総合人間科学系研究紹介2025
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10平井 佑樹 准教授東 京 学 芸 大 学 教 育 学 部 卒業、筑波大学大学院図書館情報メディア研究科博士後期 課 程 修 了( 博 士( 情 報学))。東京農工大学工学研究院、本学アドミッションセンターを経て、2022 年1 月より現職。専門は教育工学、情報工学。廣野 準一 准教授筑波大学体育専門学群を卒業後、同大学院総合人間科学研究科にて学位取得(博士�スポーツ医学)。筑波大 学 体 育 系 特 任 助 教 を 経て、2013 年信州大学に着任。日本体育協会公認アスレティックトレーナー。演習問題の例。高校までに学習する内容に関する問題でも、問題文や選択肢の与え方によって、高度な理解力を問うこともできます。入学予定者がオンライン上で集う入学前教育においても協調作問演習を実施しています。 ※科研費基盤研究 (C) 課題番号 :21K02797学友会剣道部における剣道の実践と指導オーストリア�ウィーンの学会会場にて第 16 回世界剣道選手権大会で日本代表チームへトレーナー帯同データサイエンス教育部門研究から広がる未来教材に応じて協調作問演習を行うことで、皆さんの学習に役立つだけでなく教員の負担減にもつながります。特に、大学で行われる授業に応じた演習問題を多く作るためには、市販の問題集だけでは対応することが難しい場合もあり、担当教員の労力が必要です。協調作問演習を通して洗練された問題があれば、それをそのまま使うことも可能になり、担当教員は問題作成の時間を教材研究などに充てることができます。卒業後の未来像協調作問演習は学校現場だけでなく、企業における研修やお祭りなどでクイズ大会を開催する場合などにも応用できます。皆さんがそのようなイベントを企画する立場になったら、ぜひ活用してみてください。研究から広がる未来例えば、剣道の特徴的な傷害であるアキレス腱断裂を受傷した場合、一般的に競技復帰までには半年ほどかかると言われています。また、せっかくの楽しい運動も、動くたびに痛みが出たり、急激な痛みに襲われるかもしれないと不安を抱えながら行っては、その魅力も半減するでしょう。競技スポーツ現場における個人やチームのパフォーマンスの低下、生涯スポーツにおける痛みによる実施率の低下といった問題を防ぎ、運動の魅力を最大限に引き出すためにも、スポーツ傷害を予防することは重要です。卒業後の未来像どの分野においても、健康と体力は重要です。より良い運動の実施方法を身につけてもらいたいです。また、運動やスポーツを通して、色々な分野や文化の人と繋がりを持ち、自身の世界を広げて欲しいと願っています。「問題を作ることによる学習」については、20 年以上前から国内外で多くの研究成果が示されており、様々な場面に応用されています。私はそれをクラスみんなで協力して行う「協調作問演習」に注目しています。ここでは、問題を作るだけではなく、作られた問題の良しあしを評価し、その評価に基づいて問題を洗練していきます。演習問題として完成させるには、問題文に誤字や脱字がないことはもちろん、解答可能な問題になっているか、教材に応じた問題かなどの確認も必要です。評価の際、実際に問題を解き、教材を再度確認することも行うので、単に問題を作ること以上の効果が見込めます。専門種目である剣道の実践や指導、競技現場でのアスレティックトレーナー活動を通して、スポーツ傷害予防を中心に、現場で起こる課題を解決に導く研究活動を行っています。剣道は、老若男女が一緒に行うことができる、素晴らしい日本の伝統的な運動文化です。しかしながら、剣道に限らず多くの運動種目では、実施方法によっては痛みや怪我を引き起こすことがあります。私は、アキレス腱傷害を主としたスポーツ傷害の予防法の検討、筋や腱の硬さ情報を元にした新たなコンディション評価指標の開発、剣道と体力の関連性の検討といった研究を通して、健康的かつ合理的な運動の実施方法の構築と普及を目指しています。健康科学教育部門総合人間科学系全学教育センター総合人間科学系全学教育センター学習者同士で協調的に演習問題を作る活動を取り入れた授業の展開剣道とアスレティックトレーナー:より良い運動の実施方法を目指して

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