理 学 科理 学 科研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来光遺伝学は農学から医療まであらゆる生命科学分野に応用できるバイオテクノロジーです。開発した手法や研究過程で得られた知見を有用生物創生に応用したり、立体臓器の人工作製へ応用したりするなどの未来を描いています。培養槽に浮かぶ多能性幹細胞の塊に四方八方からレーザーが照射され、徐々に臓器ができあがっていく、そんなシーンを想像してみてください。卒業後の未来像生物学だけでなく化学、物理学など様々な知識�スキルを身につけられます。分野や業種の垣根を取り払い、クリエイティブな発想で世間を驚かせるユニークなものを創出し、社会で活躍しているでしょう。用の進化プロセスを紐解き、昆虫の多様性進化を追求しています。クワガタムシの幼虫は、枯死した樹木を餌として利用しますが、樹木は栄養に乏しく、分解も難しいため、昆虫にとって利用しやすい餌ではありません。クワガタムシはキノコに代表される腐朽菌によって分解された樹木を食べます。また、幼虫は木材成分を分解可能な微生物を腸内にもっています。このことから、クワガタムシは腐朽菌や腸内微生物の助けを借りながら、樹木を食べていると予想されます。このようなクワガタムシをとり巻く生物間相互作用について、フィールドワークに基づく生態調査やDNAを用いた系統進化から紐解き、クワガタムシの種や生態が多様化してきたプロセスの解明を目指しています。上木 岳 特任助教信州大学大学院総合医理工学研究科博士課程修了。東京大学特任研究員を経て、2025年より現職を兼任。専門分野は分子系統地理学、進化生物学。小笠原 慎治 助教信 州 大 学 理 学 部 物 理 科 学科、同大工学系修士修了。理化学研究所、北海道大学勤務を経て 2019 年信大に帰ってきました。現在は生命現象を光操作する研究をしています。 地球上で最も種多様性の高い分類群である昆虫に着目し、植物や共生微生物との相互作系統進化学研究室 日本にとって馴染み深いクワガタムシですが、その進化や生態については未解明の点が数多く残されてます。このように私たちは身近なことをよく分かっているようで、未だに多くの謎が溢れています。その謎の一端を解明することは、論理的かつ多角的に物事を捉える力を養う上で重要です。何より、これまでと同じ景色の見え方が一変することは、人生をより豊かにすると思います。 研究テーマの発想力や研究の中で鍛えられる論理的思考は、いかなる分野・業種に進むにしろかけがえのない財産になります。これまで一緒に研究してきた学生は卒業後、大学院進学のほか企業や公務員など分野の垣根を超えて活躍しています。光遺伝学は神経活動や遺伝子発現、タンパク質の働きを光で操作し、従来の手法では調べることができない生命現象を解き明かしたり、生命科学へ応用したりする新しい研究分野です。小笠原研究室では、遺伝子組換え�ゲノム編集などの遺伝子工学(生物)、化合物を創出する有機合成(化学)、レーザーを用いた光学(物理)など様々な分野を融合し、新しい光遺伝学の手法、装置を開発しています。また、開発した手法で培養細胞やゼブラフィッシュの胚を使って、細胞分化や発生における遺伝子発現プログラムや神経細胞の可塑性(記憶)に関与するタンパク質の機能解明に取り組んでいます。分子光遺伝学研究室多種多様なクワガタムシを対象に研究を展開(左:アマミマルバネクワガタ、右:ヒメオオクワガタ)ラボワークだけでなく、雄大な自然の中でフィールドワークにも精力的に取り組む26(左)ゼブラフィッシュの胚にマイクロインジェクションしている様子。(右)ゼブラフィッシュの胚に紫色のレーザーを当てている様子。光操作により誕生した双頭ゼブラフィッシュの稚魚。受精卵から体ができる仕組みを解明する過程で生まれました。生物学コース生物学コース生物間相互作用から紐解く多様性進化光で生命を自在に操る
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