多くの生体監視機器を用いて行う心臓血管外科麻酔生殖・内分泌班形態良好精子を検索中麻酔蘇生学教室メンバー 電気生理学的手法を用いた痛みのメカニズムの研究“患者さんが眠っている間に手術が終わり、目が覚めた時は痛みもなく元気でいる”これを実現させるのが、手術室での麻酔科医の仕事です。そのためには、痛み・意識などの神経系、呼吸や心臓などの全身循環、感染やストレスに対する免疫反応、絶食中の水分・栄養管理など、統合されたシステムとしての生体の理解と制御が必要です。当教室では、痛みのメカニズムの解明、新規鎮痛薬・鎮痛法の開発、手術中の新たなモニタリング(生体機能評価)、術後痛/術後合併症の予防、免疫応答のメカニズムと神経性調節などの臨床研究・基礎研究に取り組んでいます。本邦では晩婚化、晩産化などにより、不妊因子を抱える夫婦が増えており、体外受精、顕微授精、胚移植などの生殖補助医療の発展および普及は挙児を希望する夫婦にとって、光明をもたらしています。特に、近年は男性の精子数減少が報告され、顕微授精の必要性が増しています。顕微授精の受精率上昇や染色体異常発生率低下には良好な精子の選別が必要ですが、これは医師や胚培養士の経験に基づいて行われており、明確な選別基準が存在しません。そこで、私達は精子頭部の形態を数学的に解析することにより、良好な精子を判別できる可能性を示してきました。また、AYA(Adolescent and Young Adult)世代がんにおける妊孕能温存は重要な課題であり、卵巣癌において、がん治療と妊孕性温存を両立するために摘出後卵巣からの採卵、未熟卵培養の技術を発展させ、妊娠・生児を得ることに成功しました。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像・ 精 子 頭 部 形 態 に よ る 良 好 な 精 子 選 別 法 の 確 立 を 目 指 し た 研 究・ A Y A 世 代 が ん に お け る 妊 孕 能 温 存 法 の 改 良・ 摘 出 卵 巣 か ら 採 取 し た 未 熟 卵 培 養精 子 頭 部 形 態 と 精 子 の 性 状 の 関 係 が は っ き り す れ ば 、 良 好 な 精 子 を 機 械 計 測 で 自動 選 別 す る こ と が 可 能 に な り 、 精 子 選 別 精 度 の 向 上 と 均 て ん 化 、 お よ び そ れ に よ る 染色 体 異 常 率 の 低 下 が 図 れ ま す 。 A Y A 世 代 が ん で の 配 偶 子 温 存 技 術 の 向 上 か ら 妊 孕能 温 存 に 希 望 を 残 す こ と は 、 が ん 治 療 に 向 か う 意 欲 を 高 め る こ と に も 繋 が り ま す 。大 学 病 院 で 医 師 と し て 研 鑽 し な が ら 研 究 を 続 け る こ と が で き ま す 。ま た 、 海 外 留 学 や 国 内 の 他 の 研 究 機 関 ・ 医 療 機 関 へ の 留 学 も 含 め 積 極 的 に 支 援 し ま す 。1 . 新 た な 神 経 モ ニ タ リ ン グ 法 の 開 発2 . 痛 み の メ カ ニ ズ ム の 研 究 と 新 規 鎮 痛 薬 の 開 発3 . 鎮 痛 薬 の 作 用 機 序 ・ 副 作 用 機 序 の 解 明4 . 生 体 侵 襲 に 対 す る 免 疫 反 応 と 制 御5 . 手 術 に 伴 う 合 併 症 の 早 期 発 見 と 治 療 を 実 現 す る 周 術 期 管 理 チ ー ム6 . 生 体 監 視 機 器 ( モ ニ タ リ ン グ ) と 手 術 中 の 全 身 管 理 に 関 す る 研 究当 教 室 の 研 究 か ら 得 ら れ た 知 見 は 、 痛 み の 軽 減 や 全 身 状 態 の 改 善 に 直結 す る た め 、 患 者 さ ん の ア ウ ト カ ム に 強 く 寄 与 で き ま す 。 特 に 痛 み の 基 礎研 究 で は 、 痛 み の メ カ ニ ズ ム の 解 明 を 通 し て 、 意 識 の 変 化 や 運 動 麻 痺 な どの 副 作 用 が な い 新 し い 鎮 痛 薬 を 開 発 し よ う と し て い ま す 。さ ら な る 研 究 の た め に 、 国 内 や 海 外 へ の 留 学 や 研 修 を 行 う こ と が で き ま す 。ま た 、 麻 酔 蘇 生 学 教 室 の 教 室 員 、 教 員 と し て 、 診 療 や 研 究 を 継 続 す る こ と もで き ま す 。 30生殖・内分泌 班チーフ:助教 樋口 正太郎産科婦人科学麻酔蘇生学麻酔蘇生学教室「いま」 と 「未来」 の妊娠をサポートする麻酔科学:苦痛を除いて命を守る 2024-2025 医学科研 究 紹 介
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