1CRISPR/Cas9ゲノム編□因子細胞、臓器、個体対象デリバリーシステム単一遺伝子の機能解析から遺伝子群の機能解析へ●外部Cas9不要●□率なゲノム編□能●Off-Target、モザイクが少ない●ゲノム編□マウスの出産仔数が□い●多遺伝子同時編□が可能●成体でのゲノム編□当研究室では糖鎖と胃癌の関係について常に活発に議論を行っている。病理標本の議論にはディスカッション顕微鏡を用いる。ヒト胃癌細胞株正常マウス(左)と、肥満モデルマウス(ob/obマウス)(右)肝臓正常マウスと、血管特異的RAMP2ノックアウトマウスの肝臓と腎臓母性Cas9ゲノム編集法と次世代ヒト疾患モデルプラットフォームαGlcNAcを欠損したマウス 腎臓 正常マウスノックアウトマウス正常マウスノックアウトマウス糖鎖は核酸、蛋白質に次ぐ第三の生命鎖とも呼ばれ、発生や免疫、がんなどの生命現象と密接に係わっています。当研究室では様々な病気の原因に糖鎖の関与を探るため、形態学・分子生物学・生化学・発生工学などの研究手法を駆使して研究を行っています。最近では、胃粘液に含まれている特殊な糖鎖であるαGlcNAcが胃がんの発症を予防していることを明らかにしました。現在はαGlcNAcと胃癌、さらに胃癌の原因菌であるピロリ菌との関係を中心に研究を行っています。そして最終的にはαGlcNAcがなぜ胃癌の発生を抑えているのか、その理由を明らかにすると共に、得られた研究成果を基に胃癌に対する新たな治療法・予防法の開発へと展開させたいと考えています。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像信州大学では唯一、遺伝子改変マウスを作成する技術を有する教室です。ゲノム編集 (クリスパー法)の新技術開発なども行っています。特に母性Cas9を利用したゲノム編集法を考案し、多数の遺伝子の同時改変による次世代ヒト疾患モデルの開発に取り組んでいます。癌、動脈硬化、心不全、糖尿病、腎不全、脳梗塞、肝硬変、肺線維症などの疾患を対象に、疾患と関連する遺伝子の研究から、創薬をめざしています。生体内の恒常性維持機構と、疾患発症のメカニズムを研究し、その成果の応用のため、現在までに創薬に関する複数の国際特許を取得しています。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像意 義 の 解 明・ α G l c N A c に よ る 胃 癌 発 生 の 制 御 機 構・ ピ ロ リ 菌 並 び に そ の 類 縁 菌 に 関 す る 研 究・ 腫 瘍 に お け る 糖 鎖 並 び に 糖 鎖 関 連 分 子 の 発 現 解 析 と そ の 臨 床 病 理 学 的α G l c N A c に よ る 胃 癌 の 制 御 機 構 を 解 明 す る こ と で 、 新 た な 分 子 標 的 薬 の開 発 に 繋 が る 可 能 性 が あ り ま す 。 ま た 、 ピ ロ リ 菌 に 対 す る 新 し い 抗 菌 薬 を開 発 す る こ と で 、 現 在 問 題 と な っ て い る 耐 性 菌 の 克 服 に 繋 が り ま す 。病 理 組 織 像 の 解 析 並 び に 糖 鎖 や 分 子 生 物 学 に 秀 で た 医 学 研 究 者・ 疾 患 モ デ ル 動 物 や 培 養 細 胞 を 用 い た 病 態 解 明 、 新 規 治 療 法 開 発・ 循 環 作 動 性 ペ プ チ ド の 血 管 発 生 、 血 管 新 生 、 癌 転 移 に お け る 役 割・ ク リ ス パ ー 法 に よ る 新 規 遺 伝 子 改 変 マ ウ ス の 樹 立 、 解 析・ 心 臓 、 血 管 、 肝 臓 の 再 生 医 療 研 究現 代 の 医 学 を も っ て し て も 治 せ な い 病 気 が あ り ま す 。 医 学 研 究 者 の 使 命 は 、そ の 原 因 を 探 り 出 し 、 新 し い 治 療 、 診 断 法 に つ な げ る こ と で す 。 新 規 の 遺 伝子 改 変 マ ウ ス を 、 自 分 た ち の 手 で 、 し か も 世 界 最 速 で 作 る こ と で 、 今 ま で 不明 だ っ た 遺 伝 子 の 働 き を 世 界 で 初 め て 発 見 す る こ と も 可 能 で す 。 新 し い 生 命現 象 を 、 自 ら の 手 で 見 つ け る こ と は 、 大 き な 感 動 や 興 奮 を も た ら し て く れ ま す 。当 教 室 で は 、 学 生 が 積 極 的 に 学 会 発 表 を 行 い 、 こ れ ま で に 多 数 の 学 会 賞 を受 賞 し 、 奨 学 金 を 得 る な ど の 活 躍 し て い ま す 。 医 学 研 究 に お け る グ ロ ー バ ルな ス キ ル を 身 に つ け る こ と で 、 卒 業 後 は 、 大 学 や 企 業 の 研 究 職 に 就 き 、 リ ーダ ー シ ッ プ を 発 揮 し て い ま す 。 ( 教 室 H P を 参 照 下 さ い 。 ) 分子病理学循環病態学教授 新藤 隆行信州大学医学部医学科発行年月:2024年7月 発行:信州大学医学部病気のメカニズム解明と治療法の開発オリジナルの遺伝子改変マウス作成から解析まで糖鎖研究から胃癌の原因を探る
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