統合報告書2025
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ビジョンと経営戦略活動実績ガバナンス人と地域の資産財務情報オーダーメイド・セイジンシキの体験イメージ。アルピコグループのホテルでの特別な食事と酒を家族で楽しむ。伊藤詩奈さん木口屋和人さん草間岳さんIntegrated Report 2025 Shinshu University取り組みの一環として、ゼミで企画されたサービスが、アルピコグループで宿泊事業を行うホテルブエナビスタの手により初めて商品化され、2024年12月から販売を開始しました。これは伊藤詩奈さん(人文学部・2025年卒業)、木口屋和人さん(人文学部3年生(当時))、草間岳さん(経法学部・2025年卒業)らが企画した「オーダーメイド・セイジンシキ」というものです。一般的に成人式は市区町村単位で開催され、同級生が集まり、首長や新成人代表が挨拶をするといったある程度決まった形式があります。一方、このサービスは、20歳を迎えた人と家族がプライベートに20歳を祝うもので、宿泊、食事、体験プランの内容をそれぞれの要望に合わせて、オーダーメイドでつくることができます。例えば、大信州酒造(松本市)の特別室で日本酒の文化や醸造方法を聞きながら試飲する“聞き酒”、ホテルでの記念撮影、フランス料理の特別な食事、家族揃っての宿泊といったプランが用意されています。企画者の学生である伊藤さん、木口屋さん、草間さんは、このオーダーメイド・セイジンシキを地域へ貢献できるサービスにしていきたいと考えています。例えば、体験プログラムに酒蔵訪問を組み入れたこ酒は顕著で、県内の酒蔵にとっては深刻な問題になっているそうです。こうした課題に対し、オーダーメイド・セイジンシキを通じて新成人に日本酒に触れる機会を提供していきたいと考えています。回のオーダーメイド・セイジンシキのプロジェクトを通じて、学生は自らの成長の手ごたえを強く掴んでいるようです。実践的な視点、課題の「自分ごと」化…学生は成長に手ごたえアントレプレナー実践ゼミの受講、そして今ともその一つ。昨今、若者の酒離れが進んでいますが、特に日本草間さんは「学生は頭の中の抽象的な考えに留まる場合が多いですが、実社会での具体的な場面で実践的に考える経験をさせていただきました。これはやはり、企業と組んだPBL型共同研究のメリットですね」。こう話し、自分とは異なる立場の視点から考えることの重要性を実感しています。伊藤さんは「実社会の実践に即したサービスを考えることは、社会課題を自分ごととして捉える上で、とても貴重な経験になりました」と充実した表情。木口屋さんはゼミでの経験が進路に大きな影響を与えたといいます。「PBLを重ねる中で、地域課題の解決に携わる仕事がしたいと考えるようになりました。それで県最南端の根羽村にインターンに行ったんですが、今度はそこで自分の中の課題が見えてきたので、もっと見聞を広めていきたいです」と意欲に満ちています。地域・社会の問題解決、そして新たな価値の創造に向け、学生が自ら主体的に事業の構築を目指す“超実践型”の「アントレプレナー実践ゼミ」。解なき時代に求められる次世代の人材が、このゼミから次々と生まれています。全学横断特別教育プログラムは、5つのコースから成りますが、その一つに、「ローカル・イノベーター養成コース」があります。同コースでは、地域が抱える課題を的確に分析し、これまでにない新たな視点や方法で解決策を考え、それを実践できる人材の養成を目指していますが、特徴的なのが、「プロジェクト/プロブレム・ベースド・ラーニング(PBL)」という新たな教育手法を取り入れていることです。これは、学生が実践的なプロジェクトを通じて知識やスキルを習得する教育手法です。さらに、このローカル・イノベーター養成コースの中で、特にPBLに特化しているのが、「アントレプレナー実践ゼミ」です。これは新たな価値を創造してビジネスや事業を立ち上げる起業家精神「アントレプレナーシップ」を養うための実践的な教育プログラムです。学生はチームに分かれて協力しながら、社会課題の解決を目指して、サービスや商品の企画を考えます。また、地域・社会の課題解決に向けて革新的な取り組みを行っている外部人材を企業や行政から講師として招いていることや、企業と産学連携で取り組んでいることも、このゼミの特徴です。活動実績教育ローカル・イノベーター養成コースPBLで地域課題解決を目指す起業家精神を養うアントレプレナー実践ゼミアルピコグループと共同開発 「オーダーメイド・セイジンシキ」とは?17PROGRAM家族で20歳を祝う地域貢献の要素もアントレプレナー実践ゼミでの産学連携の02

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