線による健康障害の防止に必要な事項を掲示する。
5 安全管理責任者は,次の各号に定める者以外の者を管理区域に立ち入らせてはならない。
(1) 業務従事者又はエックス線検査従事者として第18条に基づき登録された者
[第18条]
(2) 見学者等で,主任者の許可を受けて一時的に立ち入る者
(管理区域に関する遵守事項)
第20条 業務従事者,エックス線検査従事者及び管理区域に一時的に立ち入る者は,次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 定められた出入口から出入りすること。
(2) 個人被ばく線量測定器を指定された位置に着用すること。ただし,一時立入者にあっては,その者の管理区域内における外部被ばくの実効線量について100マイクロシーベルトを超えるおそれのないときはこの限りではない。
(3) 管理区域内において飲食,喫煙を行わないこと。
(4) 主任者及び放射線診療施設責任者が放射線障害を防止するために行う指示,その他施設の保安を確保するための指示に従うこと。
2 密封されていない放射性同位元素を取り扱う管理区域に立ち入る者は,前項のほか次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 専用の作業衣,履き物,その他必要な保護具等を着用し,かつ,これらのものを着用してみだりに管理区域の外へ出ないこと。
(2) 放射性同位元素を体内摂取したとき,又は,そのおそれがあるときは,直ちに主任者及び安全管理責任者に連絡し,その指示に従うこと。
(3) 退出するときは,身体,衣服等の汚染検査を行い,汚染が検出された場合は,主任者及び安全管理責任者に連絡するとともに,直ちに除染のための措置を取ること。汚染除去が困難な場合は,主任者に連絡し,その指示に従うこと。
3 放射線診療施設責任者は,管理区域に入口の目につきやすい場所に放射線同位元素等の取扱いに係る注意事項を掲示し,管理区域に立ち入る者に遵守させなければならない。
4 その他,業務従事者及びエックス線検査従事者の義務として,次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 取扱経験の少ない者は,単独で取扱作業をしてはならない。
(2) 使用線源に適した遮蔽体等により,適した遮蔽を行うこと。
(3) 使用線源に応じて,線源との間に適切な距離を設けること。
(4) 作業時間をできるだけ少なくすること。
第4章 維持,管理及び点検
(放射線診療施設等の維持及び管理)
第21条 病院長は,放射線診療施設の位置,構造及び設備を,施行規則第14条の7(使用施設の基準),第14条の9(貯蔵施設の基準)及び第14条の11(廃棄施設の基準)に規定する技術上の基準に適合するように保たなければならない。
2 放射線発生装置及びエックス線撮影装置の維持並びに管理については,別に定める予防細則による。
(定期点検及び自主点検)
第22条 主任者は,放射線診療施設責任者,施設管理責任者,施設管理担当者及び事務部の協力を得て,次の各号に掲げる項目について6月を超えない期間ごとに定期的に放射線診療施設の点検を行わなければならない。
(1) 管理区域境界の壁,扉,柵等の破損やき裂の有無及び閉鎖設備の状況
(2) 使用施設の状況
(3) 貯蔵施設の状況
(4) 廃棄施設の状況
(5) 標識,注意事項の掲示
2 主任者,放射線診療施設責任者及び施設管理責任者は,第1項の定期点検の結果,異常を認めたときは,修理等必要な措置を講じなければならない。
3 主任者は,前2項に規定する点検又は検査の結果,その異常が使用に重大な影響を及ぼすと認められたときは,病院長及び予防委員会に報告するとともに,前項に規定する修理,改造等を終了したときは,その結果を病院長及び予防委員会に報告しなければならない。
4 病院長は,前項に係る結果を学長に報告するものとする。
(修理及び改造)
第23条 放射線診療施設責任者,施設管理責任者及び安全管理責任者は,それぞれ所管する設備,機器等について,修理,改造及び除染等を行うときは,相互に協議の上,主任者の指示に従ってその実施計画を作成し,病院長の承認を受けなければならない。ただし,保安上特に影響が軽微と認められるものについてはこの限りでない。
2 病院長は前項の承認を行おうとするときにおいて,必要があると認めるときは,その安全性,安全対策等につき予防委員会に諮問するものとする。
3 主任者は,第1項に規定する修理,改造及び除染等を終えたときは,その結果を病院長に報告しなければならない。
第5章 受入れ,払出し及び使用
(放射性同位元素の受入れ及び払出し)
第24条 放射性同位元素を購入し,又は譲り受けようとする者は,主任者に申し出て,その指示を受けなければならない。
2 放射性同位元素を譲渡し,又は廃止のためにRI法第4条の2による原子力規制委員会の許可を受けた業者(以下「許可廃棄業者」という。)等に引き渡そうとする者は,主任者に申し出て,その指示を受けなければならない。
3 業務従事者は,放射性同位元素の受入れ及び払出しに係る次の業務を行わなければならない。
(1) 購入した放射性同位元素の受入れ
(2) 他事業所からの放射性同位元素の譲り受け
(3) 他事業所への放射性同位元素の譲り渡し
(4) 不要となった密封放射性同位元素の事業所外への払出し
4 主任者は,前項に定める放射性同位元素の受入れ・払出しを確認し,記録しなければならない。
(放射性同位元素によって汚染された物の払出し)
第24条の2 放射性同位元素によって汚染された物を廃棄するために許可廃棄業者に引き渡そうとする者は,主任者に申し出て,その指示を受けなければならない。
2 主任者は,放射性同位元素によって汚染された物の払出しを確認し,記録しなければならない。
(密封されていない放射性同位元素の使用)
第25条 密封されていない診療用放射性同位元素(以下「放射性医薬品」という。)を使用する者は,放射線診療施設責任者の管理のもとに次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 放射性医薬品の使用は,予防細則に従って作業室において行い,届出使用数量を超えないこと。
(2) 給排気設備が正常に動作していることを確認すること。
(3) 吸収剤,受け皿の使用等汚染の防止に必要な措置を講ずること。
(4) 遮蔽壁,その他遮蔽物により適切な遮蔽を行うこと。
(5) 遠隔操作器具,鉗子等により線源との間に十分な距離を設けること。
(6) 作業を計画的,能率的に行うことによって,放射線に被ばくする時間をできるだけ少なくすること。
(7) 作業室においては,専用の履き物,作業衣及び保護具等を着用して作業すること。また,これらを着用してみだりに管理区域から退出しないこと。
(8) 作業室から退出するときは,人体及び作業衣,履き物,保護具等人体に着用している物の汚染を検査し,汚染があった場合は除去すること。
(9) 表面の放射性同位元素の密度が表面密度限度を超えているものは,みだりに作業室から持ち出さないこと。また,表面密度限度の10分の1を超えているものは,管理区域から持ち出さないこと。
(10) 放射性医薬品の使用中にその場を離れる場合は,必要に応じて容器及び使用場所に所定の標識を付け,注意事項を明示する等,事故発生の防止措置を講ずること。
(11) 作業室での飲食及び喫煙をしないこと。
2 放射性医薬品の使用に当たっては,あらかじめ予定使用数量等を放射線診療施設責任者に届け出ること。
(密封された放射性同位元素の使用)
第26条 密封された診療用放射性同位元素(以下「密封線源」という。)を使用する者は,放射線診療施設責任者の管理のもとに,次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 使用に際しては線源の数を確認し,状態異常がないことを確認すること。
(2) 遮蔽壁,その他遮蔽物により適切な遮蔽を行うこと。
(3) 遠隔操作器具,鉗子等により線源との間に十分な距離を設けること。
(4) 作業を計画的,能率的に行うことによって,放射線に被ばくする時間をできるだけ少なくすること。
(5) 密封線源の使用中にその場を離れる場合は,容器及び使用場所に所定の標識を付け,必要に応じて柵等を設け,注意事項を明示する等,事故発生の防止措置を講ずること。
(6) 線源を移動して使用する場合は,使用後直ちにその線源の紛失,漏えい等異常の有無を放射線測定器等により点検し,異常が判明した場合は,探査その他放射線障害の発生を防止するために必要な措置を講ずること。
(7) 機器に装備された線源を使用する場合は,線源を機器に固定したままで使用すること。
(放射線発生装置の使用)
第27条 放射線発生装置を使用する者は,放射線診療施設責任者の管理のもとに次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 使用前にインターロック等が正常に作動することを確認するとともに,立ち入りを禁止している区域に人がいないことを確認すること。
(2) 使用中は,運転中であることを明示すること。
(3) 遮蔽壁その他遮蔽物により適切な遮蔽を行うこと。
(4) 放射化物の適切な管理を行うこと。
(エックス線撮影装置の使用)
第28条 エックス線撮影装置の使用については,別に定める予防細則による。
第6章 保管,運搬及び廃棄
(保管)
第29条 放射性同位元素等は,予防細則に定める基準に従って容器に入れ,所定の貯蔵施設に貯蔵すること。
2 貯蔵施設には,その貯蔵能力を超えて放射性同位元素を貯蔵しないこと。
3 貯蔵箱及び貯蔵容器は,放射性同位元素を保管中に,これをみだりに持ち運ぶことができないようにするための措置を講ずること。
4 貯蔵施設には,みだりに立ち入ることができないよう施錠すること。
5 放射性医薬品を貯蔵施設に保管する場合は,容器が転倒しあるいは破損した場合にも,汚染が拡大しないように,吸収材や受け皿の使用等,必要な措置を講ずること。
6 密封線源であって機器に装備されているものは,装備した状態で保管すること。
7 貯蔵施設の目につきやすい場所に,放射線障害の防止に必要な注意事項を掲示すること。
(管理区域における運搬)
第30条 管理区域において放射性同位元素等を運搬しようとするときは,危険物との混載禁止,転倒,転落等の防止,汚染の拡大の防止,被ばくの防止,その他保安上必要な措置を講じなければならない。
(事業所内における運搬)
第31条 事業所内において放射性同位元素等を運搬しようとするときは,前条に規定する措置に加えて,次の各号に掲げる措置を講じるとともに,あらかじめ安全管理責任者の許可を受けて行わなければならない。
(1) 容器に封入すること。ただし,放射性同位元素によって汚染された物であって所定の放射線障害防止のための措置を講じたものは,この限りでない。
(2) 前号の容器は,外接する直方体の各辺が10センチメートル以上であり,容易に,かつ,安全に取り扱うことができ,運搬中に予想される温度及び内圧の変化,振動等により亀裂及び破損等の生ずるおそれのないものとすること。
(3) 放射性同位元素を封入した容器及び放射性同位元素によって汚染された物であって容器に封入することを要しないもの(以下「運搬物」という。)並びにこれを積載し又は収納した車両(以下「車両等」という。)に係る1センチメートル線量当量率が,搬出物の表面で1時間につき2ミリシーベルトを,表面から1メートル離れた位置で1時間につき100マイクロシーベルトを,それぞれ超えないようにし,かつ,運搬物の表面の放射性同位元素の密度が表面密度限度の10分の1を超えないようにすること。
(4) 運搬経路を限定し,見張人の配置,標識等の方法により関係者以外の者の接近及び車両等以外の通行を制限すること。
(5) 車両等で運搬する場合は,他の危険物を混載しないこと。また,車両等の速度を制限し,必要な場合には伴走車を配置すること。
(6) 放射性同位元素等の取扱いに関し相当の知識及び経験を有する者が同行し,放射線障害防止のために必要な監督を行うこと。
(7) 車両等及び輸送容器表面に所定の標識をつけるとともに,容器の表面に,核種,数量,物理的状態,化学的状態,表面の1センチメートル線量当量率,取扱者の所属及び氏名を表示すること。
(8) その他関係法令に基づき実施すること。
(事業所外における運搬)
第32条 事業所外において放射性同位元素等を運搬しようとするときは,主任者の承認を受けるとともに,関係法令に定める基準に適合する措置を講じ,かつ,予防細則に従わなければならない。
2 前項に定める運搬を行った場合は,運搬記録簿等に必要事項を記入しなければならない。
3 事業所外運搬をすべて運搬業者に委託する場合は,主任者の許可を得る。
4 前項に定める運搬を行った場合は,運搬業者名等を記録する。
(廃棄)
第33条 放射性医薬品及び放射性医薬品によって汚染された物(以下「放射性医薬品等」という。)の廃棄は,次の各号によるほか,予防細則に従って行わなければならない。
(1) 廃棄する放射性医薬品等が固体状である場合は,当該放射性医薬品等を可燃性,難燃性,不燃性及び非圧縮性特殊不燃物に区分し,それぞれ専用の廃棄物容器に封入し,保管廃棄すること。
(2) 廃棄する放射性医薬品等が液体状である場合は,当該放射性医薬品等を所定の放射能レベルに分類し,保管廃棄又は当該放射性医薬品等を排水設備により排水口における排液中の放射性同位元素の濃度を濃度限度以下として排水すること。
(3) 廃棄する放射性医薬品等が気体状である場合は,当該放射性医薬品等を排気設備により排気口における排気中の放射性同位元素の濃度を濃度限度以下として排気すること。
2 放射性有機廃液は,保管廃棄すること。
3 放射化物は,速やかに廃棄すること。
4 第1項各号に掲げる放射性廃棄物を収納した容器は,許可廃棄業者に廃棄を依頼すること。
5 密封線源の廃棄は,病院長の承認を得て,主任者又は放射線診療施設責任者が廃棄業者等に引き渡すことによって行わなければならない。
第7章 測定
(放射線測定器等の保守)
第34条 安全管理責任者は,安全管理に係る放射線測定器について,点検及び校正を年1回を標準として,適切に組み合わせて実施しなければならない。測定を外部業者に委託する場合は,その旨を依頼しその結果を報告させること。
2 主任者は,前項に定める点検及び校正並びに自主点検を実施したときは,その実施年月日,結果及びこれに伴う措置の内容並びに校正等を行った者の氏名を記録し,常に正常な機能を維持するように保守しなければならない。
3 主任者は,前項に定める点検及び校正並びに自主点検を予防細則に従い,実施するものとする。
(場所の測定)
第35条 安全管理責任者は,主任者の監督のもとに,安全管理担当者の協力を得て,放射線障害の発生するおそれのある場所について,放射線の量及び放射性同位元素による汚染の状況を測定又は算定しなければならない。
2 前項の測定結果は,管理区域に立ち入る者が容易に閲覧できるようにしておかなければならない。
3 放射線の量の測定は,原則として1センチメートル線量当量率又は1センチメートル線量当量について放射線測定器を使用して行うこと。ただし,70マイクロメートル線量当量率が1センチメートル線量当量率の10倍を超えるおそれがある場所又は70マイクロメートル線量当量が1センチメートル線量当量の10倍を超えるおそれのある場所においては,それぞれ70マイクロメートル線量当量率又は70マイクロメートル線量当量について行うこと。
4 放射性医薬品取扱施設
放射性医薬品取扱施設の測定は,次の各号に従い行わなければならない。
(1) 放射線の量の測定は,使用施設,貯蔵施設,廃棄施設,管理区域境界及び事業所の境界又は最も近い一般病室の境界について,予防細則に従い行うこと。
(2) 放射性同位元素による汚染の状況の測定は,作業室,汚染検査室,排気設備の排気口,排水設備の排水口及び管理区域境界について,予防細則に従い行うこと。
(3) 実施時期は取扱開始前に1回,取扱開始後にあっては,1月を超えない期間ごとに1回行うこと。ただし,排気口又は排水口における測定は,排気又は排水の都度行うこと。
(4) 排気設備の排気口及び排水設備の排水口における放射性同位元素による汚染状況は,排気又は排水の濃度測定の結果をもって評価するものとする。ただし,測定が困難な場合は算定により評価するものとする。
(5) 主任者は,本項に規定する測定について,第34条第1項に基づき点検及び校正が実施された放射線測定器を用いて実施しなければならない。測定を外部業者に委託する場合は,同等の点検及び校正が実施された放射線測定器が用いられていることを確認すること。
[第34条第1項]
5 密封線源取扱施設
密封線源取扱施設の測定は,次の各号に従い行わなければならない。
(1) 放射線の量の測定は,使用施設,貯蔵施設,管理区域境界及び事業所の境界又は最も近い一般病室の境界について,予防細則に従い行うこと。
(2) 実施時期は,取扱開始前に1回,取扱開始後にあっては,1月を超えない期間ごとに1回行うこと。
(3) 前号の規定にかかわらず,機器に装備された密封線源を固定して取り扱う場合にあっては,作業を開始する前に1回及び作業を開始した後にあっては,6月を超えない期間ごとに1回行うこと。
6 放射線発生装置使用施設
放射線発生装置使用施設の測定は,次の各号に従い行わなければならない。
(1) 放射線の量の測定は,使用施設,管理区域境界及び事業所の境界又は最も近い一般病室の境界について,予防細則に従い行うこと。
(2) 実施時期は,取扱開始前に1回,取扱開始後にあっては,6月を超えない期間ごとに1回行うこと。
7 エックス線撮影装置使用施設
エックス線撮影装置使用施設の測定は,次の各号に従い行わなければならない。
(1) 放射線の量の測定は,使用施設,管理区域境界について,予防細則に従い行うこと。
(2) 実施時期は,取扱開始前に1回,取扱開始後にあっては,6月を超えない期間ごとに1回行うこと。
8 次の各号の項目について測定結果を記録し保存しなければならない。
(1) 測定日時又は測定年月日
(2) 測定場所
(3) 測定をした者の氏名又は名称
(4) 放射線測定器の種類及び型式,点検及び校正の年月日
(5) 測定方法
(6) 測定結果
(7) 測定の結果とった措置がある場合には,その内容
9 汚染が確認された場合,測定者は施設管理担当者に報告し,予防細則に従い除去する。
10 前項の測定結果は,病院長が管理し,5年間保存する。
11 施設管理責任者は,測定結果を主任者に報告する。
(個人被ばく線量の測定)
第36条 主任者は,放射線障害の発生するおそれのある場所に立ち入る者に対して適切な放射線測定器を使用させ,次の各号に従い個人被ばく線量を測定しなければならない。ただし,放射線測定器を用いて測定することが著しく困難な場合は,計算によってこれらの値を算出することとする。
(1) 外部被ばくによる線量の測定は,胸部(女子にあっては腹部)については1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量(中性子線については1センチメートル線量当量)で行うこと。皮膚については70マイクロメートル線量当量,眼の水晶体については1センチメートル線量当量又は70マイクロメートル線量当量のうち適切な方について行うこと。また,妊娠中である女子の腹部表面については1センチメートル線量当量で行うこと。
(2) 前号のほか頭部及びけい部からなる部分,胸部及び上腕部からなる部分並びに腹部及び大たい部からなる部分のうち,外部被ばくが最大となるおそれのある部分が,胸部及び上腕部からなる部分(女子にあっては腹部及び大たい部からなる部分)以外の部分である場合は,当該部分についても行うこと。
(3) 人体部位のうち,外部被ばくが最大となるおそれのある部位が,頭部,けい部,胸部,上腕部,腹部及び大たい部以外である場合は,前2号のほか,当該部位についても70マイクロメートル線量当量を測定すること。ただし,中性子線については,この限りでない。
(4) 測定は,放射線障害の発生するおそれのある場所に立ち入る者について,その場所に立ち入っている間継続して行うこと。ただし,一時立入者として主任者が認めた者については,外部被ばくが実効線量について100マイクロシーベルトを超えるおそれのあるときに行うこと。
(5) 放射性同位元素を誤って摂取した場合又はそのおそれのある場合は,内部被ばくについても測定を行うこと。この場合は,3月(本人の申出等により病院長が妊娠の事実を知ることとなった女子(以下「妊娠中の女子」という。)については出産までの間1月)を超えない期間ごとに1回行うこと。ただし,一時的に立ち入る者であって業務従事者でないものは,内部被ばくが実効線量について100マイクロシーベルトを超えるおそれのないときはこの限りでない。
2 前項の測定結果については,4月1日,7月1日,10月1日及び1月1日を始期とする3月間,4月1日を始期とする1年間並びに妊娠中の女子にあっては出産までの間毎月1日を始期とする1月間について,当該期間ごとに集計し次の項目について結果を記録すること。
イ | 測定対象者の氏名 |
ロ | 測定をした者の氏名 |
ハ | 放射線測定器の種類及び型式 |
ニ | 測定方法 |
ホ | 測定部位及び測定結果 |
ヘ | 測定の信頼を確保するための措置を行った証明 |
3 前項の集計結果から実効線量及び等価線量を,4月1日,7月1日,10月1日及び1月1日を始期とする各3月間及び4月1日を始期とする1年間並びに妊娠中の女子にあっては毎月1日を始期とする1月間について算定し,次の項目について記録すること。
イ | 算定年月日 |
ロ | 対象者の氏名 |
ハ | 算定した者の氏名 |
ニ | 算定対象期間 |
ホ | 実効線量 |
ヘ | 等価線量及び組織名 |
4 前項により算定された1年間の実効線量が20ミリシーベルトを超えた場合は,当該1年間以降は,当該1年間を含む原子力規制委員会が定める期間の累積実効線量(前項により4月1日を始期とする1年間ごとに算定された実効線量の合計をいう。)を当該期間について,毎年度集計し,次の項目について記録すること。
イ | 集計年月日 |
ロ | 対象者の氏名 |
ハ | 集計した者の氏名 |
ニ | 集計対象期間 |
ホ | 累積実効線量 |
5 前項の規定は,第3項の規定により算定する等価線量のうち,眼の水晶体に係るものについて準用する。この場合において,「実効線量」とあるのは「眼の水晶体の等価線量」と,「累積実効線量」とあるのは「眼の水晶体の累積等価線量」と読み替えるものとする。
6 前5項までの記録は,主任者が点検した後,病院長が管理し,管理室において永久に保存するとともに,記録の都度対象者にその写しを交付するものとする。
7 主任者は外部被ばくの測定に用いた放射線測定器の測定の信頼性を確保するための措置を講じなければならない。測定を外部業者に委託する場合はその旨を依頼し,その結果を報告させること。100マイクロシーベルトを超える一時立入者の測定を行う場合は,使用する測定器について,点検及び校正を1年ごとに,適切に組み合わせて行わなければならない。
第8章 教育及び訓練
(教育及び訓練)
第37条 病院長は,管理区域に立ち入る者及び放射性同位元素等,放射線発生装置又はエックス線撮影装置の取扱等業務に従事する者に対し,予防規程の周知等を図るほか,放射線障害の発生を防止するために必要な教育及び訓練を実施しなければならない。
2 教育及び訓練の実施時期は,業務従事者及びエックス線検査従事者として登録する前,又は業務従事者及びエックス線検査従事者として登録した後にあっては登録後,前回の受講日の属する年度の翌年度の開始日から1年以内とする。
3 業務従事者に対する教育及び訓練の項目は次の各号によるものとする。なお,各項目の時間数については予防細則に定める。
(1) 放射線の人体に与える影響
(2) 放射性同位元素等又は放射線発生装置若しくはエックス線撮影装置の安全取扱い
(3) 放射性同位元素又は放射線発生装置若しくはエックス線撮影装置による放射線障害の防止に関する法令又は本規程
(4) その他放射線障害防止に関して必要な事項
4 エックス線検査従事者に対する教育及び訓練の項目は,次の各号によるものとする。なお,各項目の時間数については予防細則に定める。
(1) エックス線写真の撮影の作業の方法
(2) エックス線装置の構造及び取扱いの方法
(3) 電離放射線の生体に与える影響
(4) 関係法令
5 前2項の規定にかかわらず,実施項目に関して十分な知識及び技能を有していると認められる者に対しては,病院長は,主任者及び安全管理責任者と予防細則に定める省略基準に基づき協議の上,教育及び訓練の一部を省略することができる。その場合は,教育訓練受講記録に省略理由を記載しなければならない。
6 一時立入者として承認する場合は,当該立入者に対して放射線障害を防止するために必要な教育を口頭又は掲示等により実施し,立入及び教育訓練に係る記帳を行わなければならない。一時立入者のための教育訓練内容(管理区域内での注意事項)は,予防細則に定める。
7 教育及び訓練の項目の内容については主任者が安全管理責任者と協議の上,作成する。また,必要に応じて放射線障害予防委員会において,内容等の変更及び改善を行うものとする。
第9章 健康診断
(健康診断)
第38条 病院長は,事業所の産業医の協力を得て,業務従事者又はエックス線検査従事者として新たに登録を申請する者及び既に登録されている者に対して,次の各号に定めるところにより健康診断を実施しなければならない。
2 健康診断は,問診及び検査又は検診とし,それぞれ次に掲げる事項とする。
(1) 問診は,次の事項について行うものとする。
イ 放射線の被ばく歴の有無
ロ 被ばく歴を有する者については,作業の場所,内容,期間,線量,放射線障害の有無,その他放射線による被ばくの状況
(2) 検査又は検診は,次に掲げる部位又は項目について行うものとする。
イ 末しょう血液中の血色素量又はヘマトクリット値,赤血球数及び白血球数及び白血球百分率
ロ 皮膚
ハ 眼
ニ その他原子力規制委員会が定める部位及び項目
3 健康診断の実施時期は次のとおりとする。
(1) 業務従事者及びエックス線検査従事者として登録する前又は初めて管理区域に立ち入る前
(2) 管理区域に立ち入った後にあっては6月を超えない期間ごと。ただし,健康診断を実施する前年度の4月1日を始期とする1年間の実効線量が5ミリシーベルトを超えず,かつ当該年度の4月1日を始期とする1年間の実効線量が5ミリシーベルトを超えるおそれのない場合は,前項に規定する検査又は検診は省略することができるものとし,医師が必要と認めた場合のみ前項に規定する検査又は検診を実施する。
4 業務従事者又はエックス線検査従事者が,次の各号の一に該当するときは,放射線診療施設責任者に報告の上,直ちにその者について前項第1号に定める項目について検査又は検診を行わなければならない。
(1) 放射性同位元素を誤って吸引摂取し,又は経口摂取したとき。
(2) 放射性同位元素により表面密度限度を超えて皮膚が汚染され,その汚染を容易に除去することができないとき。
(3) 放射性同位元素により皮膚の創傷面が汚染され,又は汚染されたおそれのあるとき。
(4) 実効線量限度又は等価線量限度を超えて被ばくし,又は被ばくしたおそれがあるとき。
5 病院長は,次の各号に従い健康診断の結果を記録しなければならない。
(1) 実施年月日
(2) 対象者の氏名
(3) 健康診断を実施した医師名
(4) 健康診断の結果
(5) 健康診断の結果に基づいて講じた措置
6 健康診断の結果は主任者が点検し,病院長の管理のもとに事務部の担当者が永久に保存するとともに,実施の都度その記録の写しを対象者に交付するものとする。
7 健康診断を行ったときは,電離放射線健康診断結果報告書を,労働基準監督署に提出しなければならない。
(放射線障害を受けた者又は受けたおそれのある者に対する措置)
第39条 安全管理責任者は,業務従事者又はエックス線検査従事者が放射線障害を受け又は受けたおそれがある場合には,主任者,放射線健康管理医及び事業所の産業医と協議し,その程度に応じて,管理区域への立入り時間の短縮,立入りの禁止,配置転換等健康の保持に必要な措置を病院長に具申しなければならない。
2 病院長は,前項の具申があった場合には適切な措置を講じるとともに,必要な保健指導を行わなければならない。
3 病院長は,前項の規定に基づき措置した場合には,その内容を直ちに学長に報告しなければならない。
4 一時立入者が放射線障害を受け又は受けたおそれがある場合には,遅滞なく医師による診断,必要な保健指導等の適切な措置を講じなければならない。
第10章 記帳及び保存
(記帳)
第40条 病院長は,放射性同位元素等及び放射線発生装置の管理において,帳簿を備え記録させなければならない。
2 主任者は,施設管理責任者及び施設管理担当者の協力を得て,次の各号に掲げる項目について記帳,記録の管理を行う。
(1) 受入れ,払出し
イ 放射性同位元素の種類及び数量
ロ 放射性同位元素の受入れ及び払出しの年月日及びその相手方の氏名又は名称
(2) 使用
イ 放射性同位元素の種類及び数量
ロ 放射線発生装置の種類
ハ 放射性同位元素及び放射線発生装置の使用の年月日,目的,方法及び場所
ニ 放射性同位元素及び放射線発生装置の使用に従事する者の氏名
(3) 保管
イ 放射性同位元素の種類及び数量
ロ 放射性同位元素の保管の期間,方法及び場所
ハ 放射性同位元素の保管に従事する者の氏名
(4) 運搬
イ 事業所の外における放射性同位元素等の運搬の年月日及び運搬の方法
ロ 荷受人又は荷送人の氏名又は名称並びに運搬に従事する者の氏名又は運搬の委託先の氏名若しくは名称
(5) 廃棄
イ 放射性同位元素等の種類及び数量
ロ 放射性同位元素等の廃棄の年月日,方法及び場所
ハ 放射性同位元素等の廃棄に従事する者の氏名
(6) 放射線測定器の点検又は校正に関する事項
イ 点検又は校正の年月日
ロ 種類及び型式,方法,結果及びこれに伴う措置の内容
(7) 外部被ばくの測定に用いた放射線測定器の測定の信頼性を確保するための措置の内容
(8) 施設点検
イ 点検実施年月日
ロ 点検結果及びこれに伴う措置の内容
ハ 点検を行った者の氏名
(9) 教育及び訓練
イ 教育及び訓練の実施年月日,項目及び項目ごとの時間数
ロ 教育及び訓練を受けた者の氏名
3 前項に定める帳簿は,毎年3月31日又は許可の取り消しの日若しくは使用を止めた日に閉鎖し,主任者が管理して5年間保存しなければならない。
第11章 危険時の措置
(事故等の予防及び措置)
第41条 主任者及び放射性同位元素等を取り扱う者は,放射性同位元素等について,盗取及び所在不明が生じないよう,特定放射性同位元素放射線防護規程に従う。
(地震等の災害時における措置)
第42条 地震,火災等の災害が起こった場合には,別図第2に定める災害時の連絡通報体制に従い,主任者は,放射線診療施設責任者,施設管理責任者及び施設管理担当者の協力を得て,第22条第1項に定める点検を行い,その結果を主任者が病院長に報告しなければならない。この場合において,地震が起こったことにより点検を行う場合は,震度5弱以上を目安として行うものとする。
2 病院長は,前項の報告があった時は,その旨を遅滞なく,学長に報告するものとする。
(危険時の措置)
第43条 地震,火災,その他の災害により放射線障害が発生し又は発生するおそれがある場合は,発見者は,直ちに診療放射線技師長に通報するとともに,応急の処置を講じて,災害の拡大防止に努めなければならない。この場合において,連絡手順については別図第2に定める。
[別図第2]
2 主任者は,前項の通報を受けたときは直ちに災害の状況等を確認の上,施設管理責任者の協力の下,放射線障害の発生又は拡大を防止するために必要な措置を講じる。また,その旨を病院長に報告しなければならない。
3 病院長は,前項の報告を受けたときは直ちに放射線障害の発生又は拡大を防止するために必要な措置を講じた上,状況に応じて所轄の警察署,労働基準監督署,消防署又は保健所等の関係機関に通報するとともに学長に報告しなければならない。
4 危険時における放射線障害の発生を防止するために必要な措置は,予防細則に定めるところによる。
5 前項の措置を講じる者は,個人被ばく線量計を装着し,放射線障害を受け又は受けたおそれがある場合には,第39条に定める措置を講ずる。
[第39条]
第12章 報告
(事故等の報告)
第44条 主任者は,次の各号の一に該当する事態が発生したときは,その状況及びそれに対する措置を直ちに病院長に報告しなければならない。
(1) 放射性同位元素等の盗取又は所在不明
(2) 業務従事者について実効線量限度若しくは等価線量限度を超え,又は超えるおそれのある被ばく
(3) 前3号のほか,放射線障害が発生し,又は発生するおそれのある事態
(4) 計画外の被ばくがあったときであって,当該被ばくにかかる実効線量が次の項目を超える,又は超えるおそれのある場合
イ 業務従事者及びエックス線検査従事者にあっては5ミリシーベルト
ロ 業務従事者及びエックス線検査従事者以外にあっては0.5ミリシーベルト
(5) 放射線診療施設の遮蔽物が損傷したため,線量限度を超えるとき
(6) 気体状の放射性同位元素を排気設備により排気した場合において,濃度限度又は線量限度を超えたとき
(7) 液体状の放射性同位元素を排水設備により排水した場合において,濃度限度又は線量限度を超えたとき
(8) 放射性同位元素等が管理区域内で漏えいしたとき。ただし,次のいずれかに該当するとき(漏えいした物が管理区域外に広がったときを除く。)を除く。
イ 漏えいした液体状の放射性同位元素等が当該漏えいに係る設備の周辺部に設置された漏えいの拡大を防止するための堰せきの外に拡大しなかったとき
ロ 気体状の放射性同位元素等が漏えいした場合において,漏えいした場所に係る排気設備の機能が適正に維持されているとき
ハ 漏えいした放射性同位元素等の放射能量が微量のときその他漏えいの程度が軽微なとき
(9) 車両等による放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物の運搬に関し,放射線障害以外の障害が発生し,又は発生するおそれのある事態
2 病院長は,前項の報告を受けたときは,その状況及びそれに対する措置を直ちに学長に報告するとともに,その状況及びそれに対する措置を事態の発生したときから10日以内に,それぞれ学長を通じて原子力規制委員会及びその他関係機関の長に報告しなければならない。
(定期報告)
第45条 病院長は,毎年4月1日から翌年3月31日までの期間について,放射線管理状況報告書を作成し,5月31日までに学長に報告するとともに,学長を通じて6月30日までに原子力規制委員会に提出しなければならない。
(特定放射性同位元素に係る報告)
第45条の2 病院長は,密封された放射性同位元素であって人の健康に重大な影響を及ぼすおそれがあるものとして原子力規制委員会が定めるもの(以下「特定放射性同位元素」という。)に係る受入れ又は払出しを行った場合は,その行為を行ってから15日以内に学長を通じて原子力規制委員会に報告しなければならない。
2 病院長は,前項の報告を行った特定放射性同位元素の内容を変更(当該変更により当該特定放射性同位元素が特定放射性同位元素でなくなった場合を含む。)した場合は,その行為を行ってから15日以内に学長を通じて原子力規制委員会に報告しなければならない。この場合において,一連の行為として受入れ又は払出しを行ったときは,前項の報告を併せて行うものとする。
3 病院長は,毎年3月31日に所持している特定放射性同位元素について,6月30日までに学長を通じて原子力規制委員会に報告しなければならない。
第13章 情報提供
(情報提供)
第46条 事故等の報告を要する放射線障害のおそれがある場合又は放射線障害が発生した場合には,事務部が第一報を公表するとともに,病院長は学長に報告した上で,信州大学研究推進部研究支援課を通じて大学ホームページに次項に定める事故の状況及び被害の程度等を掲載することにより公衆及び報道機関へ情報提供する。また,外部からの問合せに対応するため,医学部附属病院総務課に問合せ窓口を設置するものとする。
2 発生した事故の状況及び被害の程度等に関して外部に情報提供する内容(以下「情報提供内容」という。)は,次の各号に掲げる事項とする。
(1) 事故の発生日時及び発生した場所
(2) 汚染状況等による事業所外への影響
(3) 事故の発生した場所において取り扱っている放射性同位元素の種類,性状及び数量
(4) 応急措置の内容
(5) 放射線測定器による放射線量の測定結果
(6) 事故の原因及び再発防止策
3 放射線診療施設責任者は,情報提供内容について,放射線障害予防委員会の協議を経て決定し,病院長に報告することとする。
第14章 業務の改善
(業務の改善)
第47条 放射線施設の放射性同位元素等及び放射線発生装置の使用・管理等に係る放射線障害の防止に関する業務の改善は,次の各号に定めるものとする。
(1) 安全管理担当者又は施設管理担当者は,使用・管理に関する記録を相互確認する。
(2) 安全管理担当者又は施設管理担当者は,前号の内容を安全管理責任者又は施設管理責任者に報告・提案する。
(3) 安全管理責任者又は施設管理責任者は,必要に応じて前号の内容を予防委員会に報告・提案する。
(4) 予防委員会は,業務の改善に関する提案がなされた場合には,委員会はこれを解決する策を検討する。また,必要と判断したときは,改善を実施するための予算的措置を要望するものとする。
(5) 予防委員会は,前号の内容を記録しなければならない。
2 予防委員会は,前項5号の内容を病院長に報告しなければならない。
第15章 雑則
(放射性同位元素及び放射線発生装置の使用等の申請)
第48条 病院長は,放射性同位元素及び放射線発生装置の使用について承認を受けた事項を変更しようとする場合又はこれらの使用を廃止しようとする場合で,法に基づく手続を行うときは,学長を通じて原子力規制委員会に変更承認申請等を行わなければならない。
(廃止措置)
第49条 病院長は,事業所において放射性同位元素及び放射線発生装置を廃止する場合は,廃止に伴う必要な措置を講じなければならない。
(学外者の使用)
第50条 事業所の職員及び学生以外の者で,放射線診療施設又はエックス線撮影装置の使用を希望する者は,病院長に申請し,その許可を得なければならない。
2 病院長は,前項の申請があったときは,主任者の同意を得て,放射線診療施設又はエックス線撮影装置を使用する資格があると認める場合に限り,許可するものとする。
(その他)
第51条 病院長は,事業所の放射線障害予防規程及びその他必要な事項を定め,学長に報告しなければならない。
附 則
1 この規定は平成16年4月1日から施行する。
2 この規定施行の際現に主任者,放射線取扱主任者補佐,施設管理責任者,施設管理担当者,安全管理責任者,安全管理担当者又は放射線健康管理医である者は,この規定により選任又は委嘱されたものとみなす。
附 則(平成17年3月31日平成16年度規程第93号)
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この規定は,平成17年4月1日から施行する。
附 則(平成17年9月8日平成17年度規程第35号)
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この規定は,平成17年10月1日から施行する。
附 則(平成18年3月30日平成17年度規程第87号)
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1 この規程は,平成18年4月1日から施行する。
2 病院長は,この規程による改正後の第8条第2項の規定にかかわらず,この規程施行の際現に主任者に選任されている者に対して,平成18年3月31日までに最初の定期講習を受けさせなければならない。
附 則(平成19年2月28日平成18年度規程第73号)
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この規程は,平成19年4月1日から施行する。
附 則(平成19年5月21日平成19年度規程第5号)
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この規程は,平成19年5月21日から施行し,平成19年4月1日から適用する。
附 則(平成22年3月18日平成21年度規程第74号)
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この規程は,平成22年3月18日から施行する。
附 則(平成22年9月10日平成22年度規程第33号)
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この規程は,平成22年9月10日から施行し,平成22年4月1日から適用する。ただし,第1条及び第40条第2項の改正規定については,平成21年11月1日から適用する。
附 則(平成22年9月10日平成22年度規程第36号)
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この規程は,平成23年1月1日から施行する。
附 則(平成27年5月8日平成27年度規程第4号)
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この規程は,平成27年5月8日から施行する。
附 則(平成29年10月5日平成29年度規程第39号)
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この規程は,平成29年10月5日から施行する。
附 則(令和元年8月8日令和元年度規程第58号)
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この規程は,令和元年8月8日から施行する。ただし,放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年法律第167号)の名称変更にかかる改正規定については,令和元年9月1日から施行する。
附 則(令和3年4月8日令和3年度規程第1号)
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この規程は,令和3年4月9日から施行する。
附 則(令和5年10月4日令和5年度規程第49号)
|
この規程は,令和5年10月5日から施行し, 令和5年10月1日から適用する。
附 則(令和6年3月7日令和5年度規程第95号)
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この規程は,令和6年3月16日から施行する。
別図第1(第5条関係)

放射線安全管理に関する組織

別図第2(第41条及び第42条関係)

連絡通報体制
