環境報告書2025
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Shinshu University Environmental Report 2020写真1 緑肥栽培の様子表1.各処理区の休眠胞子密度測定結果より、供試した全ての緑肥作物が根こぶ病の休眠胞子密度を激減させる効果を有することが明らかとなった(表1)。とりわけ、アルファルファ、クリムソンクローバー、セスバニア、ラッカセイ、マリーゴールドは、測定した3反復すべてにおいて検出限界以下(100個/g乾土)まで減少した。休眠胞子密度が検出限界以下に至らなかった反復においても、無処理と比較して10分の1程度にまで減少した。これらの結果は、供試した緑肥作物を活用した輪作体系の導入によって根こぶ病発生を軽減できる可能性を示している。今後の課題は、これら供試した緑肥作物が有する根こぶ病発生の抑制メカニズムを解明することである。卒業論文 農学部農学生命科学科 植物資源科学コース 齋藤 夏生環境への取り組み根こぶ病は、アブラナ科作物に甚大な収量損失の被害を及ぼす土壌伝染性の病害であり、国内外で深刻な問題となっている。長野県の高冷地地域においてもキャベツやハクサイなどの過度な連作によって根こぶ病の発症拡大が深刻な問題となっている。根こぶ病の防除対策として、これまで薬剤による土壌消毒や石灰資材による土壌pH矯正を採用してきたが、環境への負荷が大きく、また生産者の健康にも危害が及ぶ可能性があるため、これらの問題を軽減できる生物的防除法の確立が喫緊の課題である。そこで本研究では、マメ科作物10種(アカクローバー、アズキ、アルファルファ、クリムソンクローバー、クロタラリア、ササゲ、セスバニア、ダイズ、ラッカセイ、レンゲ)、イネ科5種(オオムギ、スイトウ、イタリアンライグラス、スーダングラス、ヒエ)、キク科4種(ヒマワリ、コスモス、マリーゴールド、キンセンカ)を供試し、これらの作物が根こぶ病発生を抑制する効果を有しているのかについて明らかにすることにした。農学部附属AFC野辺山ステーションで2023年と2024年に採取した感染土壌を用い、ポットで各種の緑肥作物を栽培し(写真1)、栽培期間終了後、土壌にすき込み、4週間培養を行った。培養後、土壌を採取し、休眠胞子密度をリアルタイムPCR法で測定した(外注分析)。アブラナ科根こぶ病発生を抑制する緑肥作物の選定2-1 環境教育修士論文・卒業論文02

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