信大NOW151号
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信州大学学術研究院(工学系)森本 瑛士 助教向を282人(有効回答数225人)にアンケート調査しました。結果、若い人は学習スペースや銀行の利用意向が強く、高齢者は農産物直売所の利用意向が強いなど、世代間でのギャップが大きいことなどが分かりました。こうした調査結果を小諸市に伝えたところ、これからの計画づくりに役立てることも検討しているそうです。自治体ではワークショップなどを通じて、まちづくりで地域住民の声を聴く機会も設けていますが、参加者は高齢者がメインになって偏りが出てしまうことが多いといいます。武内さんの調査は様々な世代の利用意向を聞いてまとめているだけに、小諸市にとっては貴重な情報になっているようです。りたいと思った」と武内さんは振り返ります。さらに大学で小諸駅前広場の調査に携わったことで、まちづくりへの想いは違った観点から強まったそうです。駅前でアンケート調査を行っていると、地域の人から「大変でしょ、がんばってね」と差し入れをもらうこともあり、こうした人と人の温かな触れ合いや交流が生まれる拠点になる場づくりに関わりたいと思うようになりました。今年4月に大学院1年生としての研究生活を始めたばかりの武内さん。今後は小諸での研究で得たことを活かして駅を拠点にした地域づくりの可能性を深堀していきたいと考えています。ワークショップに参加して、地域の声に耳を傾け、賑わいづくりのヒントを探ります。武内さんの強みは行動力とコミュニケーション力だと思います。どんどんフィールドに出て行く。そのような研究ってコミュニケーション力がないと、なかなか難しいところもあるのですが、彼は自分から積極的にそういう研究に取り組みたいと言い、実際に小諸駅には何回も通って様々な人とコミュニケーションを取って、研究に反映しています。一方で、本人も自覚しているようですが、計画性と論理的思考力はこれからの伸びしろがあります。そもそも大学院はその辺りの力を育成するところですので、これから取り組んで身に付けていってもらえればと思います。地方都市で駅の改札をくぐると、がらんとして人通りが少なく、周辺市街地は活気がなくて寂しい―。多くの地方都市では、人口減少と高齢化、住宅や店舗の郊外への拡散により、かつて賑わいをみせた駅周辺の市街地の空洞化が地域課題となっています。一方で、鉄道は依然として自動車を持たない学生や高齢者などの交通手段として重要であり、駅とその周辺空間はそのような人たちが集まってくる場所として、地域の賑わいづくりのポテンシャルを持っていると言えます。その可能性に着目し、総合理工学研究科工学専攻修士課程1年生の武内裕哉さんは、「駅まち空間」を通じた地域づくりの研究を行っています。駅まち空間とは、駅とまち(市街地)をつなぐ空間のことで、例えば「駅前広場」があります。駅前の空間はその活用法として、タクシーやバスのロータリーとして使用されることが一般的ですが、それに加えて広場を設けて上手く利活用することで、人が集まり交流する場として賑わいを創出できる可能性があります。武内さんは小諸駅の駅前広場について調査し卒業論文にまとめました。小諸市は既存の駅前広場を含む駅まち空間の活性化を目指した社会実験に2023年から取り組んでいます。武内さんはこの実験にも関わりながら、小諸駅の利用者を対象に、駅前広場にあれば利用したい施設の利用意武内さんは高校生の時に地元の東京都町田市で行われた大規模再開発を目の当たりにし、まちづくりに興味を持ったそうです。これは町田市と東急株式会社が駅、商業施設、都市公園を再整備したもので、「どこにでもあるような住宅地と物寂しい商業施設しかなかったまちがダイナミックに変わり賑わいが生まれていく様を肌で感じ、こうしたことに自分も関わ都市計画研究室には全国各地のお土産があり、おやつに困ることはないそうです。研究室の大学院生はまちづくりに強い関心を持つだけあって、旅行好きが多いため。その情熱は人並み外れていて、どんなに忙しくても足が向かうといいます。武内さんも北海道旅行の際、移動中の電車内やホテルで学会の原稿作成に追われていたこともあるそう。また、旅行と関連して乗り物好きも多く、森本助教が「学会で○○に行くので、誰か行き方を教えて」と研究室の学生に尋ねると、周りから一斉に「電車なら私に任せてください!」「飛行機は私がやりますよ!」と声が飛んでくるのも、都市計画研究室あるあるだといいます。武内さんはトロンボーン奏者として、信州大学の吹奏楽団と交響楽団に所属しています。吹奏楽団では東海代表としてコンクールの全国大会に出場するほどの腕前。トロンボーンは父親の影響もあり、中学生の頃から練習していて、気が付いたら現在まで続いているそうです。その理由をお聞きすると、「やっぱり仲間と一緒に演奏することの楽しさや、演奏会でお客さんが楽しんでいる表情を見ることにやりがいを感じているのだと思います」と武内さん。自分の楽しみというよりも他の人のためというモチベーションは、大学院でのまちづくりの研究とも繋がっていると言えそうです。小諸駅前の再開発で「駅前広場」の利用意向を調査温かな交流が生まれる拠点づくりへ県外事例も含めて研究したい員か ら 一 言指 導 教研 究 と は 別 の 顔院 生 あ る あ るShinshu UniversityGraduate School深掘り!大学院生。10Common thingsAnother Face

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