2008年 青山学院大学 機械創造工学科 助手・助教2013年 信州大学 工学部 機械システム工学科 准教士課程修了授(現職)氷スラリーNon-condensable gasesEvaporatorAbsorberIceslurryCooed byambient waterRefrigerant(Water + Ethanol)Absorbent(Water + LiBr + Ethanol)Wire meshIce particlesIce storage tankConcentration controllerWaterHeat distribution Heat storageIce氷型氷スラリー生成機の概要CondenserGeneratorHeated bylow gradeheatHeat exchangerCooed byambientwaterValveStirrerVacuum pumpWater pump熱密度と温度維持性を有しています。高温用には融点約100℃の糖系の蓄熱材であるエリスリトール、低温用には氷が適しています。 廃熱利用設備を導入しても、工場の規模によっては大量に出る廃熱が給湯・暖房に利用しきれずに余ってしまうケースが少なくありません。この余った熱を他の用途で利用することができれば無駄に捨てられる熱を減らすことができます。吸収式氷スラリー生成機は80~200℃の熱を主な動力源として動作し、ほとんど電気を使わずに氷スラリーを生成する装置です。この技術を使えば、未利用エネルギーを冷房・冷蔵の冷熱源として有効に利用することができます。■ 背景■ スラリー熱媒体■ 吸収式氷スラリー生成機工学部 機械システム工学科 准教授 浅岡 龍徳環境への取り組み浅岡 龍徳(あさおか たつのり)2008年 東京工業大学大学院 機械物理工学専攻 博異常気象・災害による停電や政情不安による電力価格の高騰など、エネルギー問題は我々の生活に深刻な影響をもたらします。また、近年カーボンニュートラルといわれるように、化石燃料などの有限なエネルギー資源を守るためにも省エネは喫緊の課題です。エネルギーの有効利用を目指すうえで「熱は電気よりも不便なエネルギーである」という考え方が重要なポイントです。私たちが暮らしの中で利用するエネルギーといえば、主に電気と熱です。パソコンや家電製品を使うためには電気が必要で、冷暖房や給湯には熱が必要です。電気は非常に使い勝手がよく、エアコンや電気温水器を使えば、電気を使って熱を得ることもできます。しかしながら、熱をどんなにうまく使っても電気なしには家電製品を動かせないことは知っての通りです。熱を電気に変えて使うという方法もありますが、発電機は非常に高い温度で動かす必要があり、温度の低い熱ではうまく発電できません。そのため、工場などで排出された200℃以下の熱(廃熱)はちょうどいい使い道がなければ利用できずに捨てられることが多く、未利用エネルギーとよばれています。これらの未利用エネルギーをうまく貯めて冷暖房などの熱利用に有効に使うことができれば、冷暖房・給湯などの電気製品による電力使用を抑えることができ、トータルとしてエネルギー消費量を削減できます。工場廃熱などの熱を捨てずに家庭用の給湯や暖房に利用できれば非常に効果的です。しかし、工場から家庭に運ぶ間に冷えては役に立たなくなってしまうため、温度維持性の高い熱輸送媒体が必要です。スラリー熱媒体は、写真のように固体と液体が共存してシャーベットのような状態になっているものです。液体の流動性による扱いやすさを維持しつつ、固体の融解熱を使うことで高い蓄23232-2 環境研究エネルギーを有効に活用することでエネルギー問題の解決を目指す02
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