Shinshu University Environmental Report 3232講師紹介講演の様子講演後の質疑応答2024年11月13日、「インドの聖なる川の浄化を目指したサバイバル研究生活」というタイトルで、国立環境研質測定を続けられた経験談が披露されました。測定項目はいずれも基本的なものでしたが、1800日分のデータが一つのグラフに収められている様は圧巻でした。講演中、私にとって印象的だったのは、聖なる川にゴミを捨てる現地の方に対して、「どうしてそんなことをするのか?」と聞いたところ、「神様から頂いた物を神様に返しただけだ。」と返答されたエピソードでした。「物は言いよう」かとは思いますが、間違っていると言い切れない部分もあるかと思います。今回の講演は、途上国の水環境問題を扱ったものであり、その解決のための国際支援の実態を示したものです。環境問題、国際支援と言うと聞こえはいいのですが、実際に携わるとなると大変であること、知力だけでなく強靭な体力と精神力、そして相互理解が必要になることを聴者の皆様に実感いただけたのではないかと思います。無事にこの講座を開催できたのは、準備・運営にご尽力いただいた皆様のおかげです。この場を借りて深く感謝申し上げます。地域社会への貢献についての取り組み究所地域環境研究領域の小野寺崇主任研究員にご講演いただきました。一般・学生・教職員合わせて77名の方に御参加いただきました。講演では、水インフラ(上水道、下水道)の整備について、歴史的事項を中心に紹介がありました。そして現在我が国で採用されている下水処理方法は曝気を伴う活性汚泥法であること、一方の途上国ではエネルギーやコストがかからない嫌気性処理が主流であることが説明されました。実は事前に私に送付された講演資料には、こうした研究の背景を説明するスライドが含まれていませんでした。専門的知識がなくても理解いただけるように、後ほど追加されたものであるようです。続いて嫌気性処理の一つであるUASB法と新しく開発したDHS法を組み合わせることにより、飛躍的に処理水質の向上が見込まれることが示されました。そしてその新規手法を実証するために、インドの下水処理場で寝泊まりをしながら水04工学部環境委員会第29回 市民公開講座開催
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