04医学部 保健学科理学療法学専攻4年生はるあき精密機械加工などを行う会社でインターンシップを行っている石倉さん多くの地域では、少子高齢化や人口減少などの様々な課題を抱えており、取り組みは待ったなしの状況にあると言えます。その中で、地域が抱える課題を的確に分析し、これまでにない新たな視点や方法で解決策を考え、そしてそれを実践できる人材が求められています。信州大学では、そのような「ローカル・イノベーター」を養成するコースを全学横断特別教育プログラムのなかに設置しており、学部や専攻を越えて多くの学生が履修しています。同コースは1年次後期からスタートしますが、まず取り組むのはローカル・イノベーターとしてのマインドを磨くこと。そのために、課題を抱える地域の現場を訪問し、首長や企業の代表といった当事者から生の声を聞きます。加えて、対話やワークショップなども行い、より理解を深めることを目指しています。また、地域課題の解決に取り組む多くのゲストスピーカーによる講義を設けていますが、コース修了生で、医学部 保健学科 理学療法学専攻4年生の石倉 陽章さんは、「大学生のうちから様々な実践者の経験を聞けたことは、とても貴重な経験だった」と振り返ります。2年次は大きなイベントが2つ設けられています。ひとつは3泊4日の夏合宿で、毎年、異なる地域で開催されます。その地域の課題を現地の人から聞き、自分たちならどのように解決するかを考え、提案するそうです。石倉さんが参加した年は、群馬県長野原町の有限会社きたもっくを訪問し、交流人口・関係人口づくりのために同社で取り組んでいる「リトリート(日常の喧騒から離れ、心身をリフレッシュさせるための活動や滞在のこと)」について、より推進していくためにはどうするかを考え提案したといいます。 もうひとつは、地域づくり関連のイベントで、会場確保、講演者の調整、進行台本の作成などを受講生全員で協働しながら実施します。石倉さんは、500人以上もの地域企業や学生が参加する「大しごとーくin信州」の企画・運営に携わって「自分にはない視 点が新たな発 見につながったり、視 野が広がる経 験だった」と振り返ります。そして集大成となる3年次は、地域の企業や団体、行政などで、課題に実践的に取り組むインターンシップを行います。課 題を聞き取り、分析(文・佐々木 政史)し、自分なりの解決策を提案することで、地域課題解決に向けた実践力の育成を目指します。各受講生が訪問先を自由に決めることができますが、石倉さんは松本市で精密機械加工などを行う会社を選びました。その理由を聞くと、「私は何もないところから何かを作り出すことが苦手だという意識があったので、モノづくりの会社を選びました」とのこと。同社では受託加工の単調な作業のなかで社員のモチベーション維持が難しいという課題があり、自社製品の企画・製造に取り組んでいこうとしています。石倉さんはその製品の企画提案を行いましたが、「自分のつくりたいものと、世の中のニーズには違いがあり、それらをすり合わせて落としどころを見つけていくことの重要性を学びました」と話します。石倉さんがローカル・イノベーター養成コースを受講しようと考えたきっかけのひとつは、「実践を重視したいと考えたから」だそうです。大学入学当初、講義形式の授業が多く、「高校の授業形態との違いを見出しづらかった」といいます。そのようなときに、本コースの存在を知り、実践を通じて学ぶことで、“社会で生きていくための力”を身に付けることができるのではないかと考え、受講を決めたそうです。実際に受講してみて、「自分が思い描いていた以上の学びがありました」と充実感に満ちた様子で話してくれました。ローカル・イノベーター養成コース-地域のみらいを考える力を学ぶ-新たな視点や方法で地域課題の解決に挑む地域課題の生の現場で“課題解決型”インターンシップ地域の課題に向き合うためには、知識や理論だけでなく、現場に赴いて状況を把握し、分析し、解決法を考えて実践していく力が必要になります。信州大学では、全学横断特別プログラムのなかで、その力を育成する「ローカル・イノベーター養成コース」を設置しています。医学部 保健学科 理学療法学専攻4年生の石倉 陽章さんは、本コースの受講を通じて、「“社会で生きる力”が身に付いた」と言います。地域課題解決の実践を通じて学ぶイノベーターマインドと“社会を生き抜く力”さん石倉陽章01
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