員院信州大学学術研究院(人文科学系)渡邉 匡一 教授会雑誌』には松高生の姿が色濃く反映されていることから、研究を通じて、大正期から戦後の激動の日本社会と、高等教育における学生生活の実際を立体的に描き出し、明らかにすることを目指しているそうです。30年間にわたる現存52冊の雑誌の目次情報(1,112件)をExcelに入力してデータ化し、内容を分類・分析することで、松高生たちの文芸活動や自然科学研究が時代状況とどのように結びついていたかを探っています。その結果、学生自治の時森さんは、この研究の社会的な意義について次のように語ります。「今年で戦後80年を迎えますが、戦争を直接知る人が少なくなる中で不穏な出来事が増えているように思います。こうした文献に注目して過去から学び、民主的で平和な世の中をいかに作っていくかを考える機会や示唆を少しでも提供できればと思っています」大学院へ進学し研究したいと思ったきっかけは、信州大学附属図書館の職員として2019年に「信州大学創立70周年・旧制松本高等学校100周年記念事業」に携わったことでした。さまざまな文献資料をひもときながら歴史を掘り起こすことや、それが現在にどうつながっているのか、どんな未来につなげていけるのかを考えることの面白さに魅了されたそうです。森さんの目下の課題は、今年度提出する予定の修士論文。『校友会雑誌』全体の傾向の変遷だけでなく、自然科学論文や短歌に見られる傾向を深掘りしたり、時“共知・共創”をコンセプトにした信州・学び創造ラボで取材を行いました。旧制高等学校の校友会雑誌は、先行研究がほとんどなく、研究方法から始まって、データ抽出・分析作業まで試行錯誤の連続でしたね。そのような状況でも「根気強く」「楽しんでいる」姿に研究者としての資質を感じます。研究成果の一部を論文化できたのも素晴らしいことでした(『附属図書館研究』14号)。いよいよ修士論文作成の年です。お仕事とのバランス、体調管理にはくれぐれも気をつけてください。期待しています。夕食・自由時間帰宅研究夕食・自由時間研究研究睡眠朝食・支度通勤仕事自由時間睡眠朝食・支度・自由時間昼食・自由時間研究「図書館は、静かに黙って本を読む空間というイメージがありますよね。でも、県立長野図書館はちょっと違うんです」そう話すのは、県立長野図書館長を務め、信州大学大学院 総合人文社会科学研究科の大学院生でもある森いづみさんです。森さんは、前館長から図書館改革を引き継ぎ、推進しています。「県立長野図書館では、読書に加えて、交流、ものづくり、遊びといった体験の要素を取り入れながら、それぞれの“知りたい”を支える仕掛けづくりに取り組んでいます」と森さん。例えば“共知・共創”をコンセプトにしたスペースでは、近隣の文化ホールや大学、企業などと連携したイベントやワークショップを開催。3Dプリンターなどもあり、実際に活用できます。児童図書室には、子どもたちが遊びや体験を通して知的好奇心を深められるよう、マイクロスコープや双眼鏡、ボードゲームといった遊び道具も貸し出しています。「隣の公園で鳥や葉っぱ、どんぐりなどを見つけて、これは何だろう?と思ったら、図書館で調べる。そんな知の循環ができたら」と森さんは話します。そんな森さんは、信州大学大学院で信州大学の前身校の一つである旧制松本高等学校(旧制松校)の機関誌『校友会雑誌』の研究に取り組んでいます。『校友期は文芸作品が多いけれども、戦時体制下の検閲や言論統制が強まり、学校自治を守ろうとする動きの中で、文芸以外の活動も活発化したこと。さらに戦況が厳しくなると『報国団誌』となりプロパガンダ的な内容が増えて来ることが、実際の作品内容や編集方針から分かってきたそうです。代ごとに活躍した学生・教員の群像にも着目していきたいのだそう。「研究すればするほど様々なことが見えてきて、興味が尽きないんです」そう話す森さんの瞳はとても活き活きと楽しそうに輝いていました。仕事のある日は就寝前の2時間を研究に充てているそうです。図書館の休館日である月曜日や休日は研究に集中的に取り組んでいるそうです。授業は自宅にいながらオンラインで受けることが多かったです。仕事のある日月曜日・休日体験を通じて新しい図書館を『校友会雑誌』を通じて時代を見るか ら 一 言指 導 教、 と あ る 一 日生 のShinshu UniversityGraduate School深掘り!大学院生。04A Day in the Life
元のページ ../index.html#5