医学科研究紹介2025-2026
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CAR-T細胞療法の開発過程シリアスゲーム「はじめてのNICU」普段の実験室の様子。大学院生も活発に実験を行っています。クリーンベンチなどの実験機器も豊富に揃っています。がん細胞のみで増殖するウイルスを投与All for children 上:ホクロ、下:悪性黒色腫違いがわかりますか? CAR(Chimeric Antigen Receptor)-T細胞療法と呼ばれる、がん患者のT細胞の抗腫瘍効果を強化させる遺伝子治療の基礎研究、橋渡し研究、臨床開発をしています。当教室で創出されたCAR-T細胞について3件の医師主導治験が実施されています。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像当研究室では、主に“ほくろの癌”である悪性黒色腫の診断方法・病勢の評価方法・新たな治療法について研究しています。悪性黒色腫は、進行してしまうと治療が難しいため、早期の診断と治療が非常に重要です。しかし、ほくろと区別するのが難しいため、早期の診断が難しい場合が多く、早期診断の手助けになる画像を用いた新しい方法や検査をしにくい爪の病変をより簡便に調べる方法などを研究しています。悪性黒色腫に対して免疫checkpoint阻害薬や分子標的薬という新しい薬剤が、他の癌に先駆けて使用することが可能になり、とてもホットな研究対象になっています。免疫checkpoint阻害薬の治療効果を予測する因子(T細胞受容体レパートリーなど)の解析を行っています。また、東京大学医科学研究所と共同でがん細胞のみで増殖して破壊するウイルス療法の医師主導治験を行っています。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像・ C A R - T に よ る が ん 免 疫 療 法 の 開 発 、 臨 床 応 用・ が ん 指 向 性 リ ポ ソ ー ム を 用 い た 新 規 遺 伝 子 治 療 法 の 開 発・ E B ウ イ ル ス 関 連 血 球 貪 食 性 リ ン パ 組 織 球 症 に 対 す る 新 規 検 査 法 ・ 治療 法 の 開 発・ 造 血 幹 細 胞 移 植 患 者 に お け る カ プ セ ル 内 視 鏡 、 腎 機 能 評 価・ 炎 症 性 □ 疾 患 お よ び 機 能 性 消 化 管 疾 患 の 病 態 解 析・ シ リ ア ス ゲ ー ム に よ る 多 職 種 連 携 の 推 進基 礎 的 な 研 究 を 通 し て 、 病 態 解 明 や 治 療 法 の 応 用 に よ り 根 治 的 に な りう る 治 療 法 の 開 発 や こ ど も の 長 い 将 来 を 見 据 え た よ り 安 全 性 の 高 い 治 療へ の 礎 と な る 研 究 を 行 っ て お り ま す 。 ま た 小 児 医 療 の 発 展 に 貢 献 で き るエ ビ デ ン ス を 蓄 積 し 発 信 す る 目 的 で 、 多 く の 臨 床 研 究 も 各 専 門 グ ル ープ で 行 っ て お り ま す 。 明 日 に つ な が る 研 究 に 全 力 に 取 り 組 ん で い ま す 。教 室 で は 常 に 疾 患 の 本 質 、 病 態 を 考 え な が ら 研 究 し て お り 、 教 科 書 的な 理 解 か ら 本 質 を と ら え た 真 の 理 解 す る 力 が つ き ま す 。 考 え る 力 を つ ける こ と で そ の 先 の 臨 床 医 や 研 究 者 と し て 大 き な 飛 躍 が 期 待 で き ま す 。・ リ キ ッ ド バ イ オ プ シ ー を 用 い た 悪 性 黒 色 腫 患 者 の 病 勢 評 価 法 の 確 立・ 免 疫 c h e c k p o i n t 阻 害 薬 の 効 果 予 測 因 子 の 探 索・ R G B 値 を 用 い た 悪 性 黒 色 腫 の 画 像 診 断 法 の 構 築・ 爪 甲 内 メ ラ ニ ン 測 定 に よ る 非 侵 襲 的 診 断 法 の 確 立悪 性 黒 色 腫 は 、 最 新 の 免 疫 c h e c k p o i n t 阻 害 薬 で も 有 効 率 が 2 0 - 3 0 % 程度 で 、 薬 物 治 療 が 難 し い 癌 で す 。 当 研 究 室 で 得 ら れ た 知 見 が 新 し い 早 期 診断 の 方 法 や 新 し い 治 療 法 の 基 礎 を 確 立 す る こ と に よ っ て 、 将 来 的 に 難 治 性の 悪 性 黒 色 腫 の 治 療 に 貢 献 で き る と 考 え て い ま す 。当 研 究 室 に 留 ま り 研 究 を 継 続 す る こ と は も ち ろ ん 、 海 外 ・ 国 内 の 研 究 施 設に 留 学 す る こ と も で き ま す 。 研 究 内 容 が 臨 床 に 近 い た め 、 研 究 で 得 ら れ た知 識 が 診 療 に 役 立 つ 場 面 も 多 く あ り ま す 。 皮 膚 科 は 、 女 性 医 師 も 多 く 、 診療 ・ 研 究 ・ 家 庭 を 両 立 し 、 活 躍 し て い る 卒 業 生 も 多 く い ま す 。15 小児医学教授 中沢 洋三皮膚科学教授 奥山 隆平次世代の悪性黒色腫治療を目指して!こどもたちの明日につながる研究

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