信州大学は、自然災害リスクの高い信州という地域特性を踏まえ、地域社会の安全・安心を目指した防災・減災活動を積極的に展開しています。その中核を担うのが、2023年度に新設された「信州の防災学」です。この授業は、単なる知識の伝達にとどまらず、実践的な防災教育を重視し、地域防災リーダーの育成に大きな役割を果たしています。「信州の防災学」では、学内外の多様な専門家による講義を通じて、地震・豪雨・土砂災害など長野県特有の災害のメカニズムや、最新の防災科学、リスクマネジメント、行政やコミュニティの役割など、幅広いテーマを体系的に学べます。また、自治体職員や自衛隊、消防、NPOなど、実際に災害対応の現場で活躍する実務家の講演も多く、理論と現場の知見を融合した学びが特徴です。大きな特徴の一つは「防災士」資格取得と連動している点です。授業修了者は防災士資格の学科試験が免除され、多くの学生が資格を取得。2023年度からの2年間で130名もの学生防災士が誕生し、信州大学は全国有数の防災士輩出校となっています。この制度は学生や教職員だけでなく、地域自治体や団体とも連携して運用されており、地域全体の防災力向上に寄与しています。若い世代が防災士資格を持ち、地域の防災活動に積極的に参画することで、地域社会の防災意識と実践力が高まっています。実践的な防災教育も重視されており、学生は地域の防災訓練やワークショップ、現地調査やフィールドワークに参加。避難所運営訓練や災害時の情報伝達訓練、被災地でのボランティア活動など、現場での体験を通じて課題解決力やリーダーシップを養っています。こうした活動は、地域社会に根ざした防災リーダーの育成に直結し、県内外の自治体や防災機関から高い評価を受けています。学生たちは大学で得た知識と経験を活かし、地域の防災訓練の企画や学校・自治体の防災教育プログラムのサポートなど、幅広く活躍しています。信州大学の防災教育は、災害対応力の向上だけでなく、持続可能な地域社会の実現を目指した「共創」の姿勢が特徴です。地域住民や自治体、企業、NPOなど多様な主体と連携し、それぞれの知恵や経験を活かして地域の防災力を総合的に高めています。気候変動や人口減少などの社会課題にも目を向け、防災とまちづくり、環境保全、地域活性化を一体的に考える新しいアプローチも推進しています。学」のカリキュラムや学生防災士の活動、地域連携による防災教育の事例が紹介され、来場者から高い関心と共感を集めました。特に若い世代の主体的な防災活動や実践重視の教育手法は、他大学や自治体、教育機関からも高く評価され、全国的なモデルケースとして注目されています。今後も信州大学は、学術研究と地域実践を両輪とし、防災教育の高度化と人材育成、地域連携による防災力向上、災害アーカイブの活用など、総合的な防災・減災活動を推進していく方針です。災害発生時の情報発信や被災地支援、復興プロセスにおいても、大学の知見とネットワークを活かし、地域と共に歩む姿勢を大切にしています。信州大学の「信州の防災学」を中心とした防災教育は、今や全国の大学や自治体、地域コミュニティから注目される存在となっています。今後も実践的な防災教育と多様な主体との連携による「共創」の力で、災害に強く持続可能な社会づくりをリードしていくことが期待されています。2024年10月に熊本で開催された「ぼうさいこくたい2024」では、信州大学地域防災減災センターがこれらの取り組みを全国に発信。展示ブースでは「信州の防災1111TOPIC本学の地域防災減災センターの活動について02
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