35骨組織工学のためのナノファイバースケールアップによる高効率処理システムの開発 医療、環境、食品分野にわたるエレクトロスピニングナノファイバーの多岐にわたる応用展開食品包装用バイオアクティブナノファイバーエレクトロ�スピニング法によるナノ繊維メンブレンの製造および表面修飾によるさまざまな分離機能の創出簡易フィルターテストによるナノ繊維膜の基本性能評価Azeem ULLAH, 助教信州大学 工学博士(日本、2022 年 取 得 )。2024 年に信州大学に着任。エレクトロスピニングナノファイバーの作製および応用に関する研究に従事している。向井 康人 教授三重県伊勢市出身。1989年より名古屋大学で学生生活を過ごし、1998 年より名古屋大学で助手、講師、准教授を務め、2024 年より現職。化学工学を軸に置き、 繊 維 工 学 と の 融 合 を図っている。研究から広がる未来エレクトロスピニングナノファイバー技術の将来性は非常に高く、医療、環境、食品分野において幅広い応用が期待されています。材料科学の進展に伴い、繊維構造、表面化学、機能化のさらなる最適化が、新たな性能と機能性を引き出す鍵となるでしょう。卒業後の未来像私たちは、医療、環境の持続可能性、先端材料といった分野における課題に対し、知識と創造力を活かして取り組むことのできる卒業生の育成に努めています。研究とイノベーションに基づく確かな基盤のもと、より持続可能で包摂的、かつグローバルに結びついた社会に貢献できる未来のリーダーを育成することを目指しています。研究から広がる未来卒業後の未来像新しいものづくりのアイデアや手法を学ぶだけでなく、それを効率的に活用するためのプロセスデザインまで一貫して学びます。問題の発掘と解決、応用・実践、工学倫理も含め、総合的な工学センスを備えた即戦力のエンジニアとして活躍していることでしょう。世界のさまざまな水問題を解決するとともに(SDGs6)、排出された資源を再生して循環を図ります(SDGs12)。水インフラの整備により社会基盤の構築を支援し(SDGs9)、水問題の解決は海洋と海洋資源の保全にもつながります(SDGs14)。開発する水処理システムは温室効果ガス排出量が少ないのが特長です(SDGs13)。本研究の技術は持続可能な社会を実現するためのキーテクノロジーとして貢献します。私たちの研究室では、医療、環境、食品分野への応用を目指した次世代型エレクトロスピニングナノファイバーの開発に取り組んでいます。繊維の形態制御および表面機能化技術を駆使し、優れた通気性、強度、外部環境への応答性を備えた材料を創出しています。私たちの研究は、生体適合性、持続可能性、高性能という、両立が難しい特性を兼ね備えた材料の実現を目指しています。これらのナノファイバーは、より安全な創傷治療、先進的なろ過技術による空気および水の浄化、さらには製品寿命を延ばしつつ廃棄物削減にも貢献する環境配慮型食品包装材料として、実社会での活用を見据えて設計されています。繊維科学研究所飲める水を作る浄水処理、汚れた水をキレイにして流す排水処理、廃液から有価物を回収する資源回収は、産業・生活の基盤となる重要な操作です。これらを可能にするアイテムの一つが膜(メンブレン)です。ナノサイズの径をもつ繊維で膜を作れば、超微細な網目で超微粒子をろ過分離できるだけでなく、広大な表面積の繊維表面で溶存している分子やイオンを吸着分離することもでき、さらに繊維表面を機能化することにより特定の物質を選択的に分離回収することもできます。新しい機能をもった膜を創り出すとともに、これらを備えた高性能な水処理システムを開発し、安全・安心で豊かな社会の構築を目指しています。繊維科学研究所総合人間科学系繊維科学研究所総合人間科学系繊維科学研究所エレクトロスピニングナノファイバーの革新「安全な水」 と 「リサイクル」 のためのナノ繊維メンブレン技術
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