総合人間科学系研究紹介2025
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14小暮 克哉 准教授桜美林大学大学院国際学研究科大学アドミニストレーション専攻修了国立大学のアドミッションセ ン タ ー 等 で 教 育 研 究 を行 っ た 後、 信 州 大 学 ア ドミッションセンターに着任専門分野は教育史戦前期の教育政策は、一方向の指示モデル(左)と考えられていたが、校長会を介した双方向モデル(右)の存在を提示文部省の諮問に対する校長会の決議書(大正七年四月)1906 年~ 1943 年の校長会(38 回分)の決議項目の割合研究から広がる未来 現代の入試でも盛んに議論されている①入試科目を減らした軽量入試、②調査書と口頭試問を活用する入試、③推薦入試、④地方試験場の開設などの原型は戦前期の旧制高校入試で既に実施され、その都度、挫折を繰り返してきた。では、何故、挫折したのか。どうすれば、教育の一環としてあるべき入試の形を実現できるのか、こうした議論は、現代の大学入試政策を、今一度問い直すことにもつながります。卒業後の未来像現代社会は未だに Dore,R.P. や Weber,M. の指摘する学歴主義・学歴社会の問題に対する明確な処方箋を提示できていません。大学での学修を通して、自分なりの答えをもった人材になって欲しいと思います。近代以降の日本の教育史を研究しています。特に興味を持っているのは、戦前期の旧制高校入試に対する国家、高等学校、中学校、受験生という各ステークホルダーの関わりです。一般に、戦前期の教育は強力な国家統制のもとにおかれ、上意下達の「一方向モデル」として研究が進められてきました。しかし、当時の高校長会議などの研究を進める中で、各高校は自校の教育理念を体現する形の入試を目指し、高校内での議論や文部省(当時)との折衝を行う「双方向モデル」が存在を明らかになってきました。アドミッションセンター総合人間科学系アドミッションセンター故きを温ねて新しきを知る:入試を教育・文化の一環ととらえて

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