令和5年度研究開発実施報告書
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20 学校名 信州大学教育学部附属松本中学校 外2校(園) 1 研究開発課題 本研究開発の目的は、持続可能な開発のための教育として、「たくましく心豊かな地球市民」を育むために、自己表現力・課題探究力・社会参画力を軸として、様々な資質・能力を有機的・総合的に育む、幼小中一貫教育の教育課程の効果的な実践の要件抽出と評価の開発である。 信州大学教育学部附属幼稚園・松本小学校・松本中学校(以下、本学校園)では、これまでに教科や総合的な学習の時間等に関する数多くの実践研究を積み上げてきたが、それらが各学校園における取組の実現にとどまり、幼小中を貫く系統的な展開がなされていない傾向が見られた。 そこで私たちは、研究開発を通じて、教師の指導観や、それに基づく実践を精査し、学びの主体者である子供の 12 年間の豊かで確かな学びを支えようとしてきた。4年間の指定期間の中では、幼稚園・小学校・中学校を通じて「たくましく心豊かな地球市民」を育成するために、まず小中の全教員が幼稚園の保育を参観し、その際に見られた、「自己表現している姿」「課題探究している姿」「社会参画している姿」に『3つのよさ』を見出した。そして、『3つのよさ』を共通の視点として子供の姿を捉える中で見えてきた発達段階や学び方の特長に応じて【遊び】【遊びの領域化】【領域の教科化】【教科等の総合化】とした 12 年間の『学びの総合化』の教育課程を編成した。 本学校園の職員は、「『子供から』に徹した探究的な学びが子供の資質・能力を耕すことに通じる」という手応えを確かにしつつある。知識先行型の授業づくりから脱し、構成主義的な学びを促す枠組みについての認識が深まっている。 3年間の延長期間においては、「『子供から』に徹した実践が確かに子供の資質・能力を耕すことに通じる」という研究の妥当性を高めるため、作成した教育課程の改善を行うことを研究開発課題とした。 2 研究の概要 4年間の指定期間で作成した“12 年間の教育課程の全体像”に基づいて進めてきた研究を踏まえ、子供が意欲を高め、その子供ならではの探究の道すじをたどることを通して、各自が持つ資質・能力を育成するための教育課程の編成と実施・評価改善を進めるための要件や方略を明らかにするとともに、体系化することを目指す。そのために、質的・量的データの収集と分析を行い、授業改善や評価を含むカリキュラム開発等を行う要件や方略を抽出する。併せて、「『子供から』に徹した実践が確かに子供の資質・能力を耕すことに通じる」という研究の妥当性を高めるため、作成した教育課程の改善を行う。 3 研究の目的と仮説等 (1)研究仮説 ①研究の方法・課題解決の手段 ◆ 幼小中一貫教育の視座:『学びの総合化』 持続可能な開発のための教育として「たくましく心豊かな地球市民」の育成を就学前教育及び義務教育の両段階を通じ系統的に実現するために、遊びの中に学びを顕在化すること【遊びの領域化】、学びが教科の学習として充実すること【領域の教科化】、教科の学習を実生活に総合的に活用すること【教科等の総合化】(以下、『学びの総合化』)を教育課程編成の枢軸とする。なお、本研究で「学び」を「目標に向かって展開される意識的行動」と捉え、特に、【遊びの領域化】は、遊びを学びの萌芽形成として価値づけることを意味するものとする。 『学びの総合化』により、就学前教育及び義務教育の両段階を通して学びの連続性が高く、義務教育としての学びを全うする教育課程の編成が可能となるとともに、それに基づく有効な指導・評価の開発が可能となると期待できる。 令和5年度研究開発実施報告書(要約) 【別添1】 H28~R5

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