【2年:かがく領域】 小学校1年生では,単元「どうぐづくり」の中で,2×4木材を使っていすをいくつも製作した。単元の中でY児には,「自分で使いたい」から「6年生のお兄さんに座ってほしい」,さらに「そこを通った人が座ってのんびりしてくれればいい」という意識の変化が見られた。そして,相手が変わるごとに「自分の探究課題」の解決に向けて,その都度木材の長さや強度,触り心地などを考えながら探究していく姿が見られた。 小学2年生になった子供たちは,1年次に遊び場として使っていた場所を他学級に譲ることになった際,「私たちの新しい遊び場所をつくりたい」と考えた。そして,2学年に進級したときに【事例②】単元名:「たくさんのしあわせがうまれるといいな わたしたちのにわ」 は,中庭のうち教室からもっとも近い一角を,『わたしたちのにわ』として整備したいと考えた。どのようなにわにするか考える場面で,子供たちは「全校のみんなから場所を借りることになるから,私たちだけではなく,全校のみんなが来て,のんびりと過ごせて,しあわせになってくれたらいいな」と語った。子供たちの中に,1年次に育まれた他者意識が継続していることを感じた教師は,「しあわせ」をキーワードに,子供たちのイメージするにわの具体を語る場面を設けた。すると子供たちは,「芝生の上で寝っ転がると気持ちいいんだよ」「外で裸足になれる場所があるといいよね」と語った。学級園よりもはるかに広い敷地に芝生を敷き詰める場面や,通路の脇や花壇に花を植える場面において,芝生の枚数や花の並べ方に着目する子は算数的な見方・考え方,芝生や花といった植物のからだの特徴に着目する子は生活科・理科的な見方・考え方,芝生や花の生育環境や生育方法に着目する子は技術的な見方・考え方からにわづくりに臨んでいく。それぞれの子の見方・考え方を大切にしながら,「しあわせ」という抽象題を具体化していけるよう,【かがく領域】としてこの単元を設定した。 Y児は,芝生を敷き詰める際,マット状になった芝生を見て,「みじかっ」と反応した。そして,一通り芝生を敷き詰めた後,じょうろを使って芝生の隙間に目土を流し込んだ。「根っこが枯れちゃうと,芝生さんが枯れちゃうんでしょ。だから」と話したY児からは,初めて見た芝生の根の短さや細さが強く印象付けられていることが感じられた。青々とした芝生のにわをつくるという願いをもったY児の中に,「芝生さんに元気に育ってほしい」という明確な願いが生まれたことがわかる場面であった。 また,秋から冬の期間は芝生が茶色になっていくことを知った子供たちは,冬でもにわに彩りがあるとよいと考え,にわの中にある長方形の花壇にパンジーを植えることにした。Y児は,以前の活動において,直線の通路の脇にヒャクニチソウを一直線になるよう植えたことを想起し,花壇のパンジーも一直線に植えればきれいに見えるだろうと考えた。また,以前別の花壇の整備の際に大きく育ったパンジーを引き抜いた際,「パンジーって,根っこ(の幅)が 40cm もあるんだね」と語ったY児は,隣り合うパンジーが近すぎると,土壌中の養分を取り合ってしまい,根が大きく育たないと考えた。以前,子供たちは,芝生に生える雑草を抜いた際に,植物の根の形状と葉脈の形状が似ていることを見いだし,根の形状を「ごぼう・にんじん・だいこんタイプ」と「ひげ・くらげタイプ」に分類した。このときのことを想起したY児は,「パンジーの根っこはだいこんタイプだけど,太いのが横にも広がるんだよ。だから隣と 40cm の間を空けないと」と友に語り,40cm の間隔を空けたいという願いを持っていることがうかがえた。そして,36 個のパンジーを花壇に植えるならば,1列ではなく複数列で植える必要があると考えたY児は,「4×9=36 だから,4列だ」と語り,パンジーを4列で植えればよいと考えた。そこで,どうしても花壇に行って確かめたいと考えたY児は,席を立ち,にわへと駆けていった。そして,花壇を見たY児は,「だめだ,4列だとせますぎる」と語ったのち,「36 を3列にするから,3×10 は30 で,あと6個は3×2だから,10+2で 12 個だ」と語りながら,1列当たりのパンジーの個数を導き出した。 昨年度の【かがく領域】の報告にもあるように,小学2年生では,植物を育てるときに,生命
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