ARGコンソーシアムでの開発・実証による水及びエネルギー関連の製品・サービス・ベンチャー創出SDGs6分野の研究力を質・量ともに世界レベルへ水関連大学院をハブに人材・ニーズを取込み各国で実証・普及 アクア・リジェネレーション機構(ARG機構)の機構長であり、超学系の初代学系長でもある手嶋 勝弥卓越教授に、ARG機構と超学系の設置背景や、それらの使命について聞きました。 (聞き手・産直新聞社・毛賀澤明宏氏)水系研究の新しい学問体系アクアロジー地域の課題解決と発展を先導する実証タウンを形成超学系長アクア・リジェネレーション機構長学長特別補佐 卓越教授ARG機構のヘッドクォーター化世界の水・エネルギー課題を国際共創により解決ExtendExpandEnrich研究の卓越性イノベーションる以上、研究だけでなく教育活動をするという使命がありますよね。ARG機構に集まった人が、アクアロジーという水系研究の新しい学問体系を作り、研究・教育できる体制を造るということを目指しています。 そのためには、①研究力の強化、②イノベーションの創出、③地域貢献という3つの柱が重要になります。 まず、研究力の強化については、世界に発信できる突出した研究成果をあげることを目指します。論文を発表することも一つですし、学生や研究者が集まる場所を造るということも、そのための手段の一つになると考えています。 続いてイノベーション創出についてですが、国内にとどまらず、海外においても水に関して課題を持つ地域はたくさんあります。その地に応じたソリューションを提供するためには、イノベーションが必要になります。地域貢献研究の世界展開が重要になるでしょう。 最後に地域貢献について。ご存じのとおり、水源が豊富な信州という地から、地元の水に価値をつけること、そして、水からエネルギーなど様々なものを取り出すこと、また地域で水を大切にした活動を進めること―これらを通し、地域の産業造りや教育、様々な価値を創造して地域に貢献します。―信州大学は世界に複数の拠点を持ち、各所で水の研究を進めていますね。それは、水というものが国際的な研究課題であるがゆえでしょうか?手嶋:SDGsの6番目の目標に水の安全が掲げられているとおり、世界中いたるところで水の問題は起きています。この問題にソリューションを出すのがSDGsの考え方です。 この国際的な重要課題に対し、信州からアクションしていくということ。特に信州大学が持っているコアテクノロジー、コアサイエンスを活用しながら水に対し真摯に向き合い、世界に向けて情報発信したいと考えます。―水の研究は、日本では信州大学以外でも様々な大学で進められていますね。手嶋:はい。東京大学や東京理科大学など、様々な大学で水をキーワードに研究が進められており、研究内容も多様です。 本学では、そういった他大学とも連携しながら研究を進めています。東京大学や東京理科大学、名古屋大学の研究拠点に本学のサテライトオフィスも開設しました。 ただ、他大学においてもアクアロジーのような新しい学問体系を作っている話はまだ聞いていないので、その点については、本学独自の新しい運用を行うつもりです。 ―2024年に新たにARG共創研究センター(=Aqua Regeneration Central Hub : ARCH)が開設されました。あらためて、ARG機構をスタートさせた問題意識について教えてください。手嶋機構長・学系長(以下役職略):ARCHをハブにしながら国内外の水に関係する研究者や学生を集めようというのが、この機構の出発点です。ARG機構では、地元の水を使うこと、水をきれいにすること、水からエネルギーを作ること―と広く展開して水に関する研究を行っています。 ARG機構を拠点にしながら、水を中心とした研究で、国内外を巻き込む一大潮流をつくりたいと考えています。―ARG機構では、「水の研究で世界を変える」という壮大なビジョンがありますね。これを実現するために、どのようなことをお考えですか?手嶋:一番大きなビジョンは、「アクアロジー」という学問体系を作ることです。これが最上位にあります。 アクアロジーとは、「アクア」と「テクノロジー」を掛け合わせた造語です。大学であIntegrated Report 2025 Shinshu University10Shinshu University Integrated Report 2025手嶋 勝弥アクアロジー(アクア×テクノロジー)世界初の水系学問体系の確立を目指してアクア・リジェネレーション機構発進
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