置する。また、小学校低学年に領域「かがく」を設置し、緩やかに小中学校の接続を図るため、小学校高学年に新教科「技術」を設置する。これらの教科設置により、小中における教科を一致させ、理数・技術教育と外国語教育の系統的な学習を実現する。 □ 中学校における、教科等の横断的な学習の充実 『学びの総合化』を、中学校で【教科等の総合化】、即ち、実生活(心的世界や客観的知識の世界を含む)における課題について、各教科等の学習で先鋭化された資質・能力を地球市民として実生活で有効に機能させることを実現するために、教科等の横断的な学習を充実させ、関連する諸教科の知識・技能、思考力・判断力・表現力等を柔軟に活用しようとする意欲・態度を培い、生徒が実生活に見出した課題を課題探究として解決できるようにする。 ◆ ICT 活用による、理数・技術教育、外国語教育の互恵的な充実 課題探究力、自己表現力、社会参画力を軸として資質・能力を実生活で有機的に活用する力を育成するために、理数・技術教育及び外国語教育の充実と互恵的な関係の構築を図る。 例えば、理数・技術教育については、小学校低学年に理科と数学の融合教科「かがく」を設置するとともに、高学年に「算数」と「理科」に加え、科学技術の教科「技術科」を設置し、数学・理科・技術科について専門性の高い幼小中教員が校種を超えて協働する。 外国語教育については、外国語について専門性の高い幼小中教員が校種を越えて協働し、幼稚園から外国語による遊びを導入する。また、小学校低学年に国語と外国語活動の融合教科「ことば」を設置し、国語と連携した言語能力向上を図る活動と、英語によるコミュニケーション能力の基礎作りを図る活動とを段階的に教育課程に位置付ける。その上で、小学校高学年に教科「英語科」を設置し、実用的アプローチからコミュニケーション能力を高める活動を段階的に教育課程に位置付け、中学校との接続を円滑にする。 さらに、ICT を社会参画力育成の重要な手段として、地域をより深く知るとともに国外との交流を活性化し、気候温暖化や難民問題など国際的に重要な課題について海外の学校と共同授業を実施するなど、グローバルな視点から理数・技術教育と外国語教育による学びを実生活に活用する活動を教育課程に位置付ける。 理数・技術教育、外国語教育の互恵的な充実により、21 世紀型能力(基礎力/思考力/実践力)としての資質・能力を高めるとともに、グローバルな視点から実生活に学びを活用できる人材を育成することが可能になると期待できる。 ②期待される具体的な成果 ◆ 幼小中一貫教育を実現する包括的な教育課程及び指導・評価の提案と普及 従来の研究開発校では、幼小中を貫く単元の設置などにより幼小中連携教育の実例が提案されてきた。これに対し、本研究では、幼小中一貫教育により『学びの総合化』を実現するために、幼小接続のための「遊びの視点」、小学校における【領域の教科化】のための【遊びの領域化】、小中接続のための教科「英語科」「技術科」を設置するものであり、教科の再編・統合による包括的な教育課程を提案するものである。 そのため、就学前教育と義務教育の接続、小中一貫教育による義務教育の充実を推進する上で、本研究による包括的な教育課程及び指導・評価は、高い資質・能力を有するグローバルな人材育成の価値ある実例として今後の取組に活かされることが期待できる。 ◆ ミッションの再定義に基づく附属学校園の機能強化の実現 信州大学では、ミッションの再定義に基づく教育研究の高度化・機能強化として、特に教員養成の機能強化について、附属学校の中に教育研究拠点を設け、学部・大学院の教育に附属学校園の授業や環境をこれまで以上に活用する/教職大学院において附属学校教員を対象とした教職大学院高度専門職養成プログラムを構築すると宣言している。 幼小中一貫教育の教育課程/指導・評価が実現されることにより、附属幼稚園・小学校・中学校が、学校拠点方式による教職大学院の教育研究拠点として機能し、先端的な授業・評価の実践が展開されるようになるとともに、その成果として教員の授業観・教育観の変革がもたらされる。こうして、附属幼稚園・小学校・中学校が教職大学院高度専門職養成プログラムに実効性のあるフィールドとなることが期待される。
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