統合報告書2025
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142536 ビジョンと経営戦略活動実績ガバナンス人と地域の資産財務情報ン※2などへの非難の声が上がり、反アカデミアや反知識人を掲げる版※6」の全体像と、それを実現するための施策について、米倉副学留学生の増員外国人教員の増員国際連携の強化英語による教育プログラムの開発DEIマネージメントの推進地域への国際的貢献グレーター・ユニバーシティ・ビジョン(VGSU)【グローバル版】グレーター・ユニバーシティ・ビジョン「地域中核・特色ある研究大学」「地域中核・特色ある研究大学」Mission●信州大学の理念●信州大学の目標Vision●信州大学長期ビジョン  “VISION2030” Values●中期目標・中期計画●実行プランinGEAR(教職学協働/種発利/LUCKY)VGSUVGSUグローバル版グローバル版※1)DE&I:Diversity(多様性)・Equity(公平/公正性)・Inclusion(包摂性)の頭文字で、これらを重視することで、多様な人が互いに尊重し合い、力を発揮できる環境を実現するという考え方※2)アファーマティブ・アクション:歴史的な差別や偏見によって不利な状況に置かれている人々に対し、機会均等を確保するための積極的な措置を講じること※3)プラネタリーバウンダリー:地球環境を維持する上での限界を示す概念。ストックホルム・レジリエンス・センターのヨハン・ロックストローム博士らによって提唱された。※4)アースポジティブ:環境負荷を極力減らし、地球環境にプラスの効果を与えることを目指す考え方や取り組み※5)アクア・リジェネレーション(ARG)分野:水の循環利用や水由来水素エネルギーの生成・利用など、水を中心とする地球環境再生に関わる諸分野 VGSU グローバル版のポイントローバル化」とはどういったもので、なぜ今、信州大学はそれに力を入れて取り組んでいらっしゃるのでしょうか。中村学長(以下役職略):世界ではこれまで国際的に推進されてきたDE&I(多様性・公平性・包摂性)※1やアファーマティブ・アクショ人が増えています。こうしたことは、世界が国際的・全地球的視点に立って事象を観るのではなく、個別的・民族的な色合いの強い“内向き傾向”になってきているということではないでしょうか。私はこうした風潮は人類全体にとって非常に危険な兆候だと感じています。なぜなら、今、地球規模で起きている環境問題や社会課題は、決して特定の国家や地域、特定の価値観だけで解決できるものではないからです。 現在の地球環境がどのくらい危機的な状況にあるかをまとめた「プラネタリーバウンダリー※3」の9つの指標のうち6つがすでに危機的ゾーンに入っており、アースポジティブ※4の実現に向けて、もはや待ったなしの状況です。地球規模の課題に対し、私たちは狭いナショナリズムや排他的な思想に陥ることなく、地球全体を一つの共同体として捉え、多様な知と人を結集して、世界市民としてアースポジティブの実現を目指さなければなりません。 こうしたグローバル化の取り組みは、昨今の内向きになりがちな国際情勢の中では、ある意味でかなりの“覚悟”が必要になりますが、私はそれでも推進する意義があると強く信じています。それは喫緊の地球的課題の解決に向けて、大学としての責務があると考えており、本学が「覚悟のグローバル化」を掲げるのは、それに取り組む決意の表明にほかなりません。 その中で、私たちが強みとする水に関する「アクア・リジェネレーション(Aqua Regeneration, ARG)分野」※5の研究は、水の惑星地球そのものを再生する取り組みであることから、アースポジティブ毛賀澤:学長のお話から、信州大学のグローバル化が単なる国際交流ではなく、地球規模の課題解決を見据えた壮大なビジョンであることがよく理解できました。そうした“覚悟”を具体的に形にするための「VGSU(Vision for Greater Shinshu University)グローバル長にお伺いしてもよろしいでしょうか。米倉副学長(以下役職略):学長が示されたビジョンを具現化するため、私たちは「VGSUグローバル版」を作成し、具体的な6つの施策を定めています。 特に注力しているのは、外国人教員と留学生の増員です。2030年までに、教員と学生の10%以上を外国人とする目標を掲げ、外国人教員の採用を促進するための新たな「外国人教員枠」の導入や、留学生への生活・学習支援の拡充を進めています。多様な背景を持つ人々が共に学ぶキャンパスこそが、真のグローバル教育の場となるからです。 英語による教育プログラムの開発も急務です。2030年までに授業科目の半数以上を英語対応とし、国際標準に準じたカリキュラムを導入することで、学生が世界で活躍できる実践的なスキルを身に付けることを目指します。 また、国際社会で力強く活躍できる人材育成には、実践的な学びが不可欠です。本学はこれまで言語や文化が異なる学習者同士が相互理解を深める国際共修を進めてきました。COIL(ICT(情の実現や、ウェルビーイング、サステナビリティの追求に直結するものであり、一つの国、一つの民族にとどまらない地球規模の課題を見据えています。そのため、このアクア・リジェネレーション分野を軸に、世界中の知を結びつけ、具体的なアクションを起こすことで、環境問題など地球規模の社会課題の解決に取り組み、世界平和に貢献していきたいと考えています。ビジョンと経営戦略第1特集Integrated Report 2025 Shinshu University07国際化強化に向けた“6つの施策”教員・学生の1割を外国人、授業科目の半数以上を英語対応になぜ今、“覚悟の”グローバル化なのか地球規模の危機的状況世界市民としてアースポジティブを目指す毛賀澤氏(以下敬称略):まず学長にお伺いします。「覚悟のグ01

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