理学部研究紹介2025
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6 5 4 3 2 1 0-4-2 0 2 4 6 8 10自 然 情 報 学 コ ー ス自 然 情 報 学 コ ー ス研究から広がる未来我々人類の来し方行く末を思うとき、解決すべき問題はほぼ非線型だと思います。環境、気象や気候変動、財政や経済、渋滞、食料、エネルギー等々、問題は山積しています。これらの問題を少しでも解決するならば、未来に多少の光明を見出せるかも知れません。かつて恐竜は2億年もの間この地球を支配し繁栄しました。我々人類の2億年後は如何?卒業後の未来像教員、公務員、金融関係など、主要なところに就職が決まっています。修士まで終わった人の中には、自動車関係、航空宇宙関係などといった、数学の専門知識を生かせる分野に進んだ人もいます。研究から広がる未来自然現象や社会現象などの各種現象から本質的部分を数学的に取り出し、純粋数学的に解析した後でもとの現象と比較�考察を行う方法を数理モデルと呼びますが、その手法によって現象の最も本質の部分を明確に理解できるようになります。卒業後の未来像学生は主に統計学やファイナンス理論を学びます。これらは現代のデータ分析や意思決定において必須となる基礎理論です。そのため領域を問わず現代社会の土台の一端を担うことになります。 中山 一昭 准教授東京大学大学院理学系研究科 (博士(理学))主な研究分野 : 非線型可積分系、非線型散逸系、流体系、エージェント系乙部 厳己 准教授東京大学教養学部卒�東京大学大学院数理科学研究科修 了。 博 士( 数 理 科 学 )。専門は確率解析、数理物理学等。津波のモデルとしての KdV ソリトン。エ ー ジ ェ ン ト と 多 腕 ス ロ ッ ト マ シ ー ン(Nakayamaet. al.,Scientifi c Reports, 7:1937, 2017)最も基本的な確率偏微分方程式である確率熱方程式とある時刻でのその解の様子(空間方向)実数上の微分を無限次元空間で部分積分するという驚異のアイディアによって解析学�幾何学の超難問へ革命的な突破口が開かれた。ここに確率解析学が誕生した。 少し一般的に書くと、やっていることは非線型力学系。つまり線型でない力学系ということで、線型のときにはなかった面白いことが沢山生じます。例えば流体。ここでは渦という構造が目を引きます。有名な鳴門の渦潮はカルマン渦というもので記述されますし、竜巻のような細長い渦は非線型可積分系と解釈出来ます。また波動も流体の重要な構造の一つで、甚大な被害をもたらす津波は非線型可積分系としての側面を持ちます。或いは別の例として学習の問題。集合知は人類の文明を急速に発展させましたが、その集合知の形成されるメカニズムをエージェント系における非線型力学系と見て調べると、色々と興味深い側面が見えてきます。中山 一昭 研究室(常)微分方程式に雑音項が伴う確率微分方程式は微粒子の運動を記述し、偏微分方程式はその総体として巨視的観点での運動を記述します。その中間域は雑音項による乱雑さと偏微分方程式に由来する平滑さとがせめぎあい、複雑な、しかし極めて豊かな構造を持っています。その基礎理論と応用の両面を統合的に取り扱います。また無限次元空間上に定義された関数に対して解析学を展開します。一方で学生及び院生の研究としては、数理統計学や数理ファイナンスの諸理論も研究対象としています。乙部 厳己 研究室非線型に潜む美確率偏微分方程式と確率解析数 学 科数 学 科

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