Shinshu University Environmental Report 101010の動物を多く観察することができました。熱帯雨林の豊かな環境を実際に体験し、そこで生息する動植物の特徴を学ぶ貴重な機会となりました。公園内の野生動物は、人が危害を加えないことを理解しているため、人の近くでも自然に行動していました。餌やりは禁止されているものの、距離が近いため、簡単に餌を与えられる状況にあると感Report 5 国立公園運営今回訪れたバコ国立公園は、サラワク州で最も古い国立公園です。7つの異なる植生がコンパクトにまとまり、多様な野生動物が生息しているのが特徴です。バコ国立公園は、サラワク州で最も入園者の多い国立公園であり、持続可能な運営と環境保全が進められています。公園内への車の乗り入れは禁止されており、地元の方が操縦する小型ボートで向かいました。私たちはガイドの説明を受けながらトレッキングを行い、ウツボカズラやヒヨケザルなど、ジャングルの植生や生物を観察しました。イノシシやサルも散策路のすぐそばで生活しており、道ですれ違うこともあるほど近くで見ることができましたが、攻撃的な様子はありませんでした。園内には、バコ国立公園を紹介する展示施設があり、来園者数の推移、公園の地層の歴史、植生の分布、生息する野生動物などにつじました。こうした環境では、観光客の適切な行動が重要になると考えました。また、公園内には一部に木道が整備されており、観光客が歩くことで起こる下層植生への影響を抑えられるよう工夫されていました。このような環境保全の取り組みを実際に見ることで、自然と人との共存について深く考えさせられました。いて学ぶことができました。展示の解説はマレー語と英語が同じフォントサイズで併記されており、多民族国家マレーシアの文化を実感しました。べきだと考えていました。しかし、現地で先住民の暮らしを見て、保護区の拡大が彼らの生活や文化に影響を与える可能性があると気づきました。自然の中で暮らす人々の生活と、世界が求める自然保護の指針をどのように両立させるかが課題であるのではないかと考えました。今回の訪問を通じて、その難しさを実感するとともに、持続可能な環境保全のあり方を模索する必要性を強く感じました。言語の壁を感じる場面もありましたが、それでも豊かな自然とその魅力を十分に学ぶことができました。ここではガイドや船の操縦士といった新たな雇用が生まれて30by30への取り組みについて、事前調査では森林保護区を増やす鈴井 咲貴(理学部生物学コース・2年) 高地 真穂(農学部植物資源科学コース・2年)大西 理玖仁(農学部森林・環境共生学コース・2年)古屋 綾野(農学部森林・環境共生学コース・2年)新谷 友梨子(繊維学部化学・材料学科・2年)おり、自然保護と地域経済の両立の仕組みを知ることができました。自然環境を維持しながら観光を発展させる方法を考えることは、今後の環境保全において重要な課題であると考えています。国立公園の訪問を通じて、自然環境の保全が単なる「保護活動」ではなく、地域社会や経済、文化とも深く関わっていることを実感しました。持続可能な環境保護のあり方について、より多角的な視点を持つことができる貴重な経験となりました。環境マインド実践人材養成コース 5期生「環境マインド実践ゼミⅡ(グローバル編)」実施報告 「バコ国立公園への訪問を通して」
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