信大NOW156号
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図113従来の縫合糸の構造本特許の紡糸方式今回ご紹介するのは、信州大学学術研究院(繊維学系)橋本朋子准教授が開発した「完全水系湿式紡糸法によるシルクモノフィラメント作製」に関する特許です。シルクの主成分「シルクフィブロイン」は、人体との親和性が高く、医療分野では外科用縫合糸として使われていますが、糸の凸凹部分が菌の感染場になりうるとされています。これまでの糸とは大きく異なる特徴をもつシルクのモノフィラメントを作る技術と応用アイデアなどを紹介します。シルクの紡糸方式は限られる。今回挑戦したのは蚕から糸をつくる従来の方式。シルクの溶剤として有機溶媒や酸・アルカリを使わず、環境にもシルクにも優しい完全水系湿式紡糸。だが、従来はゲル化してしまうため1本糸は作製できなかった。シルクの主成分である「シルクフィブロイン」は人体との親和性が高く、長年高級アパレル材料として使用されてきました。また、今回ご紹介する医療分野では外科用縫合糸として使われています。外科用縫合糸の形状は、細いフィラメント糸を撚った「撚糸(ねんし)」をさらに編み込んだ「マルチフィラメント」で、高い強度があるため医療分野で長年重宝されています。ただし、マルチフィラメントは分解が非常に遅いため、施術後には抜糸が必要になります。また、糸表面の凸凹部分で菌が増殖しやすいとも言われています。もし、適した強度を保ちながら表面が平滑で、分解性に優れるシルクの「モノフィラメント」(一本糸)を作ることができれば―。今回ご紹介する特許は、従来の課題を解決し、これまでになかったシルクのモノフィラメントを作る画期的な技術になります。紡糸の方式は様々ありますが、シルクで可能な方式は限られます。具体的には、水溶液を用いる「完全水系湿式紡糸方式」と、水溶液を用いない「乾式紡糸方式」があります(図1)。前者はシルクをつくるための溶剤として有機溶媒や酸・アルカリを使わないことから環境にも優しいというメリット(文・佐々木 政史)がありますが、ゲル化してしまうことから、モノフィラメントの開発は実現できていませんでした。今回、橋本准教授は独自の工夫を施して「完全水系湿式紡糸方式」でのモノフィラメントを作ることに成功しました。図2は従来の縫合糸と、今回の特許で作製するモノフィラメントの構造の違いです。シルク縫合糸はモノフィラメントが撚られた状態でできており、分子鎖も整然と並んでいます。今回の特許は、分子鎖が不規則になっているシルクの水溶液に一定のカチオン化手術に使うシルクのマルチフィラメントは抜糸や菌増殖の課題もゲル化の課題を乗り越えシルクのモノフィラメントをついに実現信州大学の研究シーズを技術移転する信州TLOとのコラボで制作した、特許技術「見える化」映像シリーズの第13弾。〜完全水系湿式紡糸でのモノフィラメントの開発〜より高機能の医療用シルク縫合糸を

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