○国立大学法人信州大学テニュア・トラック制度に関する規程
(平成23年2月17日国立大学法人信州大学規程第101号) |
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(趣旨)
第1条 この規程は,国立大学法人信州大学(以下「本法人」という。)において実施するテニュア・トラック制度に関し必要な事項を定める。
(テニュア・トラック制度の目的)
第2条 テニュア・トラック制度は,優れた若手研究者をテニュア・トラック教員として採用し,公正かつ厳格な審査により,学術上及び業務の遂行上優れた実績を認めることができる場合にテニュアを授与し,もって本法人の将来を担う優れた教員を育成することを目的とする。
(テニュア・トラック制度の学系等別導入の原則)
第3条 学系等は,原則としてこの規程に定めるテニュア・トラック制度を導入するものとする。
(組織及び運用)
第4条 本法人及び学系等は,この規程に定めるところにより,テニュア・トラック制度に関する組織を設置し,その運用を行う。
2 本法人は,この規程を適正に運用するために,テニュア・トラック制度に関する組織の編成,運営,業績評価及び業績審査(以下「業績評価・審査」という。)の基準及びその方法等の詳細について,ガイドライン等を別に定める。
3 学系等は,この規程及びガイドライン等に基づきテニュア・トラック制度を運用するための規程を制定し,運用するものとする。
(定義)
第5条 この規程において次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1) テニュア 本法人の定年までの期間,労働契約を保障される教員の資格をいう。
(2) テニュア・トラック テニュア審査実施を前提として採用された任期付教員の資格をいう。
(3) テニュア・トラック教員 テニュア・トラックを保有する教員をいう。
(4) テニュア・トラック期間 テニュア・トラック教員の任期(在任期間)をいう。
(5) テニュア審査 第21条及び第21条の2に定めるテニュア授与の可否に関する業績審査をいう。
(6) 中間審査 第20条に定める3年次業績審査をいう。
[第20条]
(7) 年次評価 第19条に定める年次業績評価をいう。
[第19条]
(8) 学系等 学術研究院に所属する教員においては学系,特定雇用教員においては学部,大学院研究科及び先鋭領域融合研究群をいう。
(9) 学系長等 学術研究院に所属する教員においては学系長,特定雇用教員においては学部長,大学院研究科長及び先鋭領域融合研究群長をいう。
(10) 学系教授会議等 学術研究院に所属する教員においては学系教授会議,特定雇用教員においては学部の教授会,大学院研究科の研究科委員会及び先鋭領域融合研究群運営委員会をいう。
(11) テニュア・トラック運用委員会 第13条の規定により,学系等が設置する委員会をいう。
[第13条]
(12) 学系等人事委員会 学系等の教員人事に関する常設委員会をいう。
(13) テニュア審査委員会 第14条の規定により,学系等が設置する委員会をいう。
[第14条]
(14) アドバイザリー委員会 第15条の規定により,学系等が設置する委員会をいう。
[第15条]
(15) 人事制度委員会 国立大学法人信州大学人事制度委員会規程(平成25年国立大学法人信州大学規程第132号)により設置された全学委員会をいう。
(16) 正規教員 本学定年制が適用される,労働契約上の任期の定めのない教員をいう。
(17) メンター教員 テニュア・トラック教員の教育・研究能力等の向上のための支援及び助言を行う教員をいう。
(採用)
第6条 テニュア・トラック教員の職位は,原則として,助教とする。ただし,学系等が必要と認める場合,信州大学学術研究院会議の議を経て講師以上の職位に採用することができる。
(契約期間)
第7条 テニュア・トラック教員のテニュア・トラック期間は,原則として5年とする。
2 前項の定めにかかわらず,博士の学位を保有していない者をテニュア・トラック教員に採用する場合は,この者のテニュア・トラック期間を当初3年の任期とし,その後2年の契約期間更新を行い,合わせてテニュア・トラック期間5年を,原則として確保することとする。
3 テニュア・トラック教員が,第23条第1項又は第26条第2号の規定に該当する場合は,当該期間につき契約期間を更新することを可能とする。
(学系等における取扱い)
第8条 学系は,テニュア・トラック教員を正規教員としての採用を前提とした任期付職員の雇用形態で処遇する。
2 学部,大学院研究科及び先鋭領域融合研究群は,テニュア・トラック教員を外部資金等を利用し特定雇用教員としての雇用形態で処遇するものとし,当該テニュア・トラック教員に対して,採用時に,前項に規定する雇用形態との相違を労働条件通知書等に明記して交付するとともに,これを説明しなければならない。
第9条 学系は,テニュア・トラック教員をテニュア授与後に採用する場合に充てられる正規教員のポストを,その採用時期までに準備することとする。
第10条 学系長等は,学系等が定める規程等において,あらかじめテニュア・トラック教員が担当する業務,テニュア・トラック期間,テニュア授与後に就任する職位,業績評価・審査の基準,業績評価・審査の手順及びその開示方法等を定めておかなければならない。
2 学系長等は,前項に定める学系等規程を制定又は改正する場合,人事制度委員会の承認を受けなければならない。
第11条 学系等は,この規程で定めるテニュア・トラック教員とは異なる雇用形態である正規教員及び任期満了後正規教員としての採用を予定されない任期付職員については,テニュア・トラック教員と別に取扱うこととする。
(テニュア・トラック制度の説明及び同意書)
第12条 学系長等は,テニュア・トラック教員を採用する場合は,募集,選考及び採用の各過程において,応募者,被選考者及び被採用者に対して,採用により取得する資格がテニュア・トラック教員であることを明示するとともに,必要に応じてこれを詳しく説明しなければならない。
2 学系長等は,テニュア・トラック教員の採用に際して,テニュア・トラック期間,当該テニュア・トラック教員に課せられる研究・教育・学系等管理運営の業務及びテニュア審査等について詳しく説明するとともに,所定の採用同意書を交わし,テニュア・トラック教員の同意を確認することとする。採用同意書は,2部作成し,学系長等及びテニュア・トラック教員が各々署名の上,各々が所持することとする。
3 テニュア・トラック教員と学系長等は,テニュア・トラック教員の採用同意書の内容を,テニュア・トラック期間中に,必要に応じて協議の上変更することができる。この際の手続は,前項と同様とする。
(テニュア・トラック運用委員会)
第13条 学系等は,テニュア・トラック制度の管理運用上の業務を担当するために,テニュア・トラック運用委員会(以下「運用委員会」という。)を置く。
2 運用委員会は,次の各号に掲げる委員をもって組織する。
(1) 学系長等
(2) 学系等人事委員会の長
(3) テニュア審査委員長(第14条の規定により設置されるテニュア審査委員会の委員長全員)
(4) 事務職員 1名
(5) その他運用委員会が必要と認める教職員 若干名
3 運用委員会に委員長を置き,学系長等をもって充てる。
4 必要に応じて,運用委員会に副委員長を置き,委員長が指名する委員をもって充てる。
5 運用委員会は,次の各号に掲げる事項の進捗状況の確認を行い,適正かつ厳格に監督・指導し,必要な事項を処理する。
(1) 年次評価
(2) 中間審査
(3) テニュア審査
(4) その他運用委員会が定める事項
(テニュア審査委員会)
第14条 学系等は,テニュア・トラック教員の中間審査及びテニュア審査のために,運用委員会の下に,各テニュア・トラック教員別にテニュア審査委員会(以下「審査委員会」という。)を設置する。ただし,合理的事情が認められる場合,運用委員会は,複数のテニュア・トラック教員をまとめた審査委員会を設置することを認めることができる。
2 学系等は,審査委員会の組織及び業務等を定めるに際しては,ガイドライン等に準拠することとする。
(アドバイザリー委員会)
第15条 学系等は,テニュア・トラック教員への助言,支援及び年次評価等のために,各テニュア・トラック教員別にアドバイザリー委員会を設置する。ただし,合理的事情が認められる場合,運用委員会は,複数のテニュア・トラック教員をまとめたアドバイザリー委員会を設置することを認めることができる。
2 学系等は,アドバイザリー委員会の組織及び業務等を定めるに際しては,ガイドライン等に準拠することとする。
(業績評価・審査の一貫性の確保)
第16条 学系等は,テニュア・トラック教員の業績評価・審査を,所定の評価基準に基づき,継続して一貫した方針の下で行わなければならない。
(業績評価・審査基準の設定と開示)
第17条 学系等は,テニュア審査がテニュア・トラック教員の将来に大きな影響を与える審査であることに鑑み,テニュア・トラック教員に対する学系等の評価・審査基準を厳正に定め,開示しなければならない。この場合において,学系等の事情を十分に考慮するとともに,ガイドライン等の趣旨を活かして行うものとする。
(業績評価・審査資料の管理)
第18条 学系等は,テニュア・トラック教員の評価・審査に用いる業績調書,業績根拠資料及び授業評価書等の評価・審査資料を定め,毎年次確実に更新するともに,各テニュア・トラック教員別に個人別ファイルを作成,更新,管理するとともに,関係者の閲覧に供しなければならない。この場合において,ガイドライン等の定めるところにより行うものとする。
(年次評価)
第19条 アドバイザリー委員会は,テニュア・トラック期間において,中間審査及びテニュア審査の実施年度を除く各年度ごとに,テニュア・トラック教員の業績の年次評価をガイドライン等に基づき実施する。
2 アドバイザリー委員会は,前項による年次評価結果を当該テニュア・トラック教員に説明し,必要な改善事項を指示するものとする。
3 アドバイザリー委員会は,年次評価結果を審査委員会に報告しなければならない。
(中間審査)
第20条 審査委員会は,テニュア・トラック期間の第3年次に,テニュア・トラック教員の業績の中間審査をガイドライン等に基づき実施する。ただし,第21条の2及び第22条に基づき,中間審査を実施する前にテニュアを授与することが決定された場合は,この限りではない。
2 審査委員会は,この中間審査結果を当該テニュア・トラック教員に説明し,必要な改善事項を指示するものとする。
(テニュア審査)
第21条 審査委員会は,テニュア・トラック期間の最終年次に,テニュア・トラック教員のテニュア授与に係るテニュア審査をガイドライン等に基づき実施する。
2 テニュア審査は,テニュア・トラック期間満了日の6ヶ月前までに終えるものとする。
(早期のテニュア審査)
第21条の2 審査委員会は,テニュア・トラック期間の満了前に,早期にテニュアを授与すること(以下「早期テニュア授与」という。)がふさわしいと判断した場合は,第21条の規定にかかわらず,当該テニュア・トラック教員のテニュア・トラック期間が第3年次以降であれば,テニュア・トラック教員の早期テニュア授与に係るテニュア審査をガイドライン等に基づき実施することができるものとする。
[第21条]
(学系教授会議等によるテニュア授与の審議決定)
第22条 学系等人事委員会は,審査委員会の報告に基づき,テニュア授与の可否について審議する。
2 学系等の学系教授会議等は,審査委員会及び学系等人事委員会の報告に基づき,テニュア授与の可否を決定するとともに,テニュアを授与するテニュア・トラック教員を正規教員に採用すること及び採用する職位を決定する。
3 学系長等は,テニュア審査の経過及び学系教授会議等の審議結果を,速やかに信州大学学術研究院会議の議を経て,当該テニュア・トラック教員に対して通知するものとする。
4 前三項のほか,早期テニュア授与に関して必要な事項は,学系等で別に定める。
(テニュア不授与の場合の取扱い)
第23条 学系等は,テニュア審査においてテニュア・トラック期間の最終年次にテニュア不授与とする決定を受けたテニュア・トラック教員から,転出準備等を行うために,当初のテニュア・トラック期間の延長を希望する申出を受けた場合,学系教授会議等の審議後,信州大学学術研究院会議の議を経て,1年を限度にこれを延長するものとする。
2 学系等は,テニュア・トラック期間におけるテニュア審査後の残余期間及び前項に定める延長期間の間,当該テニュア・トラック教員の管理運営業務の軽減等に配慮し,当該教員の転職に関わる活動が円滑に可能となるように支援する。
(テニュア審査に対する不服申立て)
第24条 テニュア審査においてテニュア不授与とする決定を受けたテニュア・トラック教員は,不服がある場合,学長に対して,所定の様式により不服申立てを行うことができる。この不服申立ては,テニュア審査結果の通知を受けた日の翌日から起算して14日以内に行わなければならない。
(テニュア審査裁定委員会)
第25条 学長は,前条に定める不服申立てを受けた場合,当該学系長等と協議し,テニュア審査裁定委員会(以下「裁定委員会」という。)を設置する。
2 裁定委員会は,次の各号に掲げる委員をもって組織する。
(1) 研究担当の理事
(2) 総務担当の理事
(3) 当該学系長等
(4) 当該学系長等以外の学系長等 若干名
(5) その他裁定委員会が必要と認める教員又は学外の専門家 若干名
3 裁定委員会に委員長を置き,前項に規定する理事のうちから,学長が指名する者をもって充てる。
4 裁定委員会は,当該テニュア審査に関わる審査手続,審査基準適用,年次評価・中間審査を精査するとともに,不服を申し立てた者(以下「不服申立者」という。)を担当する審査委員会の委員長から審査に係る事情を聴取した上,審査経過の妥当性を審議し,テニュアを不授与とし当該不服申立てを却下すること又は再度テニュア審査を実施することのいずれかを裁定し,学長に裁定結果を報告する。この場合において,裁定委員会は,不服申立者から意見陳述の求めがある場合又は必要がある場合,その意見を聴取することができる。
5 前項に定める裁定委員会の報告を受けた学長は,不服申立者及び当該学系長等に対して,裁定結果を所定の様式により通知する。
6 裁定委員会は,特別の事情がない限り,不服申立ての日から起算して30日以内に裁定を終えるものとする。
7 学系等は,学長から不服申立者に係るテニュア審査を再度実施する旨の通知を受けた場合,その通知内容に従い,速やかに審査委員会によるテニュア審査を再度実施することとする。
8 前項に定めるテニュア審査の再実施の手続は,第14条及び第21条の規定に準じて行うこととする。
9 不服申立者に係るテニュア審査を再度実施した場合,その結果をもって当該不服申立者に対する本法人の最終判定結果とする。
(テニュア・トラック期間における出張等の取扱い)
第26条 テニュア・トラック期間中の出張等により当該テニュア・トラック教員が不在となる期間の取扱い及びこのことに伴う業績評価・審査日程の取扱いは,次の各号によるものとする。
(1) 長期の出張又は研修(以下「長期出張等」という。)の期間については,原則としてテニュア・トラック期間の一部として取扱い,事前に定められた日程どおりに業績評価・審査を行う。ただし,長期出張等の期間は12ヶ月を越えてはならないこととする。
(2) テニュア・トラック教員が,テニュア審査が実施される前に産前産後の特別休暇又は育児休業若しくは介護休業を取得する場合,当該教員に係る業績評価・審査は,業績評価・審査の日程を当該休暇又は休業を取得する期間に相当する期間分延期して実施するものとする。
(3) 休職又は前号に規定する以外の事情により不在となる期間にあっては,特別の事情がない限り,テニュア・トラック期間の一部として取扱い,事前に定められた日程どおりに業績評価・審査を行う。
(4) 審査委員会は,前号までによることができない特別の事情についての申出がテニュア・トラック教員から行われた場合,その取扱いについて判断し決定する。
(テニュア・トラック教員に対する支援)
第27条 学系等は,第2条に定めるテニュア・トラック制度の目的を実現するために,テニュア・トラック教員の教育・研究環境を整備し,その教育・研究活動を支援することとする。
[第2条]
2 学系等は,テニュア・トラック教員の教育・研究能力等の向上のための支援及び助言に係る業務を行うメンター教員を,各テニュア・トラック教員ごとに1名又は2名選任するものとする。
3 学系等は,学系等内のテニュア・トラック教員の間で,その担当する教育及び管理運営業務等について,不均衡が生じないように配慮しなければならない。
(就業規則の適用)
第28条 この規程に定めるもののほか,テニュア・トラック教員の就業に関し必要な事項は,国立大学法人信州大学職員就業規則(平成16年国立大学法人信州大学規則第2号)又は国立大学法人信州大学特定教職員就業規則(平成19年国立大学法人信州大学規則第7号)の規定を適用する。
附 則
この規程は,平成23年4月1日から施行する。
附 則(平成25年3月15日平成24年度規程第51号)
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この規程は,平成25年4月1日から施行する。
附 則(平成25年4月1日平成25年度規程第5号)
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この規程は,平成25年4月1日から施行する。
附 則(平成26年8月7日平成26年度規程第9号)
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1 この規程は,平成26年8月7日から施行する。
2 平成26年4月1日からこの規程の施行日前において,改正前の規定に基づき行われたテニュア審査,中間評価及び年次評価については,改正後の規定に基づき行われたものとみなす。
附 則(平成27年3月30日平成26年度規程第102号)
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この規程は,平成27年4月1日から施行し,平成26年4月1日から適用する。
附 則(平成28年9月23日平成28年度規程第20号)
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この規程は,平成28年9月23日から施行する。ただし,第5条第8号,第9号,第10号,第8条第2項及び第28条の改正規定については,平成28年4月1日から適用する。
附 則(平成28年10月31日平成28年度規程第32号)
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この規程は,平成28年10月31日から施行し,平成27年10月1日から適用する。
附 則(平成29年5月8日平成29年度規程第3号)
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この規程は,平成29年5月8日から施行し,平成29年4月1日から適用する。