繊維学部研究紹介2025
40/62

触媒反応の模式図(左)、ホイスラー合金触媒(右)(Sci. Adv. 44 eaat6063, 2018:CC BY-NCライセンス: http://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0)金属溶解炉(左)、単結晶薄膜合成装置(右上)、非酸化雰囲気操作装置(右下)試料の合成、取り扱い、触媒評価の全てを精密に行い、メカニズムを解明!図 1 .新 し い 機 能 性 マ テ リ ア ル や 生 体 模 倣 シ ス テ ム の 例図 2 .様 々 な 次 元 性 を 有 す る ナ ノ ビ ル デ ィ ン グ ブ ロ ッ ク の 例39小小嶋嶋 隆隆幸幸 助助教教東北大学工学研究科で博士(工学)取得後、同大学研究員、助教を経て、2020年11月より現職。学生時代は(金属)材料を専攻、磁性材料薄膜を研究し、分野を変えて触媒の世界へ。異分野融合を常に模索。佐佐野野 航航季季 助助教教2019年に東京大学で博士号を取得後、理化学研究所基礎科学特別研究員、科学技術振興機構 さきがけ研究者などを経て、2021年より現職。研究分野は機能性ソフトマテリアルや生体模倣システムの開発。卒卒業業後後のの未未来来像像卒卒業業後後のの未未来来像像教教員員紹紹介介研研究究かからら広広ががるる未未来来従来の触媒研究は殆ど化学者によってのみ行われていましたが、特殊な合金の取り扱いには金属(冶金)学の知識や技術が必要なため、その触媒機能は殆ど未解明です。特に元素数が3元以上になるとさらに複雑になる一方、元素の組み合わせが無限に広がり、特殊な触媒機能の発現が期待できます。そのような系を開拓していけば、従来の常識を覆す触媒機能が発見されると考えています。革新的触媒の開発は、新化合物や新素材の合成、化学反応を伴う様々なプロセスの省エネルギー化・環境負荷低減につながります。これからは終身雇用の時代も終わり、一握りの超有能な人間以外、一つのことだけを突き詰めて生きていくのは難しくなります。分野や既成概念にとらわれずに常に広い視野を持っておくことが重要です。ポストコロナの激動の時代を生き抜くため、柔軟な思考と行動力を身に付けてほしいと思っています。教教員員紹紹介介研研究究かからら広広ががるる未未来来研究活動においては、1つの斬新なアイデアが世界中の研究者に影響を与え、数十年後の世界を変えることができます。このような信念のもと、私たちは「未来社会の発展に貢献する次世代機能性マテリアル」や「持続可能な社会の実現に向けた環境低負荷型マテリアル」の開発を目指しており、基礎科学・産業応用の両面にわたって破壊的イノベーションを起こしたいと考えています。研究活動を通して、「論理的思考能力」「問題発見・解決能力」「情報収集 ・発信能力」「主体性と実行力」「グローバルな視点」など、分野を問わずに通用する真の能力を身に付けることができます。これらを武器にすることで、変動し続ける社会においても揺らぐことのない自身の価値を確立し、自らの思い描く最良の未来を切り拓いて欲しいと考えております。金属などの固体触媒は、目的の化学反応を起こしやすい「場」を表面に提供します。化学反応は原子・分子の間で電子をやり取りして進行します。なので、触媒の性能は、触媒物質が持つ電子がどういう状態なのか、触媒表面はどういう状態なのか、によって左右されます。違う金属を混ぜ合わせると電子の状態も表面の状態も変わりますので触媒機能が変わります。中でも、異種金属が整数比で混合し規則的に配列した「金属間化合物」という特殊な合金では特殊な触媒機能が発現します。当研究室では、明確なターゲットは決めずに、多種多様な合金の触媒機能を精密に調べて共通の法則性を解明することにより、あらゆる触媒に使える開発設計指針を獲得しようと考えています。我々は、コロイド化学・超分子化学・高分子化学的なストラテジーやナノ・メソ・マクロスケールに渡るテクノロジーを駆使することによって、新しい機能性マテリアルや生体模倣システム(図1)の設計・開発を行っています。生体の美しい階層構造と複雑なダイナミクスに興味を持っており、外部摂動を巧みに利用することでナノビルディングブロック(図2)を精緻な秩序構造へと組み上げ、生体機能をも凌駕する革新的機能を人工的に実現することを目標にしています。自由な発想を持って異分野融合領域に飛び込むことで、医療・環境・エネルギー・材料科学分野における重要な課題の解決に貢献したいと考えています。化化学学・・材材料料学学科科化化学学・・材材料料学学科科特特殊殊なな合合金金のの特特殊殊なな触触媒媒機機能能をを解解明明・・開開発発未未来来社社会会をを切切りり拓拓くくママテテリリアアルルササイイエエンンスス〜〜革革新新的的ママテテリリアアルルとと生生体体模模倣倣シシスステテムムのの創創成成〜〜

元のページ  ../index.html#40

このブックを見る