唾液検査装置(写真上)細胞培□(写真下)図1 A: □□クリッピング図3:フローダイバーターA: 大型の動脈瘤(点線の円) B: フローダイバーター(□矢印)を留置C: コイルが無くても瘤の縮小・消失が期待できるインプラント埋入シミュレーション B: カテーテルコイル塞栓図2 従来型のコイル □発中のWavyコイル安全で安心な歯科治療・口腔外科治療の実践脳動脈瘤クリップコイル約30年前にMRIが臨床使用される前は、脳動脈瘤は破裂してから、つまりくも膜下出血になってから治療を行っていました。しかし昨今のMRIの画像解像度の向上により、脳ドックなどで脳動脈瘤は破裂する前に発見されるようになりました。くも膜下出血は死亡率が高く、救命できても重篤な後遺症が残ることがあり、現在では、脳動脈瘤が破裂する前に、安全で根治的な治療が可能となってきました。脳動脈瘤治療には、頭を手術で切る開頭クリッピング術(図1-A)と、頭を切らないカテーテルコイル塞栓術(図1-B)があります。脳血管内治療センターでは、カテーテル治療をより安全に行うための“新しいコイルの開発”と“コイルさえも使わない脳動脈瘤治療”を行っています。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像口腔が司る機能はどれくらいあるでしょうか?口腔は消化管の入り口であり、とても狭い領域ですが、たくさんの機能を有しています。口腔には虫歯や歯周病に加えて口腔がんも発症し、口腔の機能が損なわれ生活の質が低下することもあります。口腔機能の低下は全身の健康にも影響を及ぼします。また、高齢化社会の進行により、多くの病気をもった患者さんが増加しており、このような高齢者の方が安心して歯科治療を受けられるような環境を確立することも必要とされてきています。当教室では、口腔機能の維持・改善、健康余命の延長を目的とした研究を行っています。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像・新しいコイルの開発・コイルを使わない脳動脈瘤治療・ 口 腔 と 全 身 と の 関 わ り に 関 す る 研 究・ 口 腔 機 能 の 維 持 ・ 改 善 を 目 的 と し た 再 生 医 療 の 開 発・ 医 科 疾 患 の 治 療 を 支 え る 歯 科 ・ 口 腔 外 科 治 療 シ ス テ ム 、 医 療 材 料及 び 医 療 機 器 の 確 立 ・ 開 発・ 口 腔 が ん に お け る 機 能 温 存 ・ 健 康 余 命 延 長 を 目 指 し た 治 療 法 の 開 発口 腔 は 咀 嚼 、 嚥 下 、 発 音 な ど の 多 彩 な 機 能 を 司 る 器 官 で す 。 最 近 で は口 腔 機 能 と 全 身 の 病 気 と の 関 連 が 明 ら か に さ れ て お り 、 口 腔 機 能 の 維 持を 図 る こ と の 重 要 性 が 認 識 さ れ て い ま す 。 口 腔 機 能 の 維 持 ・ 改 善 に よ り 、健 康 余 命 の 延 伸 が 図 ら れ 、 生 活 の 質 の 向 上 を 目 指 し ま す !従来の脳動脈瘤塞栓用コイルは径が同じ円管状をしていますが、当センターではコイルに大小二つの径があるコイル(通称Wavyコイル)を研究開発しています(図2)。このコイルには今までない特性があり、脳動脈瘤治療の安全性及び根治性向上が期待できます。また、コイルを使わない新しい脳動脈瘤治療(フローダイバーター治療)が世界で始まっています(図3)。フローダイバーターは治療困難な大型の動脈瘤に高い効果があるので、当センターでも多くの患者さんにより良い治療を提供できると期待しています。 日本人は器用で、日本のカテーテル治療は既に高水準ですが、世界のカテーテル治療は日進月歩です。卒業後は、ぜひ皆さんも脳血管内治療分野で活躍して、より安全で根治的な治療を一歩でも前に進め、世界に発信していきましょう。機器開発においても、日本の高い技術力が後押ししてくれるはずです。歯科治療はもちろん口腔外科治療、摂食嚥下リハビリテーションを含めた口腔のスペシャリストとして、地域医療に貢献するとともに、世界に情報を発信できるリサーチマインドをもった歯科医師を養成することを目指しています。26脳血管内治療 班チーフ:助教 中村 卓也脳神経外科学歯科口腔外科学(特殊歯科・口腔外科)教授 栗田 浩健康に貢献する歯科・口腔外科医療の推進と発信!頭を切らない新しい脳動脈瘤の治療 2024-2025 医学科研 究 紹 介
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