総合人間科学系研究紹介2025
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19荒井 英治郎 准教授東京大学大学院教育学研究科 博 士 課 程 単 位 取 得 退 学後、2009 年 4 月信州大学に着任。全学教育機構講師�准教授を経て、2016 年 4月 教 職 支 援 セ ン タ ー 准 教授。現在は、同センターの地域連携部門長も務める。田村 徳至 准教授新潟県出身。2006 年 上越教育大学教育学研究科社会系コース 修士課程 修了。1993 年~ 2013 年 新潟県公立中学校社会科教諭を経て、2013 年 4 月信大着任。2018 年 10 月 よ り 現職。研究分野は、金融経済教育、消費者教育。公職選挙法改正(2016 年)により「18 歳選挙権」時代が到来。大学生と協力しながらアンケート調査を実施し、「若者」と「政治」の関係のあり方を考えるための情報発信を行っています。オーラル�ヒストリー(「記憶」の記録化)の成果令和5年度 社会科�公民科指導法の授業の一コマ人文学部の3年生を対象にした「行動経済学」に関する講義学生のライフプラン�マネープランに関する相談対応 アクション�リサーチ(各種審議会委員)の成果 「キャリア教育」の授業の一コマ学び続ける教師であるために���  研究から広がる未来「教育に関するヒト・モノ・カネ・情報」の研究も行っています。「教育界の常識は、社会の非常識」と言われて久しく、教育問題の語り方・語られ方は「一億総教育評論家」的状況にあります。これに対して、一般市民の「イメージ」と教育現場の「リアル」を踏まえながら、学校や教育委員会が直面する課題解決や地域連携のコンサルティング、エビデンスに基づいた制度設計の提案を行っています。卒業後の未来像自分の「キャリア」(過去・現在・未来の履歴)を考える上で必要なことは、特定の職業(仕事)を発見することではなく「キャリア・アンカー」(自分が大切にしたい価値観や軸)を模索し、その価値観と対話することです。Time is Life の精神で、キャリアをデザインする時間を共有していけたらと考えています。研究から広がる未来平成 26 年度から令和3年度までの8年間、長野県の先生方の金融経済分野の授業力向上を図るべく「はじめての消費者教育」というタイトルで経法学部の先生とコラボして「教員免許状更新講習」を実施してきました。信州社会科教育研究会にも所属し、小・中学校の先生方と交流も行っています。自分の研究成果が浸透することにより、先生方の金融経済に関わる消費者教育の実践力向上が期待できます。卒業後の未来像金融経済分野を中心とした消費者教育の授業方法と知識等を身に付けた学生が、中学校・高等学校の教師として巣立っていきます。彼らの授業実践により、主体的で賢い消費者が多数育成されることが期待されます。「いつ、どこで、誰が、誰と、何をした」ゲームを知っていますか。教育学(教育行政学・教育法学・教育経営学)を専門とする私は、「教育政策」の5W1Hを明らかにする研究をしています。そこでは、歴史の闇に葬られた「文書記録」のアーカイブや、当事者(文部科学省・教育団体・マスコミ関係者など)に対するヒアリング調査(口述記録)を再構成した「オーラル・ヒストリー」の成果を総動員し、ブラックボックス化した政策決定の真相に迫ります。また、最近では、教育の条件整備や学びのセーフティネットを構築していくために、アクション・リサーチも行っています。教職支援センター2025 年の全国における特殊詐欺被害額は約 718 億円(前年比6割増)にもなっています(警察庁)。近年、金融商品やサービスは複雑で多様化してきており、一人一人の市民が主権を持つ消費者として、賢い選択と意思決定をしなければならない状況に置かれています。そこで私は、すぐれた経済的意思決定ができる主体的な消費者を育成するためには、幼児(3歳児)段階から高等学校終了段階まで金融経済に関わる知識・スキルだけでなく、非認知能力の向上も重要であるとの認識に基づき、15 年間一貫した金融経済教育の学習カリキュラムの構築(開発)に関する研究しています。教職支援センター総合人間科学系教職支援センター総合人間科学系教職支援センター過去・現在の「教育政策」のメカニズムを分析し、未来の制度をデザインする幼児から高校3年生まで15 年間にわたる金融経済教育のカリキュラム開発

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