総合人間科学系研究紹介2025
39/42

小林 美緒 准教授徳島大学大学院保健科学教育部医用情報科学領域 博士後期課程修了。博士 ( 保健学 )。独立行政法人国立高 等 専 門 学 校 機 構 阿 南 高専、高専機構本部、タイ高専 (KOSEN-KMITL) を 経て、2025 年 4 月より現職。 単 麟(SHAN LIN) 准教授京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了(博士�情報学)。シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)博士研究員、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)主任研究員、浙江理工大学客員教授などを経て、2024 年信州大学に着任。現職に至る。 34 ネットワークモデルの模式図Rulkov map にみられる様々な振動現象「山岳電波灯台」山岳�中山間地域における低コスト�高効率通信インフラ構築、平常時の利便性×災害時の即応性 = 地域の安心�安全信州大学デジタルキャンパス(中央図書館)3D アーカイブ化次世代サイバーフィジカル空間構築及びデジタルサービス創出Q 学習で得られた Q 値によるニューロン間の結合 研究から広がる未来実際の神経細胞ネットワークを模した数理モデルには、本物のニューロンに類似した様々な現象がみられます。これらの現象の発生メカニズムを解明し、理解することは、私たちの知のメカニズムに迫る一歩となり得るかもしれません。さらに、これらの現象を工学的に応用したり強化学習のような新しい技術と融合させることで、新しい問題解決方法や画期的な知見を見出せる可能性があります。卒業後の未来像情報とコンピュータを扱うスキルを身につけるだけでなく、好奇心や探究力、自分の考えをしっかり持って世の中を切り開いていく力を身につけてほしいです。研究から広がる未来卒業後の未来像地域課題に向き合う力と、情報・DX 分野で培った知識を活かし、自治体や DX・IT・通信関連企業、教育・研究機関など多様な進路が拓けます。安全・安心で持続可能な社会づくりに貢献する人材として活躍が期待されます。災害時の孤立集落を防ぐ通信インフラの構築を通じて、安全・安心な地域社会の実現に貢献します。さらに、構築した IoT 基盤は医療・教育・物流など幅広い分野への応用が期待されます。また、生成 AI と 3D 空間モデリングによるサイバーフィジカル空間は、スマートキャンパスのみならず地域のデジタルツイン構築にも展開可能であり、持続可能な未来社会の基盤技術となります。数理モデルと AI を融合させ、脳の神経細胞を模倣したネットワークモデルについて研究しています。Rulkov map というニューロンモデルのネットワークにおいて、ニューロンの結合を強化学習の一つであるQ学習により学習させ、構築されたネットワークにおける信号伝達メカニズムを解析しています。Q 学習により、ニューロンは最適な信号伝達経路を自律的に学習します。この研究では、ネットワーク内の信号伝達が特定のパラメータに依存すること、パラメータが少し変化するだけで、ネットワーク全体での信号伝達の様子が大きく変化する現象を発見しました。DX 推進センターDX 推進センター地域 DX 部門(単研究室)では、山岳・中山間地域における災害時の孤立集落発生を未然に防ぐことを目的に、機械学習による電波伝搬推定、自律分散型ネットワーク設計、異種無線統合による周波数利用最適化を組み合わせた「山岳電波灯台」システムの研究開発を進めています。自治体(松本市・伊那市等)との連携のもと実証を行い、地域課題への応用も展開中です。さらに、Society 5.0 の実現を見据え、3Dリアルタイムモデリングと生成 AI を活用して多次元的なサイバーフィジカル空間モデルを構築し、教育・研究・施設管理・自律移動体の検証環境など、スマートキャンパスの実現に向けた応用を推進しています。DX 推進センター総合人間科学系DX 推進センター総合人間科学系DX 推進センター数理モデル× AI:神経ネットワークモデルにおける信号伝達について通信と AI で拓く安全・持続の地域未来Toward Safer, Smarter Communities with AI and Networks

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る