養から始まります。小さいフラスコで培養したものを段階的に大きいフラスコへと培養規模を上げ、その後、屋外の培養装置に培養液を移します。培養装置の水槽部分として用いるビニールバッグは、現在は一から手作業で製作されています。ビニールを袋状に成形するところから始まり、製作したバッグを柵に入れ、二酸化炭素を供給するための曝気管を挿入する等の工程を経て培養装置の完成です。準備した培養装置に、室内で増殖させた藻類の培養液、水で溶かした肥料を加えて大量培養を開始します。3日から5日程度培養した藻類を遠心分離で藻類のペーストと水に分け、必要に応じて藻類のペーストを乾燥・粉末化する等の加工をして製品へと使用します。藻類の培養液から分離された水は、肥料を加える等の工程を経た後に、再び培養に再利用されます。培養方法は生産効率と環境へ東山 拓生(経法学部総合法律学科・2年) 宮本 汐理(理学部物質循環学コース・2年)久保田 夏帆(農学部生命機能科学コース・2年) 高草木 花音(農学部動物資源生命科学コース・2年)竹村 奈穂(農学部植物資源科学コース・2年)の影響を第一に考えながら試行錯誤されていると分かりました。ちとせ研究所の訪問を通して、プールや池の藻のような既存のイメージをどのように消費者に利点として伝えていくかが重要であると考えました。また、現状は藻類を原料とした商品は既存の商品よりも価格が高くなってしまうため、高価なそれらの商品を戦略的に普及させる必要があります。藻類は今後、石油に代わる資源になると期待されていますが、それをどのように価値あるものとして伝え、価値ある値段でやり取りされるような社会を作って行くかを考えることが大切だと学びました。藻類の可能性をもっと多くの人に知ってもらうことで既存のイメージを変えられると思います。また、ちとせ研究所の方々はそれぞれが、藻類がつくる社会を思い描いており、環境に対する熱意が行動へ直結することを学びました。環境問題をグローバルに学ぶ Report 1 エネルギー政策 ちとせ研究所の微細藻類(藻類)の培養施設を見学し、藻類のこれからの可能性や現段階での課題を知ることができました。現在、ちとせ研究所はマレーシアでフラットパネル型の培養装置(フォトバイオリアクター)を用いて藻類の大量培養を実証しており、効率の良い培養方法の開発を行っています。隣接地にある火力発電から排出される排気ガスを培養装置に送り込むことで、光合成に必要な二酸化炭素を藻類に供給しています。今後、培養施設を更に拡大していく際には二酸化炭素の供給源を考慮する必要があることを学びました。二酸化炭素を別の場所から大量に運ぶことは、経済性や輸送に伴う二酸化炭素排出の観点から現時点においては現実的ではないため、二酸化炭素の供給源を考慮した土地の選定や施設設計を行う必要があります。藻の培養は、まずは室内での培「藻類のつくる社会の実現へ向けて」777
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