医学科研究紹介2025-2026
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3ヒト足関節の靭帯(マッソントリクローム染色)(上)ラット舌下神経核(ニッスル染色)(左下)拡大(右下)トレーサーで標識された舌下神経核運動ニューロンLOX-1は動脈硬化性疾患の各段階を進展させる ヒト頭蓋骨の縫合(左)HE染色(右)マッソントリクローム染色 人体構造学教室は、医学教育の中で「神経解剖学・肉眼解剖学」を担当している教室です。解剖学は、人体の構造や機能について研究する学問ですが、まだまだ解明されていないことが数多くあります。組織化学的な研究では、動物実験によって、中枢神経(脳・脊髄)や末梢神経(脳神経・脊髄神経)の構造や機能の解明を目指しています。肉眼解剖学的な研究では、解剖体を用いた研究によって、関節等の構造や機能の解明を目指しています。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像血管内皮細胞を中心とした血管機能の調節メカニズムを解析することにより、循環器系の生理的、病態生理的な機能調節とその破綻のメカニズムを明らかにすることを目指しています。それを解決するきっかけとして、超悪玉コレステロール酸化LDLの受容体LOX-1を見つけました。この研究を広げ、加齢に伴う生体制御機構破綻のメカニズムとその本来の役割を明らかにし、さらには、その知見を応用した、新しい診断、予防、治療手段の開発までたどり着くのが目標です。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像 基礎研究は、それ自体が一種の目的であり、自然の仕組みを明らかにすることそのものに意義があります。しかし、それだけでなく、実際に世の中の役に立つことも同じくらい重要です。幸いにも私達の研究は、動 脈 硬 化 に 関 連 し た 病 気 の 診 断 や 治 療 に 、 実 際に 役 に 立 て る 可 能 性 が 出 て き ま し た 。 つ ま り 、 血 管 の ア ン チ エ イ ジ ン グか ら 、 健 康 長 寿 に 近 づ く こ と を 実 現 し つ つ あ り ま す 。研究に参加しその経験を生かすことによって、新たな医学知識を生み出します。そして、その知識を新しい治療薬や診断薬のような形のあるものにして、実際に医療の中で使われるようにし、医療の世界を変えていくことに貢献できるようになります。・ 神 経 機 能 と ニ ュ ー ロ ン 数 の 相 関・ 神 経 の 機 能 維 持 と 機 能 回 復・ ス テ レ オ ロ ジ ー に よ る ニ ュ ー ロ ン 数 の 定 量 解 析・ 関 節 靭 帯 の 構 造 と 機 能 制 御・ 頭 蓋 骨 の 縫 合病 気 や 怪 我 に よ っ て 様 々 な 身 体 機 能 が 障 害 さ れ ま す 。 ま た 、 加 齢に よ る 機 能 障 害 も あ り ま す 。 基 礎 的 な 研 究 を 積 み 重 ね 、 体 の 構 造や 機 能 を 解 明 す る こ と が 、 診 断 や 治 療 の 進 歩 に つ な が り ま す 。当 教 室 で は 、 そ れ ぞ れ の 研 究 対 象 に つ い て マ ク ロ か ら ミ ク ロ ま で研 究 を 展 開 し て い ま す 。 研 究 を 通 し て 幅 広 い 知 識 と 問 題 解 決 能 力が 身 に 付 き 、 様 々 な 分 野 で 活 躍 で き ま す 。・ L O X - 1 遺 伝 子 フ ァ ミ リ ー の 生 物 学 的 意 義 の 解 明・ L O X - 1 ブ ロ ッ カ ー の 探 索 と そ の 治 療 へ の 応 用・ L O X - 1 を 用 い た 診 断 技 術 の 開 発 、 臨 床 応 用・ 老 化 と 加 齢 性 疾 患 の 病 態 メ カ ニ ズ ム の 解 明人体構造学教授 福島 菜奈恵分子病態学教授 沢村 達也信州大学医学部医学科発行年月:2024年7月 発行:信州大学医学部動脈硬化性疾患の予知と予防に向けてマクロからミクロまで構造と機能を解明する解剖学的な研究“ヒトは血管と共に老いる”

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