環境報告書2025
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環境マインド実践人材養成コース 5期生「環境マインド実践ゼミⅡ(グローバル編)」実施報告2024年度は5期生となる24名が、マレーシア・サラワク州クチン市を訪れ、日本とも深い関わりのあるパーム油の生産現場や、自然環境の保全に取り組む国立公園などを視察しました。本演習の概要と、学生たちによる現地で信州大学では、意欲ある学生が自らの専門分野にとどまらず、幅広い知識や多角的な視点を身につけ、持続可能な社会の実現に貢献できる高度なキャリア人材を育成するため、「全学横断特別教育プログラム」を展開しています。このプログラムの一環である「環境マインド実践人材養成コース」では、環境分野に関する基礎知識を習得し、SDGsをはじめとする国際社会の目標や、循環型・共生型社会の構築に向けた課題解決の方法を学びます。カリキュラムは、実社会で活躍する専門家による講義「環境マインド実践基礎論」、長野県内の自然環境や地域活動を題材にした「環境マインド実践ゼミⅠ(ローカル編)」、そして国際的な環境課題を現地で体験的に学ぶ「環境マインド実践ゼミⅡ(グローバル編)」で構成されています。の学びや気づきをまとめたレポートをご紹介します。サラワク州の州都クチン市は、ボルネオ島最大の都市の1つとして古くから交易の要所として発展してきました。この地域の経済を支えてきたのが、熱帯材やパーム油の輸出であり、日本も主要な輸出先の一つです。特にマレーシアはパーム油の生産量で世界第2位を誇り、日本国内でも菓子や即席麺、洗剤など多様な用途に使用されています。パーム油の原料であるアブラヤシは、生産効率を高めるためプランテーション農業が進み、熱帯雨林の減少や生物多様性の喪失、さらには先住民の強制移住や児童労働といった人権問題も深刻化しました。今回の演習では、持続可能なパーム油生産に取り組む認証農園や搾油工場を訪問し、環境や人権に配慮した生産体制、地域社会との関わり、労働環境について現地の実情を学びました。また、バイオマス資源を活用した循環型社会の実現を目指す日系ベンチャー企業「ちとせ研究所」の CHITOSE Carbon Capture Centerでは、藻類培養設備の見学や作業体験を通じて、バイオテクノロジー分野の最先端技術に触れ、現場のスタッフとの意見交換「日本と密接な関わりをもつマレーシアで学ぶ、グローバルな環境課題と持続可能な社会」 555TOPIC01環境問題をグローバルに学ぶ

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