シナプス形成因子ニューレキシンの遺伝子をマウスの小脳で働かなくすると(TKO)、小脳の形成不全が起きて小脳が小さくなるマウスの神経細胞に遺伝子を導入している様子転移前の肺における透過性亢進部位の形成後に癌はこの部位に転移するヒトの肺でもこのメカニズムが存在する可能性がある担癌マウスの肺における血管透過性亢進部位が‶転移前の土壌"である。【写真またはイラスト(図)】・サイズ:横幅3.3㎝程度・レイアウトは自由・上下2つエリアに分ける 4蛍光を発する遺伝子が導入されたマウス大脳皮質の神経細胞私たちは、がんの治癒を目指し、哺乳類(マウス-ヒト)のがんの発生、増殖、転移に焦点を当てて研究をしています。現在までに、がんが転移する前、離れた他の臓器の局所に“転移予定地”を形成すること、それを抑える抗転移細胞が存在することを、マウスを用いた研究で明らかにしてきました。その中で細胞外核酸が抗転移細胞を活性化するという新たな概念を見出しました。しかしながらその詳細な仕組みや、それが“人”においても存在するのかは明らかになっていません。これらのことを追求するため、さらに研究を進めています。がん転移の予測や予防的な治療法の確立につながることが期待され、大変やりがいのある研究です。私たちの研究室では、脳の神経と神経の繋ぎめであるシナプスの形成や機能を司る遺伝子についての研究をしています。シナプスは、近年精神疾患の原因となる部位と考えられるようになってきています。シナプスで働く遺伝子を改変したマウスを作って、マウスの脳機能を調べることで、それらの遺伝子がどのような働きをしているのか、さらには精神疾患がどのようにして引き起こされるのかを解明します。このような研究によって、精神疾患の新しい治療法が開発されることに繋がります。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像(教授・菅野祐幸)主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像・ 遺 伝 子 改 変 精 神 疾 患 モ デ ル マ ウ ス の シ ナ プ ス 機 能 の 解 析・ シ ナ プ ス 形 成 因 子 が シ ナ プ ス の 機 能 を 司 る メ カ ニ ズ ム の 解 明・ 神 経 細 胞 で の ゲ ノ ム 編 集 技 術 の 開 発・ 精 神 疾 患 の 原 因 が 解 明 さ れ る 可 能 性 が あ り ま す 。・ シ ナ プ ス を 標 的 と し た 精 神 疾 患 の 新 し い 薬 の 開 発 に つ な が り ま す 。・ 精 神 疾 患 の 遺 伝 子 治 療 が で き る よ う に な る か も し れ ま せ ん 。・ 医 学 研 究 者 に な る こ と を 目 指 し ま す 。・ 海 外 に 留 学 し て 世 界 の 研 究 者 と 同 じ 土 俵 で 仕 事 を し ま す 。・ 大 学 の 教 員 に な り ま す 。・ 正 常 細 胞 が が ん 化 す る 仕 組 み の 解 析・ が ん が 転 移 す る 仕 組 み の 解 析・ が ん 転 移 を 抑 制 す る 抗 転 移 細 胞 の 解 析がんの転移の予防や治療を考えたとき、現在では体に負担のかかる抗がん剤治療が一般的です。私たちがマウスで発見した抗転移細胞は自身が元々持っている細胞であり、転移するがん細胞をたたくなどして転移を防ぎます。これが、ヒトでも確認され、さらに活性のある状態で安定供給できるようになると、がんの治療に大きな革命をもたらします。がんの研究を通し、医 療 を は じ め と し た 様 々 な 知 見 を 深 め 、 治 療 、 教 育 、 行 政 や研 究 と い っ た 多 種 多 様 な 分 野 で の 活 躍 が 望 め ま す 。 分子細胞生理学分子細胞生理学教授 田渕 克彦(チーフ:教授・田渕克彦)分子医化学(バイオメディカル研究所)教授 平塚 佐千枝病理組織学転移するがんを狙い撃つシナプスで働く遺伝子を研究し、精神疾患の原因解明、治療法の開発を目指します 2024-2025 医学科研 究 紹 介
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