環境報告書2025
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が生まれ、文化や生活を理解する良いきっかけを提供する場となっているとも言えます。他にもサファリ・クルーズはツアーを運営する船の操縦士や現地ガイドなど、地域住民の雇用を生み出し、観光産業が発展することで地域経済の活性化にもつながっています。マレーシアのエコツーリズムですが、もちろん課題もあります。バコの砂浜の多くのゴミ、ポイ捨て、野生動物との距離間、ボートによる水質汚染など研修の間だけで多くの課題を発見しました。エコツーリズムなどの取り組みは、持続可能な形で運営されることが重要です。観光客の増加によるゴミの不法投棄などのオーバーツーリズムが環境や地域社会に負担をかけないよう、適切なルールのもとで配慮した運営が求められます。これからより人気になるであろうエコメンゴには653ヘクタールの森林があるものの、そこで生きるすべてのオランウータンに十分な食べ物が供給できるわけではありません。それはボルネオ島の土壌が肥沃でなく、果実の生産量が少ないからです。よってセンターでは今もオランウータンの餌やりを続けていて、餌やりの場所に運よくオランウータンが来てくれたことで私たちはその姿を見ることができました。セメンゴのオランウータ一方で、良い面ばかりに見える岩井 彩夏(農学部生命機能科学コース・2年)清水 優梨子(農学部生命機能科学コース・2年)河井 万樹(農学部動物資源生命科学コース・2年)纐纈 昌宗(農学部動物資源生命科学コース・2年)藤井 亮太(農学部動物資源生命科学コース・2年)ツーリズムにおいて、マレーシアが豊かな自然と文化を残したまま発展していくことを願います。ンはこのように人の手を借りながら生きています。野生で赤ちゃんも生まれ、今では28匹がこの森で暮らしています。オランウータンの住む場所が減ることが無いよう森林の減少を阻止することが、オランウータンに限らずどの生物にとっても大切で、これからの私たちにできることだと思います。バコ国立公園では、ヒヨケザルやシルバーリーフモンキー、テングザル、ヒゲイノシシなどの固有環境問題をグローバルに学ぶ るのではないかと感じました。バコ国立公園を散策・ナイトウォークした際にはガイドの方の詳しい説明があり、野生動物や植物、気候帯や島の出来方まで多くの知識を得ることが出来きました。また、公園内には複数のトレイルが整備されており、訪問者はこれらを利用して散策することができます。これにより、自然環境へのダメージを防ぎつつ、人間が安全に楽しむことを可能としていました。エコツーリズムとして目指したい仕組みが確立されていました。また、サファリ・クルーズでは、多様な野生動物を観察できたことに加え、クルーズの途中で見かけた離島での人々の暮らしも知ることが出来ました。この情報は、実際に現地を訪れたからこそ知ることができたものであり、観光客が訪れることで、地域住民との交流Report 4 野生動物保護私たちは、ボルネオ島のセメンゴ野生動物センターで野生のオランウータンを見ることができました。セメンゴ野生動物センターは、もとは負傷したり孤立したりしたオランウータンの保護を目的に設立されましたが、現在はオランウータンが野生で生きていけるようサポートする役割を担っています。1998年に野生生物保護条例が制定されてからは、センターの使命はさらに強化されました。セ「セメンゴ野生動物センターを訪れて」999

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