繊維学部研究紹介2026
46/62

タンパク質の精製実験中。生体内に存在する膨大な数のタンパク質から目的タンパク質だけを取り出しているところです。 有用タンパク質を遺伝子工学的に改良することによって、従来よりも優れた機能(反応性や安定性の向上)を与えることに挑戦中。 カイコサナギ培地 (生きたサナギ) 継代培養 第1世代 継代培養 第2世代 サナギタケは継代培養を繰り返すことで子実体形成能が劣化した。 固体培地 (主成分:玄米) 継代培養 第3世代 教員紹介 冬虫夏草であるサナギタケは、抗腫瘍活性を示すコルジセピンや抗酸化作用を示す水溶性のカロテノイドであるコルじキサンチンなど様々な生物活性物質を含んでいます。人工栽培したサナギタケのキノコは健康に寄与する食品やサプリメント、化粧品などへの応用が期待されています。サナギタケのキノコの安定生産が可能になれば、冬虫夏草の人工栽培による産業化への道が拓けるでしょう。 野川 優洋 准教授 長岡技術科学大学助手、信州大学繊維学部助手等を経て、2009年より現職。研究分野は植物や微生物の遺伝子工学や応用利用。 野川研究室では、生物関係の研究を経験してきていることから、食品会社や製薬会社への就職が多いですが、コンピュータ関係、化学関係など様々な会社に就職しています。また、公務員や教員として活躍している卒業生もいます。 教員紹介 有用タンパク質の一つである酵素は、環境に優しい温和な条件で触媒反応することから、グリーンケミストリーの観点におけるキーテクノロジーの1つです。新規酵素の探索や遺伝子工学的改良は、食品・医療・化学合成など多くの分野への貢献が期待されます。また、生体内タンパク質合成の中核を担うリボソームや関連因子を分子レベルで改変することによって、従来の合成系では生産困難であった有用タンパク質の生産を可能にする技術開発に挑戦しています。 野村 隆臣 准教授 ライオン株式会社研究開発本部、信州大学繊維学部教務員・助手・助教を経て、2017年より現職。主な研究分野は分子生物学・遺伝子工学的技術を用いた生体機能分子の解析。 卒業生の多くは研究職に就いており、食品会社や製薬会社、素材・材料を取り扱う化学品メーカーなど様々な分野で活躍しています。他には、研究室での経験を生かして、DNA・遺伝子やタンパク質の分析をおこなう仕事も考えられます。 研究から広がる未来 卒業後の未来像 研究から広がる未来 卒業後の未来像 45 冬虫夏草は中国、韓国、ネパール、日本などで漢方薬や薬膳料理の食材として珍重されてきました。日本では昆虫に感染するキノコのことを冬虫夏草と呼んでいます。野川研究室で使用しているサナギタケは日本を含む全世界的に分布していてカイコを含む鱗翅目昆虫のサナギからオレンジ色のキノコを発生させます。近年サナギタケのキノコの人工栽培法が開発されましたが、継続的に培養しているとキノコを作らなくなるサナギタケの劣化が頻繁に起こります。このためサナギタケの産業レベルでの大規模栽培は困難な状況にあります。野川研究室では、サナギタケの劣化を抑制たキノコの安定栽培法の開発を目指しています。 生体内には様々な機能分子が存在しており、これらの働きによって生物は生命活動を営んでいます。ゲノム解析によって多くの生体機能分子の詳細が明らかにされつつありますが、謎のベールに包まれたものも数多く残されており、有用な機能をもつものが眠っていると考えられます。野村研究室では、生体機能分子の代表と言える「タンパク質」について研究をおこなっており、分子生物学的・遺伝子工学的技術を駆使して「酵素などの有用タンパク質の探索・改良」や「タンパク質生産技術の開発」に取り組んでいます。 漢方薬に使われる冬虫夏草 (サナギタケ)の人工栽培法の開発 応用生物科学科 応用生物科学科 生体分子の理解から応用〜未利用タンパク質資源の活用と生産技術の開発〜

元のページ  ../index.html#46

このブックを見る