問題のある飲酒をしている方の推計ギャンブルに問題を持つ方の推計22nd East Asian Forum of Nursing Scholarsギャンブル障害を持つ本人と家族の認識のプロセス研修会や講習会の様子看護師の moral strength の構造:15th 日本看護倫理学会年次大会27th 日本保健科学学会学術集会新井 清美 教授札幌医科大学卒業。群馬大学大学院(保健学修士)、筑波大学大学院(ヒューマン・ケア科学博士)修了。看護師として勤務後、目白大学、首都大学東京を経て、2019 年に着任。岡島 志野 講師東京都立大学大学院人間健康科学研究科博士前期・同後期課程修了。博士(看護学)。和洋女子大学看護学部、共立女 子 大 学 看 護 学 部 を 経 て2025 年着任。 何かはまっていることはありますか? それによって、人との約束を守れなくなったり、やらなくてはいけないことができなくなったりしていませんか? アディクション(嗜癖、いわゆる依存症)とは、本人・家族の生活をおびやかしているにも関わらず止めることのできない、不健康にのめりこんだ・はまった・とらわれた習慣です。つまり「やめたいのにやめられない」状態のことで、よく知られているものにアルコールや薬物、ギャンブルがあります。私は、予防的な視点から、これらの嗜癖行動を開始してからどのように問題が深刻になっていくのか、また、それには何が影響するのかを研究しています。 看護師なら誰でも、患者さんの思いを叶え、患者さんの代わりとなって声をあげたいと思う気持ちがあるでしょう。しかし、それは、多大なエネルギーと行動力を必要とすることも事実です。 例えば、患者さんの希望することに前例がなかったら?マニュアルと異なったら?やろうと思っても周囲の目が気になる場合は?? 看護師の方々にインタビューをすると、それでもやろうとする思いを語ってくださいます。これを分析すると、一番善いことへの確信や、過去に上手くいかなかった事例からの反省、自分がやるしかないという決意など、さまざまな心の中のパワーが見えてきます。このような、看護師の持てる力を研究し、可視化することを目指しています。―7 ―研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像成人看護学成人看護学 アディクションは身近なところに1人はいても不思議ではない、ありふれた病気です。この問題を持つ方は多くの場合、地域で生活を送っていますが、医療現場では内科や外科や救急等でお会いすることも珍しくありません。実は、引退後のアスリートにもこのリスクがあるといわれています。何がリスクになり、問題となっていくのかがわかれば、アディクションや関連する問題の予防につなげることができるのです。 卒業後は医療機関や地域、企業等、活躍の場は多様です。たくさん考えながら働いているうちに、多くの疑問を持つかもしれません。そんな時には大学院に進学し、探究していきましょう。今まではっきり示されてこなかった看護師の倫理的なパワーを可視化・概念化することで、「確かにこういうことってあるよね」と、自分の身に置き換えて考えてもらえます。それは、その人自身の持つパワーが意識されることに繋がり、倫理的行動の促進に寄与できます。 看護師が自信を持って患者さんのために動けることは、看護師自身のためにもなり、いきいき働くことができるでしょう。 知識・技術・倫理は看護の三大要素と言われています。ぜひ倫理的感受性を研ぎ澄ませ、患者さんの代弁者となれる看護師に育っていってほしいと思います。もし倫理的に悩んだり、考えることがあれば、ぜひ臨床や大学院などで研究に取り組んでみてください。看護学専攻成人・老年看護学領域看護学専攻成人・老年看護学領域「やめたいのにやめられない」生きにくさを探り、生きやすさへと応用する患者さんのために看護師が動き出す、倫理的なパワーを探求する
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