30 中田 勉 准教授東京工業大学生命理工学研究科博士課程修了(博士(理学))。信州大学医学部分子薬理学教室助教、講師を経て、2018 年より現職。廣田 昌大 准教授2004 年名古屋大学人間情報学研究科博士後期課程修了。日本原子力研究開発機構産学連携協力研究員、放射線医学総合研究所博士研究員、東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻特任助教、信州大学基盤研究支援センター助教を経て、2021 年より現職。様々な手法を用いて、筋収縮に関係する分子の相互作用を調べています。細胞内カルシウム濃度を測定する顕微鏡原発事故直後の農産物汚染状況現地調査(福島�北関東)。分析技術を応用して葉物野菜上の放射線分布を画像化(右下)し、事故後に発生した葉には汚染が殆ど付着していないことをいち早く示した。放射線施設内において、放射性物質による汚染がないか検査している様子。骨格筋の筋線維を特異抗体で染め分けた画像原発事故直後の帰宅困難区域住民一時帰宅事業に実務経験者として他大学の教職員と参加した。研究から広がる未来心疾患は日本の年間死因別死亡総数のうち 2 番目に多く、さらに増加傾向にあります。また、高齢化が進む日本では、加齢による骨格筋の筋力低下(サルコペニア)が大きな社会問題となっています。これらの疾患の新たな予防・治療法を確立するために、心筋や骨格筋の生理・病態生理を明らかにしていくことが必要不可欠です。分子の挙動から生物個体までを解析することで、様々な知見を得られるよう研究を進めていきたいと思います。卒業後の未来像遺伝子クローニング等の分子生物学的技術から、細胞レベルでのカルシウム代謝、個体の心機能・骨格筋収縮力の評価など多岐にわたる技術を学ぶことできます。また、共用機器が多数設置してあり、広い分野に応用可能な多くの測定技術を学ぶことができます。研究から広がる未来卒業後の未来像科学 ・ 技術分野では、分析対象がますますミクロ化していくことが予想されます。放射線は、素粒子レベルまで分析可能なツールです。将来、技術者 ・ 研究者を目指す方にとって、放射線は基礎的な知識のひとつになるかと思いますので、是非、興味を持ってください。近年、加速器(高エネルギー放射線を電気的に発生させる装置)や生体内 RI 分布 3 次元イメージング装置の導入、また、これに伴う新たな種類の RI 使用が進むなど、これまでとは異なる形態の放射線利用が増加しつつあります。今後も安全に放射線を利用していくことが出来る様に、利用増加が見込まれる RI の環境中での挙動解明や新たな利用に対応した放射線計測装置の開発等に研究を広げて行きたいと考えています。①心筋・骨格筋収縮の分子基盤 当研究室では、哺乳類の心筋や骨格筋の収縮メカニズムについて、個体から分子レベルまで多角的に研究を行っています。最近は特に、筋収縮に重要な役割を果たすカルシウムイオン代謝について、疾患の際にどのような変化があるかを調べています。②機器分析支援部門業務 個別の研究室では維持が困難な大型研究機器(電子顕微鏡、レーザー共焦点顕微鏡等)を集中管理し、信州大学内外の研究者向けに共用化しています。また、機器の使用方法や新たな技術導入に向けてのセミナー等を開催しています。機器分析支援部門自然科学の分野では、放射線は分析や解析のためのツールとして利用されています。病気の新しい治療 ・ 診断方法や新薬の開発、食品の安全性評価等に向けて、物質を構成する元素の一部を放射性同位元素(RI)に置き換え、それから放出される放射線を目印に生体内での物質の挙動を解明することもそのひとつです。信州大学では、この操作を行う施設として基盤研究支援センター RI 実験施設が設置されており、私はそこで放射線取扱主任者として法定の管理業務を担当しています。また、自らも RI を用いた実験を行い、環境中の RI の挙動解明と、適切な管理方法の確立に取り組んでいます。RI実験支援部門総合人間科学系基盤研究支援センター総合人間科学系基盤研究支援センター筋肉の収縮はどのような分子の働きによって制御されているのか?実務と研究の両面から放射線にアプローチし、未来の放射線利用を考える
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