信大NOW156号
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図2図3信州大学が持つ特許を技術移転する信州TLOとのコラボで制作した、特許技術「見える化」映像シリーズ第13弾の紹介映像もご覧ください。14信 州 大 学 × 信 州 T L O特 許 紹 介 映 像 シ リ ー ズ3o l. 1V図は従来の縫合糸と、今回特許で作製するモノフィラメントの構造の違い。シルク縫合糸はモノフィラメントが撚られた状態でできており、分子鎖も整然と並んでいるが、今回、分子鎖が不規則になっているシルクの水溶液にカチオン化多糖を一定程度混ぜることで、分子鎖の配列を変化させ、糸状のモノフィラメントになることを発見した。研究分野はバイオマテリアル、繊維・高分子材料。研究テーマはバイオマテリアルとしてのシルクフィブロインの応用展開、バイオマテリアルと生体間の相互作用解析、生体吸収性材料の創製、抗菌性材料の創製など。水溶液に、一定の混合比でカチオン化多糖を加えることで、分子間の相互作用が変化し、湿式紡糸法で糸状のモノフィラメントになることを発見した。相溶のメカニズムを概念図にしてみた。一番左の図のように、添加材として用いたカチオン化多糖がシルクフィブロインより少ない状態では、シルクフィブロインの分子間相互作用が下がり、両高分子がより混ざり合うと考えられる。水系湿式紡糸法の実験に協力いただいた信州大学大学院総合理工学研究科繊維学専攻清田 朗子さん(M2)【特許情報】本技術に関する知的財産権発明の名称:生分解吸収性形成体の製造方法      および生分解吸収性形成体特 許 番号 :特願2025-053818出 願 人:信州大学発 明 者:橋本朋子、玉田靖、清田朗子信州大学学術研究院(繊維学系)繊維学部 応用生物科学科多糖を混ぜることで、分子鎖の配列を変化させ、モノフィラメントを製造するというものです。図3は、そのメカニズムを概念図にしたものです。この一番左の図のように、添加材として用いたカチオン化多糖がシルクフィブロインより少ない状態では、シルクフィブロインの分子間相互作用が下がり、両高分子がより混ざり合うためと考えられます。「これまでゲルになっていましたが、今回私たちの開発した方法により、1本の糸を作ることができました。この糸は人の毛髪より少し細いくらいの直径で、縫合糸ですと6−0程度の規格です。曲げることもできますが、強度は改善の余地があり、さらに改良を進めてより良い糸を作りたいと考えています」と橋本准教授は話します。この特許で製造されたシルクモノフィラメントの大きな特徴は、「分解性に優れること」「菌の感染場を提供しないこと」です。この特徴を利用し、抜糸が必要ない新しい医療用縫合糸の開発が期待されます。また、他にも応用展開できそうです。例えば、自然界に放棄されたとしても分解する釣り糸、一度しか着ないイベント用の使い捨て衣類やウェディングドレス。さらに、分解を前提とした一時展示用のアート素材などにも活用できるかもしれません。メディカル業界に限らず、アイデア次第で新しい製品化が期待できそうです。新しい医療用シルク縫合糸、さらにアイデア次第で活用方法が広がる橋本 朋子 准教授 !

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